【チャンピオンズC】テーオーケインズに立ちはだかるGⅠ連勝の壁! 波乱も視野に逆転候補を探す
勝木淳
ⒸSPAIA
経験豊富なベテラン勢も侮れない
2014年に舞台を中京に移され、名称もチャンピオンズCに改められて9年目。外国馬の参戦はこれまで18年パヴェルを最後に3頭のみ。4年連続で外国馬の参戦はない。一方、日本ダート中距離界の最上位クラスが毎年集い、レース名にふさわしくダートチャンピオン決定戦の位置づけに変わりはない。現状ではジャパンCダートのままなら虚しい響きも、チャンピオンズCにそれを感じない。名称変更は吉と出た。ただ今年はテーオーケインズ中心も対抗格がやや物足りない。その分、馬券妙味を感じる。ここでは条件変更後の8年間のデータを使用する。
まず人気の傾向から。1番人気【2-3-0-3】勝率25.0%、複勝率62.5%、2番人気【2-0-0-6】勝率、複勝率25.0%、3番人気【0-3-3-2】複勝率75.0%と上位人気は好成績。4番人気が【1-0-0-7】勝率、複勝率12.5%なので、ちょっと差を感じる。ただ8番人気【1-2-0-5】勝率12.5%、複勝率37.5%など穴のホットゾーンも存在する。今年はテーオーケインズに人気が集中しそうな組み合わせなので、上位人気ですんなり決まらない予感もある。
この秋、各カテゴリーで好成績の3歳は【2-1-0-10】勝率15.4%、複勝率23.1%。賞金の壁が高いダートでは3歳でJRA・GⅠ出走は難しいが、出走できる馬はそれだけの実力者。JBCクラシックでテーオーケインズの2着だったクラウンプライド、JDD覇者ノットゥルノ、古馬相手に重賞善戦ハピ。この3頭は注目。古馬勢は横一線、特徴的なのは4歳より5、6歳の好走確率が高い。賞金の壁と豊富な経験、衰えにくい肉体を武器にベテランが躍動するGⅠでもある。
JBCクラシックからの連勝はゼロ
ここからは前走成績を参考に具体的な好走パターンを導き、好走候補を探すことにする。
前走JRA組のクラス別成績より先に前走地方【8-4-3-33】勝率16.7%、複勝率31.3%に注目。舞台が中京に移ってからすべて勝ち馬は前走地方出走。内訳はJBCクラシック【4-2-1-22】勝率13.8%、複勝率24.1%、マイルCS南部杯【2-2-1-5】勝率20.0%、複勝率50.0%、日本テレビ盃【1-0-0-1】勝率、複勝率50.0%など。
JBCは持ち回り開催なので前走競馬場も距離もまちまちだが、それでも好成績。やはりJRAの中距離ダート戦線トップクラスが揃うレースだけある。ただし、気になるのは前走JBCクラシック勝ちが【0-1-0-5】複勝率16.7%で連勝がない。コパノリッキー、アウォーディー、サウンドトゥルー、チュウワウィザード、クリソベリルと錚々たるメンバーが連勝を阻まれてきた。地方と中央、異なる適性の壁を越えるのは簡単ではないということ。
昨年覇者テーオーケインズは舞台適性こそ十分あるが、これをクリアできるか。ひとつ強調できるとすれば、前走は盛岡ダート2000mで決着時計は2.02.1。さほど遅い時計ではなく、スピードを問うレースだった。中京ダート1800mにつながりそうな予感はある。
ほかには2着クラウンプライド、6着オーヴェルニュが登録。前走2着は勝ち馬と同じく【0-0-1-3】複勝率25.0%、6~9着【0-0-0-4】とどちらも強調しづらい。JBCクラシックのホットゾーン3、4着【4-1-0-5】に該当する馬がいない。
前走マイルCS南部杯は3着シャマルが該当。こちらは中団【2-2-0-3】勝率28.6%、複勝率57.1%。マイル戦でひと溜めした馬が好成績。サンプル数が少ないので、このデータで判断はできないが、シャマルの戦歴からもマイル戦でよく粘ったほうで、さらなる距離延長はプラスにならないだろう。
前走JRA重賞組は強調しにくい
前走地方組にデータから強調できる馬がいないので、前走JRA出走組にも注目していこう。前走GⅢ【0-4-4-53】複勝率13.1%は前哨戦のみやこS【0-2-3-25】複勝率16.7%と武蔵野S【0-2-0-21】複勝率8.7%。みやこSは3着以内【0-2-1-11】、4~9着【0-0-0-11】、10着以下【0-0-2-3】。好走か大敗の両極端。今年は勝ったサンライズホープを評価。ハピ、サクラアリュールは残念ながら該当しない。
今年のみやこSは前半1000m通過1.01.7。400~600mで13.7が記録される遅めの入りだったが、600~1000m12.3-12.1と向正面でペースアップする変則的な流れ。後ろからまくって差し切ったサンライズホープは前半の流れを味方につけた好走。強調はしにくい。昨年はシリウスSを勝って挑み、15着大敗。今年はこれを上回れるだろうか。
前走武蔵野Sは4着スマッシングハーツ、6着タガノビューティー、9着サンライズノヴァが登録。登録馬が該当する前走4着【0-0-0-2】、6~9着【0-1-0-4】複勝率20.0%。18年ウェスタールンド2着がこのパターン。しかしタガノビューティー、サンライズノヴァはほぼ東京専用。東京で負けて、適性の異なる中京で巻き返すイメージを抱きにくい。
ほかでは前走シリウスS【0-0-0-5】、前走芝出走【0-0-0-3】。テーオーケインズをはじめ、データで強調できる馬が少ない組み合わせなら、ダートに戻すグロリアムンディまで出番はあるか。安易に傾向に反するからと切らずに思わぬ伏兵までしっかり気を配りたい。
ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュース個人オーサーを務める。新刊『テイエムオペラオー伝説 世紀末覇王とライバルたち』(星海社新書)に寄稿。
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