【ジャパンC】Cアナライズから2頭の有力馬が浮上! 前走不利データを覆し好走のダノンベルーガに期待
貴シンジ
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3つのファクターから推奨馬を見つけ出す
先週のマイルCSではダイワメジャー産駒のセリフォスが勝利した。中内田厩舎は毎年リーディング上位の一流厩舎だが、意外にも古馬混合GⅠは初勝利。ここまでセリフォスをマイル路線に拘って使ってきたことが結果となった一戦だった。まだ3歳のセリフォス、今後のマイル界を引っ張っていってもらいたいものだ。
さて、今回は11月27日(日)に行われるジャパンCを考察していく。筆者にとって初回ということもあり、しっかりと的中を目指してやっていきたい。ここでは下記3つのファクターを組み合わせる、名付けて「コンプレックスアナライズ」から推奨馬を見つけ出していく。
・レースの好走馬及び、凡走馬の共通項を探る「好走&消しデータ」
・目には見えない上積みを探る「前走不利データ」
・適性と素質を知るための「血統評価」
特別登録では23頭の登録があったが、ウインマイティー、ウインマリリン、ブルーム、マジカルラグーンは回避予定。トラストケンシンは除外対象なのでその5頭を除いた18頭を対象に分析を行う(使用するデータは過去10年分)。
好走&消しデータ
◆総合力が求められる王道レース フレッシュな3~5歳馬が好走傾向
最初は馬齢別のデータを見ていきたい。勝ち馬10頭はすべて3~5歳馬から出ていて、3着まで広げてみても6歳以上の馬たちの成績は【0-0-1-47】、13年3着だった7歳トーセンジョーダンが1頭絡んでいるだけ。一般的にサラブレッドは年齢を重ねると筋肉が硬くなる傾向があると言われており、スタミナだけでなくスピードや瞬発力も要求される東京芝2400mでは苦戦傾向だ。
【6歳以上の出走予定馬】
・カラテ
・グランドグローリー
・ゴールドスミス
・シャドウディーヴァ
・ハーツイストワール
・ボッケリーニ
・ユニコーンライオン
・リッジマン
◆人気が結果に直結しやすい。勝ち馬は人気馬から
前項でも述べたが東京芝2400mは総合力を問われる、いわば日本競馬の主流コースと言える。従って好走馬の多くはその実力を評価され人気となっていた馬たち。勝ち馬はすべて5番人気以内だ。先ほどの馬齢別データほど強烈なわけではなく、2、3着であれば6番人気以下の馬も5頭絡んでいるため、馬券の相手に人気薄を組み込む手もある。しかし、単勝オッズ30倍以上の馬は【0-0-1-96】であり大穴狙いは難しい。ちなみに前項で例外として登場したトーセンジョーダンは単勝オッズ100.3倍であり、ここでも例外の一頭となった。
【当日6番人気以下が予想される出走予定馬】
・カラテ
・グランドグローリー
・ゴールドスミス
・シムカミル
・シャドウディーヴァ
・テーオーロイヤル
・テュネス
・ハーツイストワール
・ユニコーンライオン
・リッジマン
◆所属別では関西馬優勢 海外馬は好走無し
所属別の成績では関西馬が8勝、3着以内を占める割合も8割だ。関東馬は出走数自体が関西馬と比べて少なく、勝率、連対率、複勝率ともに極端に低いわけではない。ただし一点注意が必要なのは関東馬の2勝は18、20年のアーモンドアイによるものであり、1番人気を背負ってのものだったこと。2番人気以下の関東馬は2着までしか成績を残せていない。アーモンドアイは別格という見方もできるため、取捨選択は慎重に行いたい。
また海外馬に関しては直近10年全く馬券に絡んでいない。ジャパンCといえば古くは日本馬が勝つことすら難しいレースだったが、近年は海外馬に逆風が吹いている。出走した海外馬の平均人気は10.8番人気と高くはないが、平均着順は11着でそれを下回る。最高着順も13年ドゥーナデン、17年アイダホ、21年グランドグローリーの5着。過去には凱旋門賞でオルフェーヴルを破り優勝したソレミアが出走したこともあったが、こちらもジェンティルドンナの13着と敗戦。2着オルフェーヴルに1.6秒離された。海外でのパフォーマンスをそのまま日本で発揮できる可能性は低く、割り引いて考える必要がある。
◆勝ち馬のローテーションは3択 京都大賞典組は前走時の人気が重要
ジャパンCは秋の最強馬決定戦という意味合いが強く、様々なローテーションから参戦がある。ただ過去10年で勝ち馬を輩出しているレースは天皇賞(秋)、秋華賞、京都大賞典の3つのみだ。まずは今回人気が予想されるなかで、上記3レース以外からの臨戦となる馬を見ていこう。
デアリングタクトはエリザベス女王杯からの臨戦。こちらは【0-1-0-1】とサンプル数自体が少ない。これはレース間隔が詰まってしまうことが要因の一つだろう。ヴェルトライゼンデの前走オールカマーは【0-0-0-5】と馬券に絡んだ馬が一頭もいない。これは小回りで急坂がある中山コースと、直線が長く大箱の東京コースでは求められる適性が異なることが大きな要因だと考えられる。
前走天皇賞(秋)のシャフリヤール、ダノンベルーガと、前走京都大賞典のボッケリーニ、ヴェラアズールはローテーションとしては問題ないが、京都大賞典組は前走時の人気が重要となる。
京都大賞典からは16年キタサンブラック、17年シュヴァルグランと2頭の勝ち馬が出ているが、両馬とも京都大賞典時は1番人気だった。今年の2頭を見ていくとボッケリーニは1番人気2着、ヴェラアズールは2番人気1着。ローテーションのデータからはボッケリーニの方が買いとなる。
【好ましい臨戦過程の出走予定馬】
・カラテ 天皇賞(秋)6着
・シャフリヤール 天皇賞(秋)5着
・ダノンベルーガ 天皇賞(秋)3着
・ボッケリーニ 京都大賞典1番人気2着
・ユーバーレーベン 天皇賞(秋)8着
前走不利データ:天皇賞(秋)ダノンベルーガ
ダノンベルーガの前走は天皇賞(秋)3着。これまで同レースで3着以内に入った3歳馬は春のクラシックで好走した経験があった。12年フェノーメノはダービー2着、14年イスラボニータは皐月賞1着、ダービー2着、21年エフフォーリアは皐月賞1着、ダービー2着の実績を持っての参戦であった。
対してダノンベルーガは皐月賞4着、ダービー4着と惜しい競馬はしていたが3着内には入ることはできなかった。そのデータを覆しての天皇賞(秋)好走は価値があり、今回はデータ的に好転が見込まれる。
血統解説:実績のシャフリヤール、将来性のダノンベルーガ
・シャフリヤール
父はディープインパクト。本馬は皐月賞、大阪杯勝ち馬アルアインの全弟だ。母ドバイマジェスティはBCフィリー&メアスプリント(GⅠ・ダート7F)の勝ち馬。母、兄ともにGⅠ馬であり活力を見せている一族と言える。また母ドバイマジェスティに至るまでEssence of Dubai、Great Aboveとスピード性能の高い米血を代々つけられている。父から芝適性やスタミナ、母からスピードを受け継ぐバランスの取れた配合だ。全兄アルアインと比べればディープインパクトの影響が感じられ、瞬発力のある柔らかいタイプ。
しかし、前走は左にモタれる面を見せたり、前を走るジャックドールより上がりの脚が使えなかったりと少々不満の残る内容だった。ポジションを取りに行ってかかってしまった部分は考慮すべきだが、3歳時と比べるとやや走りに硬さが見られる。母系の血が徐々に強く出てきた印象があり、切れ味勝負になると少々不利かもしれない。ある程度ポジションを取ることが好走のカギとなりそうだ。
・ダノンベルーガ
3代母Blue Moonを根幹として広がる一族。3代母、祖母、母、そしてダノンベルーガと4代続けて重賞級のサラブレッドが出ていることは優秀なファミリーである証だろう。
父はハーツクライで母父はTizwayという組み合わせだが、Tizwayはハーツクライ産駒と相性の良いDanzigやSeattle Slewを有している。ダノンベルーガの特徴はストライドが大きい走り。直線が長く加速しやすい東京コースは合っている。またハーツクライ産駒は晩成傾向が強い。母や祖母は早期から活躍できる血を有していたため、若駒の頃から活躍したが、3代母は父がLomitas、4代母は父がRainbow Questと元々は晩成傾向があり、成長力が高い一族だ。
ダノンベルーガはそんな一族のハーツクライ産駒とあって、前走時点ではまだトモに緩さがあった。前半先行するだけのスピードは持っておらず、差しに回る形になるため本格化には至っていないだろう。古馬になってもう一段階成長を見せそうだが、前走だけ走ることができればここでも通用する可能性が高い。
ダノンベルーガの末脚に期待
前走の天皇賞(秋)は不利データを覆しての3着、今回は複数のデータからも好走する可能性を見いだせるダノンベルーガを週明け段階の推奨馬とする。
前述した通りまだ完成の域には達していない本馬だが、今年のメンバーで東京コースなら差しに回って勝ち負けに持ち込める可能性は十分ある。
前走も加速地点こそイクイノックスに後れをとったが、ラスト1Fの脚色はそこまで変わらず、持続性能の高さを見せた。不安要素を挙げるとすれば、ペースが流れた時に追走が苦しくなる可能性があること。前走は大逃げを打ったパンサラッサこそハイペースで走ったものの、馬群全体はスローペースの流れ。今回も同様のペースかそれより遅い流れであれば問題ないが、ペースが流れて位置取りが下がると苦しい。展開を決めるカギとなる枠の並びも重要になってくるだろう。
ライタープロフィール
貴シンジ
競馬ライター。サラブレッドの血統をファミリー中心に分析する牝系研究家。3つのファクターから構築する「コンプレックスアナライズ」を駆使して競馬予想を行う。現在はWEBサイト『サラブレッド研究所』でも執筆を行い、一口馬主クラブ募集馬や、セリ馬の血統を独自の切り口から分析している。
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