【2歳馬ジャッジ】ドゥーラが現2歳世代芝部門の最高指数を記録 モリアーナの強さも再認識
山崎エリカ
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ドゥーラが芝部門最高指数を記録 9月1週目の2歳戦
このコラムでは古馬のレースと比較しながら2歳戦の指数を算出し、出走馬を評価していく。今回は現2歳世代の芝部門で最高指数を出したドゥーラや、小倉2歳Sで派手な追い込み勝ちをしたロンドンプランなどが出た、9月3日、4日の2歳戦について指数と評価を掲載する。
9月3日(土) 新潟5R 優勝馬 ミヤビ 指数-2 評価A
1番枠から出遅れたミヤビ。ダッシュも付かず後方からトコトコ。このまま競走中止してしまうのではないかと思われるほどスタート直後の行きっぷりが悪く、最後方からの競馬となった。しかし、この新馬戦はスタートしてからペースが全く上がらず、その間に外を通って最初のコーナーでは好位に取りつくことができた。
5F通過は67秒0。新馬戦としてもかなりのスローペース。騎手たちもさすがに流れが遅すぎると感じたのか、ラスト4F辺りから手綱を動かしレースの流れが速くなり始めた。そこからはゴールに向けての加速比べ。ミヤビは直線で外からライバルたちを交わして2着に2馬身半差をつけて勝利した。
ラスト2Fは11秒3-11秒4。かなりロングスパートの形となったが最後までほぼ減速しなかった内容は高く評価できる。スタート直後のロスを考えれば、今回の走りは能力を出し切ったものではないだろう。まだまだ上積みは大きそうだ。鞍上の武藤雅騎手は、腕はあるのになかなか評価が上がらないが、現2歳世代牝馬では楽しみなモリアーナに騎乗している。このチャンスを活かして飛躍してほしい。
9月3日(土) 小倉1R 優勝馬 ヴェルテンベルク 指数-3 評価B
この未勝利戦は新馬戦で2着だった馬が3頭、3着だった馬が2頭となかなか好メンバーが揃っていた。ヴェルテンベルクは前走の小倉新馬戦で上がり3Fタイム最速タイで2着と能力の片鱗を見せていた。
今回も7番枠からやや出遅れ中団外目を追走し、3~4角から上がっていき4角では大外。直線では外に逃げたが、そのまま直進して長く良い脚を使って差し切った。ラスト2Fは12秒1-12秒0と最後まで減速しなかった点は高く評価できる。叩かれながら、なかなか良いところまで上昇していきそうな素質を感じる。
9月3日(土) 小倉2R 優勝馬 ゴッドブルービー 指数-8(ダート) 評価B
新馬戦は芝で使われ、2番手外からラスト2Fで先頭に立つも、粘り切れず4着という結果だった。今回は初めてダートに出走。ここでも好発を決め3番手の外を追走し、3~4角では早くも先頭。そのまま2着に5馬身差をつけて圧勝した。
このレースの3着以下はバラバラになって入線。通常ならばとても高い指数と言う評価になりやすい着差構成だった。しかし、出走馬の多くが初ダート、大半の馬が能力を出し切れない結果となり、着差のわりには高い指数にならなかった。それでも本馬はなかなか優秀な指数を記録。今後ダートでの上昇が楽しみだ。
9月4日(日) 小倉2R 優勝馬 ペースセッティング 指数-8 評価A
新馬戦でははっきりと出遅れ、4角では大外を回るロス。それでもよく追い込んで2着と負けて強しの内容だった。今回はデビュー2戦目、前走とは違いトップスタートを決めると、そのまま逃げて前半3Fは32秒9。それでありながら折り合ってマイペース。最後は抑える余裕も見せ、そのまま後続に3馬身差をつける圧勝だった。
走破タイムは同日の小倉2歳Sよりも速い1分07秒9。馬場状態が違うため指数は小倉2歳Sだと3着相当。しかし、デビュー2戦目で好指数を記録したことは間違いない。短距離馬だけに成績にデコボコが出るだろうが、かなり上を目指せそうなスピード馬だ。
9月4日(日) 小倉11R 優勝馬 ロンドンプラン 指数-10 評価A
新馬戦を好内容、好指数で勝利していたロンドンプラン。しかし、1番枠から派手に出遅れた。普通ならこの時点で終了だが、この出遅れで戦前から懸念されていた1番枠から馬場の悪いところを通らずにすみ、馬場の良いところを選びながら競馬ができた。
それでも3角では前と絶望的な差があり、とても届く気がしなかった。しかし、4角手前で前と差を詰め、4角では外へ。ラスト1Fからも伸び続けて差し切ってしまった。派手な追い込み勝ちだったが、スタートを決めていたら馬場の悪いところを通って先行する形になり、失速していたのではないか。
このレースは同馬以外は外枠の馬が上位を独占。同日の芝1200m戦は7レースまでは内と前も残れていたが、9レースは外有利の馬場状態と思われたが、直線で内に入った差し馬が勝利。これが理由で11レースでは「内もそれほど悪くないのでは」と騎手が判断ミスすることになり、結果、外の差し馬の独壇場となった。
馬場状態の変化が結果に大きな影響を与えた今年の小倉2歳S。結果イコール能力とは言い切れない面があり、ロンドンプランは展開、馬場に恵まれたのは間違いない。しかし、出遅れながらラスト2F11秒6-11秒6と減速することなく勝利したことは評価できる。今年の小倉2歳Sは昨年と比較すると指数は劣るが、指数以上の何かを感じさせる内容ではあった。
9月3日(土) 札幌2R 優勝馬 ナチュラルリバー 指数-8(ダート) 評価B
デビューから2戦芝で使われ3着、4着。3戦目の今回は初ダート。9番枠から互角のスタートを切ったが、このレースはペースが速く、中団やや後ろに控えることになった。3角で前をとらえにいったサンデーヒーローの直後から、3~4角では余裕たっぷりに前に進出。4角大外から先頭列に並びかけていった。直線序盤で先頭に立つと、後続を突き放して8馬身差の圧勝。
今回は先頭が何度も入れ替わる競馬で展開が向いたこと、デビュー3走目で馬が仕上がっていたことは確かだが、初ダートでの圧勝は評価できる。今後ダート路線で面白い存在になっていくだろう。
9月3日(土) 札幌11R 優勝馬 ドゥーラ 指数-13 評価A
新馬戦ではドゥアイズの4着だったが、前走の未勝利戦をかなり優秀な指数で勝利したドゥーラ。12番枠から五分にスタートを出たが、先行馬が雁行状態だったため、1角で控えて好位の後ろを追走。3角外からドゥアイズを目標に動き、4角ではその外へ出して直線ではエンジン全開。しっかりと差し切った。1戦1勝馬たちが伸びきれない中、2走目で好指数を記録したように、キャリアを積んだ強みを生かしての勝利だった。
今回のドゥーラは現2歳世代芝部門でトップの指数を記録。しかし、昨年のジオグリフと比較すると劣る。今年の2歳馬はここまで新馬戦で強烈な強さを見せた馬がやや少なく、その分キャリアを積んだ馬が優勢となるレースが多い傾向だ。よって今後も未勝利戦を好指数勝ちした馬には注目をしておくべきだろう。
また、今回の札幌2歳Sで早めに動く正攻法から強い内容で2着したのはコスモス賞2着だったドゥアイズ。同馬はコスモス賞では好位から伸びて2着。一方、差し競馬をして3着だったウェイビーは今回8着に終わっている。このことからコスモス賞は前で競馬をした方が厳しい展開だったことがわかる。そのことから同レースを4角先頭から押し切ったモリアーナの強さを再認識できる結果だった。
9月4日(日) 札幌1R 優勝馬 トップナイフ 指数-10 評価A
新馬戦ではドゥアイズの6着、次走未勝利戦では3着という成績だったトップナイフ。今回はデビュー3戦目、1番枠からトップスタートを切って逃げる競馬となった。マイペースの逃げから向正面で徐々に後続を引き離し、3角を回って4角でも後続に大きな差。直線ではさらに差を広げて、2着馬に4馬身、3着馬に9馬身をつけて好指数の圧勝劇となった。
本馬が記録した指数は、前日の札幌2歳Sでは3着に相当するもの。また、今回2着に下したエルデストサンは8月28日の札幌芝1800mの新馬戦で高指数を出したフォトンブルーの2着だった。これもトップナイフの価値を高める。
今回は目一杯の走りだったように見え、このあとすんなり成績が上昇していくとは思えないが、潜在的なスタミナは相当なものを感じさせる走りだった。このタイプは条件が揃って大仕事をすることが多い。馬券的に面白い馬になりそうだ。
9月4日(日) 札幌2R 優勝馬 ショーモン 指数-6 評価A
前走の新馬戦では外枠不利な札幌芝1500mで外枠発走となってしまった。そんな大きいロスがありながらも2着し、かなりの潜在能力を感じさせた。
今回は10番枠からスタート直後の行きっぷりは前走ほど良くなかったが、好位の外から最終的に2番手まで上がっていく競馬。4角では先頭に並びかけ、直線では2着馬を一気に引き離して、4馬身差の勝利だった。
この時期の未勝利クラスとしてはなかなかの好指数で勝利。スピードとスタミナが高いレベルで揃っていることを感じさせた。重賞レベルでも面白い存在になりそうな能力を秘めている。
※パワーポイント指数(PP指数)とは?
●新馬・未勝利の平均勝ちタイムを基準「0」とし、それより価値が高ければマイナスで表示
例)ドゥーラの指数「-13」は、新馬・未勝利の平均勝ちタイムよりも1.3秒速い
ライタープロフィール
山崎エリカ
類い稀な勝負強さで「負けない女」の異名をとる競馬研究家。独自に開発したPP指数を武器にレース分析し、高配当ゲットを狙う! netkeiba.com等で執筆。好きな馬は、強さと脆さが同居している、メジロパーマーのような逃げ馬。
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