【カペラS】ヤマトコウセイら3歳vs中山巧者ハコダテブショウ 貴重なダート短距離重賞は今年も大混戦

勝木淳

カペラSインフォグラフィック,ⒸSPAIA

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1枠はむしろ買い

ダート短距離は下級条件を含めると、もっともレース数が多いカテゴリーだが、その重賞競走となると、1月根岸S(1400m)と夏のプロキオンS(通常は中京ダ1400m)そして12月カペラSぐらい。ダートグレード競走のJBCスプリントは頂点を決する舞台ではあるが、競馬場によっては1200mの設定がなく、1400mだったりもする。

中山ダート1200mは芝スタートから4コーナーまで緩やかに下るレイアウトであり、JRAの競馬場でもっとも前半が速くなる高速トラック。スピード自慢にとってカペラSは貴重な重賞でもある。法律上、開催日数とレース数に上限がある現状では改善は難しく、その上、12月にダート短距離のオープン競走が集中するなど悩ましい状況にある。この路線も2024年から地方の番組を見直すことになったが、今後、どの馬も活躍できる場がある理想的な番組づくりを期待したい。データは過去10年間を使用する。


過去10年カペラS人気別成績,ⒸSPAIA


混戦のイメージ通り、1番人気は【1-1-1-7】勝率10.0%、複勝率30.0%と低調。しかし3番人気【3-2-0-5】勝率30.0%、複勝率50.0%、4番人気【3-1-0-6】勝率30.0%、複勝率40.0%など上位人気の好走も目立つ。年に1度の中山ダート1200m重賞なので、どうも買う側の戦力分析の読み違いが多いようだ。GⅠの裏で時間がないが、ここは慎重にいきたい。また勝ち馬は6番人気以内、3着以内も8番人気以内から多く出ており、大波乱はそう多くはない。貴重なダート短距離重賞だけに狙いすました一戦。実績馬は軽視できない。


過去10年カペラS年齢別成績,ⒸSPAIA


今年はほかのカテゴリー同様にここも3歳馬がクロジシジョー、ヤマトコウセイ、カルネアサーダ、リメイクなど参戦予定。賞金除外の可能性はあるが、いずれも古馬相手に互角以上のスピードを見せており、注目したい。その3歳は【2-0-0-7】勝率、複勝率22.2%。17年ディオスコリダー、18年コパノキッキング。その前走は3勝クラスないしOPのダ1200mで先行V。ヤマトコウセイ、カルネアサーダはこのパターンにはまる。

主力は4歳【4-2-1-21】勝率14.3%、複勝率25.0%でダート戦らしく5歳【2-4-5-38】勝率4.1%、複勝率22.4%、6歳【2-3-1-32】勝率5.3%、複勝率15.8%、7歳以上【0-1-3-31】複勝率11.4%までしっかり目を配りたい。


過去10年カペラS枠別成績,ⒸSPAIA


昨年も枠番別データを出した記憶があるが、基本的にスタートダッシュで芝を長く走れる外枠が有利とされる舞台だが、カペラSは必ずしもそうではない。最内の1枠が【4-1-1-14】勝率20.0%、複勝率30.0%と好成績。昨年は2着リュウノユキナが1枠1番。勝利したダンシングプリンスは2枠4番だった。外枠は確かに6、7枠に好走ゾーンがあるものの、8枠は【1-1-1-17】勝率5.0%、複勝率15.0%。単純な外枠優位ではない。


ながつきS1着ハコダテブショウ

上位人気拮抗、今年は出走できれば3歳に注意しつつ、基本はハコダテブショウなど4歳勢。1枠が好成績といった傾向がある。では具体的な好走パターンに合致するのはどの馬か。前走成績を頼りに探ってみたい。


過去10年カペラS前走クラス別成績,ⒸSPAIA


前走クラス別ではまず前走地方【2-4-2-26】勝率5.9%、複勝率23.5%に注目。なかでもJBCスプリント【2-3-2-8】勝率13.3%、複勝率46.7%。今年は昨年2着リュウノユキナがいる。JBCスプリント2着は【1-1-0-1】。昨年も今年のJBCもダンシングプリンスのスピードに及ばなかったが、同馬は今回不在。チャンスが巡ってきた。リメイクが当てはまる浦和のオーバルスプリントは【0-1-0-1】。16年ニシケンモノノフは同レース4着から巻き返した。


過去10年カペラS前走オープン・L組距離別成績,ⒸSPAIA


次に前走オープン・L【5-6-4-71】勝率5.8%、複勝率17.4%について。こちらは距離別の内訳をみる。前走1200m【2-3-1-40】勝率4.3%、複勝率13.0%、1400m【3-3-3-31】勝率7.5%、複勝率22.5%で頭数が少ない分、1400mの数字がいい。


過去10年カペラS前走オープン・L組前走1400m組着順別成績,ⒸSPAIA


今年はオーヴァーネクサスなどが当てはまる前走オープン・L1400m組について着順別成績を出すと、オーヴァーネクサスが当てはまる1着【1-1-1-1】勝率25.0%、複勝率75.0%もいいが、6~9着【0-1-1-9】複勝率18.2%など負けた組の巻き返しもまた警戒したい。

対照的に前走オープン・Lのうち1200mだった馬はシビアで、前走2着以内【2-3-0-11】勝率12.5%、複勝率31.3%、3着以下【0-0-1-29】複勝率3.3%。同距離で負けてからの巻き返しは難しく、ここは好走に絞りたい。室町S1、2着エアアルマス、オメガレインボー、大阪スポーツ杯2着クロジシジョー、ながつきS1着ハコダテブショウなどが当てはまる。

今年もテンに速い馬、快速型が顔をそろえる組み合わせ。ハイペース想定は間違いない。だが、中山ダート1200mはそれでも前が止まらない舞台でもある。枠の並びを踏まえ、なんとか展開を読み切りたい。

ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュース個人オーサーを務める。新刊『テイエムオペラオー伝説 世紀末覇王とライバルたち』『競馬 伝説の名勝負 GⅠベストレース』(星海社新書)に寄稿。


カペラSインフォグラフィック2,ⒸSPAIA



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