【ジャパンC】能力重視の主流条件、注目は「トニービン」の血 有力馬の血統解説

坂上明大

2022年ジャパンCの傾向と血統,ⒸSPAIA

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傾向解説

国内GⅠ馬のみならず、海外GⅠ馬や地方所属馬の参戦など多種多様な顔ぶれが集結する2022年ジャパンC。ディープインパクト・キングカメハメハ時代が終わり、種牡馬のラインナップも実にバラエティに富んでいます。新時代のジャパンCで強い血統は何か、を整理していきましょう。

東京芝2400mは日本競馬の中心ともいえる主流条件で、そのコースレイアウトから能力差が結果に反映されやすい舞台です。そのため、日本競馬の頂点に立つことができる地力の高さは必須要件で、適性や調子だけではその差を埋めることが難しいGⅠのひとつといえるでしょう。過去10年の単勝オッズ別成績を見ても、好走馬の大半は19.9倍以下。まずは「強い馬」というのが、各データを見るうえでの大前提となるのではないでしょうか。

ジャパンCの過去10年、単勝オッズ別成績,ⒸSPAIA



単勝オッズ別成績(過去10年)
単勝オッズ 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収率 複回収率
9.9倍以下 9- 6- 7-16/38 23.7% 39.5% 57.9% 107 90
10.0~19.9倍 1- 2- 2-14/19 5.3% 15.8% 26.3% 70 78
20.0~29.9倍 0- 2- 0-10/12 0.0% 16.7% 16.7% 0 74
30.0~49.9倍 0- 0- 0-18/18 0.0% 0.0% 0.0% 0 0
50.0~99.9倍 0- 0- 0-26/26 0.0% 0.0% 0.0% 0 0
100.0倍以上 0- 0- 1-52/53 0.0% 0.0% 1.9% 0 23

東京芝2400mは日本の主流条件ですから、日本の主流血統が強いのは当然のこと。ただ、そのなかでも特に注目したいのはトニービンの血。瞬発力ではサンデーサイレンスに劣りますが、スタミナと持続力では同馬以上のポテンシャルを秘めており、ジャパンCの舞台ではトニービンが来日した1990年代から変わらず強い存在感を示しています。2015年4着ジャングルクルーズ(17番人気)、2021年4着サンレイポケット(10番人気)など超人気薄での好走が目立つ点もその証明といえるでしょう。

ジャパンCの過去10年、トニービン内包馬の成績,ⒸSPAIA



トニービン内包馬の成績(過去10年/単勝19.9倍以下)
- 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収率 複回収率
該当馬 2- 2- 4- 4/12 16.7% 33.3% 66.7% 153 133

血統解説

・シャフリヤール
母ドバイマジェスティは2010年BCフィリー&メアスプリントを制した短距離馬で、本馬の全兄には2017年皐月賞と2019年大阪杯を制したアルアインがいます。馬体重500キロ超のアルアインに対して、本馬は450キロ前後の小柄な馬体。これは、父ディープインパクトの影響が強いことを表し、芝中長距離で脚をタメた時の瞬発力は現役屈指のモノを持っています。母がGⅠを制したのは5歳時であり、アルアインも5歳時に大阪杯を制覇。早熟説で人気を落とすなら狙う価値のある一頭です。

・ダノンベルーガ
母の父にトニービンを持つハーツクライ産駒。上位人気馬では唯一のトニービン持ちであり、天皇賞(秋)3着の実績からも日本競馬の頂点に立てるだけの地力は十分に備えています。古馬になってからさらに良くなるタイプではありますが、今年のメンバーであれば地力、適性ともに上位の一頭であることは間違いありません。

・ヴェラアズール
母ヴェラブランカはフサイチホウオー(2007年皐月賞3着)、トールポピー(2008年オークス)、アヴェンチュラ(2011年秋華賞)の半妹。本馬はエイシンフラッシュ産駒らしく自身の競馬に徹する形がベストでしょう。やや主流血統からはズレており、蹄底も厚めのため、道悪馬場が合いそうです。

2022年ジャパンCの傾向と血統,ⒸSPAIA


ライタープロフィール
坂上明大
1992年生まれ、岐阜県出身。元競馬専門紙トラックマン(栗東)。2019年より競馬情報誌サラブレにて「種牡馬のトリセツ」「新馬戦勝ち馬全頭Check!」などの連載をスタートさせ、生駒永観氏と共同執筆で『血統のトリセツ』(KADOKAWA)を上梓。現在はYouTubeチャンネル『競馬オタク』を中心に活動し、パドック解説や番組出演、映像制作、Webメディアでの連載もこなす。



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