【ジャパンC】栗東所属牝馬は複勝率5割超! ここで復活、デアリングタクト

門田光生

ジャパンC 日本馬の性別成績(過去15年),ⒸSPAIA

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外国馬はノーマークで

2022年11月27日に東京競馬場で行われる第42回ジャパンカップ。今年は海外から4頭が参戦予定となっているが、今回のデータ検証期間である2007年以降、外国馬は1頭も馬券に絡んでいない。最後に馬券に絡んだのは2006年(ウィジャボード3着)。2005年にアルカセットが1着となって以降は、すべて日本馬が勝っている。

本年度から東京競馬場に国際厩舎が作られ、これまでと違って現地で滞在できるというメリットがあるうえ、ラインナップも近年では一番魅力的だが、データで検証している性質上、今回に関しては外国馬はすべてノーマークとする。もし今年馬券に絡むことがあれば、風向きが変わったと考えて、来年以降に再検証していこうと思っている。

JC出走馬の所属,ⒸSPAIA
JC出走馬の性別,ⒸSPAIA
JC出走馬の年齢,ⒸSPAIA


☆所属、性別、年齢
冒頭で書いたように、外国所属馬は【0-0-0-52】で、15年間で馬券に全く絡んでいない。地方馬も【0-0-0-4】。一方、JRA所属馬は美浦3勝(6連対)、栗東12勝(24連対)。勝率、連対率でも栗東勢が上回っているが、ここ5年はいずれも美浦、栗東が1、2着を分け合っている。

性別は牡馬・セン馬8勝(20連対)、牝馬7勝(10連対)。出走頭数は牡馬・セン馬が219頭、牝馬は34頭。約7倍の差があって、勝利数はほぼ互角なのだから、牝馬が圧倒的に強いレースといえる。

年齢ではどうだろうか。3、4、5歳馬の間に大きな差はみられなかったが、6歳以上となると、該当する72頭中、連対したのは2007年の2着馬ポップロックだけとなる。

JC出走馬の前走クラス,ⒸSPAIA
JC出走馬の主な前走,ⒸSPAIA


☆前走クラスと主な前走
馬券に絡んだ馬は、すべて前走でGⅠ(国内+凱旋門賞)かGⅡ。最も多く勝ち馬を出しているのは、9勝(16連対)の天皇賞(秋)。2位が秋華賞、京都大賞典の2勝だから、いかに天皇賞(秋)組から好走馬が多く出ているかが分かる。

その天皇賞(秋)をさらに詳しく調べてみると、天皇賞(秋)に出走した牝馬は【5-1-1-4】で、連対率は何と50%を超えている。逆に、美浦の牡馬に限ると【0-0-2-18】となり、連対馬がいなくなる。人気しそうな馬でいえば、ダノンベルーガが当てはまる。

JC出走馬の前走着順,ⒸSPAIA
JC出走馬の前走人気,ⒸSPAIA


☆前走着順と前走人気
前走10着以下だった馬から勝ち馬が出ておらず、2着が1頭(2015年ラストインパクト)いるだけ。また、美浦所属馬だけに絞ってみると、連対した6頭中、5頭が前走1着。残る1頭も前走2着から連対した2019年のカレンブーケドール(天皇賞(秋)2着)。つまり、前走3着以下だと連対馬がいなくなり、ここでもダノンベルーガが該当してしまう。

最後に、前走で6番人気以下だった75頭からは、勝ち馬が出ていない。

牝馬の中で残ったのは?

ジャパンCのデータをまとめてみよう。まず好走確率が上がるのはA「牝馬」B「前走が天皇賞(秋)。ただし美浦の牡馬は除く」。

勝ち馬が出ていないデータはC「6歳以上」D「前走10着以下」E「前走2着以下の美浦所属馬」F「前走6番人気以下」。そして、過去15年で連対がないのはG「外国馬」H「天皇賞(秋)に出走した美浦所属の牡馬」I「前走がGⅢ以下」J「前走3着以下の美浦所属馬」。

まずは上記で出したデータと登録馬を照らし合わせて気づいたのだが、半分以上が何らかのマイナスデータに引っかかっていた。また、連対がないGHIJの4つのうちどれかに該当する馬も10頭いた。1週前登録の時点で出走馬のレベルが不安視されていたレースだが、マイナスデータを持つ馬が多いことからも、今年はレベルが高いとは言えなさそうである。

そんな中で、過去に連対率が50%を超えるA「牝馬」+「前走が天皇賞(秋)」に該当するのはユーバーレーベンだけ。すんなり本命が決まったと思ったが、F「前走6番人気以下」とJ「前走3着以下の美浦所属馬」のマイナスデータも持ち合わせている。特にJに該当する馬はここ15年で1頭も連対がなく、押さえるとしても3連系までだろう。

牝馬でマイナスデータを持っていないのはウインマリリンとデアリングタクトの2頭だが、ウインマリリンは回避(香港ヴァーズ出走)予定。

エリザベス女王杯6着を経ての参戦となるデアリングタクトだが、このローテから連対したのは、2013年の2着馬デニムアンドルビーだけ。デニムアンドルビーはエリザベス女王杯5着からの巻き返しだから、前走着順は気にしなくてもいいことになる。

また、牝馬の成績を美浦と栗東で比べると、美浦【2-1-0-6】、栗東【5-2-3-8】。栗東所属の牝馬は連対率が40%弱、複勝率が50%を超えるという優秀なもの。栗東牝馬の5勝は、すべてGⅠ勝ちの実績があった馬。

となると、本命はそれをクリアしているデアリングタクトでいいだろう。一昨年は3着だったが、当時より強敵不在の今回は、大いにチャンスということになる。

では、牡馬だとどれが有力候補になるのだろうか。まずはシャフリヤール。最も結果を出している天皇賞(秋)組で、マイナスデータを持たないのが魅力。あと、過去に2勝を挙げている京都大賞典組のヴェラアズールを。同じく京都大賞典組のボッケリーニは6歳という年齢が気になって見送り。ダノンベルーガは文中にも書いたように、連対なしのデータ2つに該当するため、これもノーマークとしたい。

◎デアリングタクト
◯シャフリヤール
▲ヴェラアズール
△ユーバーレーベン

《ライタープロフィール》
門田 光生(かどた みつお)
競馬専門紙「競馬ニホン」で調教班として20年以上在籍。本社予想などを担当し、編集部チーフも兼任。現在、サンケイスポーツにて園田・姫路競馬を中心に予想・記事を執筆中。
今年は4頭の外国馬が出走しますが、すべて欧州の馬ばかり。いろんな地域から参戦してこそのジャパンカップなんですけどね。その昔、インドの馬が出走していたなんて、今では信じられませんね。

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