【ジャパンC】遅れてきた大器がGⅠ制覇へ 東大HCの本命はヴェラアズール
東大ホースメンクラブ
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秋古馬三冠第2戦、2022年東京フィナーレ
今週日曜は東京芝2400mを舞台に、GⅠ・ジャパンCが行われる。秋古馬三冠の第2戦にして今年の東京開催を締めくくるビッグレースだ。
復権を期す昨年の日本ダービー馬シャフリヤール、天皇賞(秋)3着からさらに上の着順を目指すダノンベルーガ、ダートの条件戦から芝で開花したヴェラアズールなど日本勢に、パリ大賞覇者オネスト、凱旋門賞馬トルカッタータッソの弟テュネス、ニエル賞でドウデュースを倒したシムカミル、昨年のジャパンC5着で日本のファンにもなじみ深いグランドグローリーら海外勢4頭が襲いかかる。
久々に国際色豊かなメンバーが集結し、予想しがいのある一戦。過去のデータを参考に馬券戦略を考えていく。
好走馬は絞りやすい
<ジャパンC・前走別成績>
国内GⅡ5着以下【0-0-0-27】勝率0.0%/連対率0.0%/複勝率0.0%
天皇賞(秋)【10-8-12-73】勝率9.7%/連対率17.5%/複勝率29.1%
京都大賞典【3-1-0-22】勝率11.5%/連対率15.4%/複勝率15.4%
アルゼンチン共和国杯【1-1-1-23】勝率3.8%/連対率7.7%/複勝率11.5%
(外国馬)【1-0-1-72】勝率1.4%/連対率1.4%/複勝率2.7%
※2003年以降
東京競馬場が改修された2003年以降のジャパンCを参考に条件別成績を確認する。まずは日本馬を対象として各条件のデータをみていこう。
メンバーが揃いやすい格高のGⅠとあって前走クラス別成績には顕著な差が出ており、前走GⅢ以下の馬は【0-0-0-14】、前走GⅡで5着以下に敗れた馬も【0-0-0-27】と全滅。今年はヴェルトライゼンデ、トラストケンシン、シャドウディーヴァ、テーオーロイヤル、リッジマンが該当する。ヴェルトライゼンデはオールカマーで不利な外を通っての大敗、先週マイルCSをセリフォスで勝ったレーン騎手の手綱とあって人気が集まりそうだが、データ上は買いにくい。
1、2番人気を分け合いそうなシャフリヤール、ダノンベルーガが該当する前走天皇賞(秋)組は過半数の10勝を挙げており、やはり評価しておきたいところ。2番人気以内に推されると【6-4-9-2】複勝率90.5%と極めて信頼度が高く、馬券外の2頭も4着、5着と凡走がない。さらにこのうちダービーの連対馬なら【3-2-6-0】とパーフェクトで、強いて評価を上げるならシャフリヤールか。また、天皇賞(秋)組からは2019年1着スワーヴリチャード、2018年2着キセキ、2014年1着エピファネイア、2013年3着トーセンジョーダンなど2400m以上のGⅠで連対歴のある馬が好走しており、ユーバーレーベンも押さえておきたいところ。
気になる存在なのが前走京都大賞典(ヴェラアズール、ボッケリーニ)、前走アルゼンチン共和国杯(ハーツイストワール)の3頭。全体の好走率自体は高くないが、2レースで計4勝と侮れない。好走した7頭のうち5頭が前走上がり34秒0以内での勝利。条件を満たすヴェラアズールに追い風が吹いている。
最後に外国馬についても触れる。期間内では2005年のアルカセットが唯一の勝利、2006年3着ウィジャボード以降15年馬券絡みがない苦戦傾向は周知の通りだ。4角10番手以下【0-0-0-39】から分かるように後方待機からの直線勝負では日本馬にキレ負けしやすく、一定のポジションを取れることが絶対条件。加えて自身に持ち時計があり、決着が遅くなることが求められる。昨年5着のグランドグローリーの他、先行型のシムカミルを検討しておきたい。
遅れてきた大器、最強の証明
◎ヴェラアズール
今年1月まではダート中距離の条件戦をにぎわす一介の善戦マンに過ぎなかった馬が、芝の中距離路線で開花。中でも衝撃的だったのが4走前のサンシャインSで、レースの上がり3ハロン35秒5に対し同馬は34秒0の豪脚で追い込んで3着に入った。一頭だけ別次元の末脚は重賞のレベルに達しており、京都大賞典の楽勝でポテンシャルを証明した。
その京都大賞典では上がり33秒2を記録。阪神芝2400mで上がり33秒2以下を出した馬は多数いるものの、ヴェラアズールを除くケースは全て前半5F63秒0以上。今年の京都大賞典は前半5F60秒7と締まったペースで、まさに未曾有のパフォーマンスだった。
クラシックとは無縁、古馬になってからも脚光を浴びにくい路線でもがいてきた馬がたどり着いた檜舞台。東京芝2400mは父エイシンフラッシュが12年前に頂点を極めたコースでもある。鞍上に名手ライアン・ムーアを迎えた今回、国内最高峰のタイトルをつかみ取るサクセスストーリーに期待したい。
◯シャフリヤール
日本ダービー馬。昨年のジャパンCでは1角で内に閉じ込められる格好となり、鞍上が立ち上がるほどの不利を受けた上で3着。ドバイシーマC制覇は、GⅠ昇格以降日本馬ではハーツクライとジェンティルドンナしか成しえなかった快挙で、全て噛み合った条件では国内トップクラスの力があるのは間違いない。
前走の天皇賞(秋)ではパンサラッサとその他で別のレースのような展開となり、後方勢は極限の瞬発力勝負に。上がり32秒台が必要な展開では分が悪く、5着に敗れたのも致し方なしだ。今回は徹底先行型がユニコーンライオンのみで、ミドルペースからの持続力勝負が濃厚。必殺・藤原英昭調教師の叩き2走目でもあり、順当に浮上するだろう。
▲シムカミル
オールウェザー戦線から芝中距離に矛先を変えてきた3歳馬。パリ大賞では果敢に逃げ、直線では後方待機のオネストの強襲を許し2着に終わったものの、ゴール前では差し返しにいく根性を見せた。2分27秒8の走破タイムも稍重としては速い部類で、次走のニエル賞ではドウデュースらを完封している。
前述した通り海外馬は苦戦が続くが、決着時計が2分26秒1だった2013年で0秒2差5着のドゥーナデン、2分24秒7だった2015年で0秒3差6着のイラプトなど、一定の時計がかかれば通用の余地はある。外国馬は後方から伸びるも勝負に参加できず、というパターンでの惨敗が続いているが、確かな先行力を有するこの馬なら話は別。ニエル賞を勝ちながら凱旋門賞をパスし、条件が近いBCターフも蹴ってここに臨む本気度が、僥倖の1枠1番とともに激走を後押しする。
以下ダノンベルーガ、グランドグローリー、ユーバーレーベンに印を回す。馬券は◎をアタマ固定、◯以下を相手に据えた3連単とする。
▽ジャパンC予想▽
◎ヴェラアズール
◯シャフリヤール
▲シムカミル
△ダノンベルーガ
×グランドグローリー
×ユーバーレーベン
《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。
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