【京阪杯】逃げ先行有利のコースも、決め手で逆転可能! スプリンターズS8着マリアズハートが傾向に合致

勝木淳

京阪杯インフォグラフィック,ⒸSPAIA

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阪神芝1200mで問われる適性とは

「京阪」は京都と大阪を結ぶ私鉄であり、京都競馬場最寄りの淀駅がある。その京都改修のため、京阪杯は今年も引き続き阪神競馬場が舞台。京都から阪神競馬場へ私鉄で向かう場合、阪急京都線から神戸線への乗り継ぎが手っ取り早い。この阪急京都線は大昔、京阪の子会社である「新京阪鉄道」が建設した新京阪線だった。合併、分離といった紆余曲折を経て、新京阪線は阪急に譲渡され、阪急京都線に。京阪本線が主に淀川の東から南、京街道沿いを走り、阪急京都線が淀川の西から北側を進むのは元々、京阪が京都―大阪間の輸送網を強化するための住み分けでもある。今年は阪急、来年は京阪で秋競馬を楽しもう。

データは2012年以降、阪神芝1200m、古馬オープン・重賞18レースを使用。コース傾向から好走像を探る。

阪神芝1200mは3、4コーナー内回りを使用。スタートから3コーナーまでは243mと短く、前半600mにおけるコーナー占有率が高いため、ペースは速くならない。ただ、先行争いが3コーナーでも決着をつかない場合、コーナリングの巧拙が影響し、前半でスタミナをロスすることもあり、最後の急坂でペースが速くなくても逆転されることもある。先行争いを早めに制するためにも、スタートがカギを握るコースだ。


過去10年同条件人気別成績,ⒸSPAIA


コースレイアウトを踏まえ、それぞれの傾向をみよう。まず人気別成績だ。1番人気は【4-7-0-7】勝率22.2%、複勝率61.1%、3番人気【5-1-3-9】勝率27.8%、複勝率50.0%など上位人気は比較的信用できる。4番人気は【1-0-2-15】勝率5.6%、複勝率16.7%なので、ここに成績の断層がある。中穴好走が少ない分、10番人気以下は【3-2-4-102】勝率2.7%、複勝率8.1%と大穴も警戒。21年京阪杯は10番人気エイティーンガールが勝った。


過去10年同条件脚質別成績,ⒸSPAIA


コースレイアウトで触れたように、スプリント戦としては前半が速くならない舞台。逃げが【4-2-4-8】勝率22.2%、複勝率55.6%と好成績。ついで先行が【5-9-4-51】勝率7.2%、複勝率26.1%。前半が速くなく、かつ内回りとあって、基本は先行優位だ。しかし重賞の場合はペース次第。昨年のエイティーンガールは追い込みを決めた。使い込んだ阪神の馬場傾向も見極めたい。


過去10年同条件上がり3ハロン順位別成績,ⒸSPAIA


エイティーンガールは昨年上がり最速33.5を記録。上がり最速は【5-3-3-12】勝率21.7%、複勝率47.8%。ペースが速くない分、馬群が団子状態になるので、決め手で逆転できる。阪神の急坂に強い差し馬には注意だ。4~5位【5-2-4-29】勝率12.5%、複勝率27.5%の位置取りは逃げ【2-0-0-0】、先行【1-1-1-0】、中団【2-1-3-10】。逃げ、先行または決め手上位を中心にしたい。スプリンターズSで逃げたテイエムスパーダ、先行したファストフォースや同レース上がり最速タイのマリアズハート、決め手のあるタイセイビジョン、昨年覇者エイティーンガールはイメージに近い。


決め手上位のマリアズハート、トウシンマカオ

では前走成績にはどんな傾向があるのか。次は前走距離に注目し、馬柱から好走候補をピックアップできるようにしたい。


過去10年同条件前走距離別成績,ⒸSPAIA


前半が速くならず、スタミナを問われないからか、前走1200m未満が【2-3-1-19】勝率8.0%、複勝率24.0%と目立つ。25頭はすべて前走新潟芝1000m。好走馬のなかには20年CBC賞ラブカンプー13番人気1着、21年タンザナイトSレジェ―ロ15番人気2着と穴馬も目立つ。今年はルミエールAD4着ビリーバーが参戦予定。なおここの前走位置取り別成績は逃げ・先行【2-1-1-5】勝率22.2%、複勝率44.4%、中団・後方【0-2-0-14】複勝率12.5%。やはり直線競馬で先行できるスピードがほしい。ビリーバーは前走中団で、ややイメージがズレる。

同距離の前走1200mだと【13-13-12-157】勝率6.7%、複勝率19.5%。出走数が多いので率は高くないが、18レース中13勝は数字としては大きく、注目に値する。


過去10年同条件上がり3ハロン順位別成績,ⒸSPAIA


前走1200mについて上がり順位を出すと、1位【3-2-2-14】勝率14.3%、複勝率33.3%を筆頭に2位【2-0-1-15】勝率11.1%、複勝率16.7%が単勝候補。スプリンターズS上がり最速タイのマリアズハート、同舞台のオパールSを勝ったトウシンマカオも上がり最速を記録。この2頭は有力候補だ。ほかには逃げ一手のビアンフェ、高松宮記念3着と実績ある先行馬キルロードも候補として忘れたくない。

最後に京阪杯における前走スプリンターズS組は注意が必要。コースデータではなく、過去10年の京阪杯データでは、前走スプリンターズSは【2-1-2-21】勝率7.7%、複勝率19.2%でイメージほど走らない。5着以内【0-0-0-4】、6着以下【2-1-2-17】勝率9.1%、複勝率22.7%。出走予定馬は大半ここに該当。人気を集める馬もいる。過信は禁物といいたいところだが、阪神で行われた昨年はスプリンターズS組が1~3着を独占。やはり京都ではないことに注意すべきだ。昨年のエイティーンガールはスプリンターズS13着も上がりは2位タイ。今年のメンバーではマリアズハートが重なる。

ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュース個人オーサーを務める。新刊『テイエムオペラオー伝説 世紀末覇王とライバルたち』(星海社新書)に寄稿。


京阪杯インフォグラフィック2,ⒸSPAIA



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