【ジャパンC】外国馬4頭参戦! 日本勢有力候補はシャフリヤール、ダノンベルーガ、ヴェラアズール

勝木淳

ジャパンCインフォグラフィック,ⒸSPAIA

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3歳は前走レースに注目

外国馬が6頭、地方所属馬1頭を含む23頭が登録。エリザベス女王杯18着マジカルラグーン、ブルーム回避に加え、福島記念を含め中1週で登録に踏み切った陣営も多く、最終的な出走頭数は流動的。それでもフルゲートをあふれる登録頭数。ジャパンCの国際色豊かな華やかさが少しずつ戻ってきた。競馬ファンにとって世界の競馬との距離は年々近づきつつあるが、やはり世界のホースマンが育てた馬を間近でみられる機会は尊い。当日は競馬場に漂う文化の香りを堪能してほしい。データは過去10年間のものを使用する。


過去10年ジャパンC人気別成績,ⒸSPAIA


まず人気の傾向から。1番人気【5-1-1-2】勝率50.0%、複勝率80.0%。荒れるジャパンCはもはや昔話。チャンピオンコース東京芝2400mらしく、実力を存分に発揮できる。2番人気が【0-2-4-4】複勝率60.0%と勝利がないのは気になるものの、勝ち馬は5番人気以内。8番人気以下は【0-0-1-95】なので、狙っても中穴までだろう。


過去10年ジャパンC年齢別成績,ⒸSPAIA


レーティング上位で出走枠に入ったダノンベルーガが該当する3歳は【2-4-2-13】勝率9.5%、複勝率38.1%。ただし、この数字は前走秋華賞組が押し上げたもので、3歳、前走天皇賞(秋)は【0-0-0-3】なので注意しよう。主力は4歳【5-3-3-36】勝率10.6%、複勝率23.4%、5歳【3-3-4-40】勝率6.0%、複勝率20.0%だ。


過去10年ジャパンC年齢別成績,ⒸSPAIA


東京芝2400mのイメージから考えると意外なことに、上がり最速は【1-3-2-5】勝率9.1%、複勝率54.5%と勝ちきれず、2位【5-1-2-7】勝率33.3%、複勝率53.3%と3位【2-0-1-4】勝率28.6%、複勝率42.9%が勝ちきる傾向にある。上がり最速を記録してジャパンCを制したのはこの10年で昨年のコントレイル1頭しかいない。Cコース替わり2週目も影響するのか、後方からの差しは苦戦する。


最有力はシャフリヤール

ではここからは前走成績から傾向を探ろう。はじめに断っておくが、この10年、外国馬は【0-0-0-28】と好走なし。つまりデータから全消しとなってしまい、外国馬を分析できない。ここではJRA所属馬に限って分析する。


過去10年ジャパンC前走クラス別成績,ⒸSPAIA


前走クラスはGⅠかGⅡに限られ、GⅢ以下は好走なし。ジャパンCはこの10年、ある程度好走パターンが決まっているので、データから絞りやすいレースでもある。


過去10年ジャパンC前走GⅠ組レース別成績,ⒸSPAIA


前走GⅠの内訳をみると、前走天皇賞(秋)が【6-2-7-38】勝率11.3%、複勝率28.3%で着度数トップ。なんやかんやと中3週でのGⅠ挑戦は強い。今年は3着ダノンベルーガ、5着シャフリヤール、6着カラテ、8着ユーバーレーベンが登録した。


過去10年ジャパンC前走天皇賞(秋)組脚質別成績,ⒸSPAIA


天皇賞(秋)での位置取り別成績をみると、逃げ【0-1-0-0】(18年4番人気キセキ2着)、先行【2-0-2-7】勝率18.2%、複勝率36.4%、中団【4-1-3-19】勝率14.8%、複勝率29.6%、後方【0-0-2-12】複勝率14.3%。やはり好位、ないし中団待機ぐらいが理想。今年のメンバーでは4コーナー5番手だったシャフリヤール、9番手のカラテがよさそう。天皇賞(秋)はパンサラッサが飛ばし、前後半1000m57.4-1.00.1の超ハイペース。5番手で立ち回って5着だったシャフリヤールはむしろよく残ったと評価したい。ここはメンバー的に流れが落ち着く公算が高く、シャフリヤールの巻き返しは十分ある。


過去10年ジャパンC前走天皇賞(秋)組脚質別成績,ⒸSPAIA


前走天皇賞(秋)は人気も目安。前走5番人気以上は【6-0-6-11】、6番人気以下【0-2-1-27】。2番人気シャフリヤール、4番人気ダノンベルーガを中心に9番人気カラテ、10番人気ユーバーレーベンを検討したい。位置取りも一致するシャフリヤールはやはり有力候補だ。


高評価は京都大賞典組からヴェラアズール

前走が天皇賞(秋)以外だった馬は成績がイマイチ。なかでは前走京都大賞典【2-1-0-18】勝率9.5%、複勝率14.3%がまだいい。1、2着ヴェラアズール、ボッケリーニが登録したが、4着以内【2-1-0-10】、5着以下【0-0-0-8】、3番人気以内【2-1-0-9】、4着以下【0-0-0-9】。2頭はどちらもクリア。やはり上がり最速で差し切り、2馬身半差をつけたヴェラアズールのスケールが一枚上か。

昨年2着オーソリティと同ローテが前走アルゼンチン共和国杯【0-1-1-16】複勝率11.1。ここは1着【0-1-1-1】、2着以下【0-0-0-15】。今年はやや厳しいかもしれない。

最後に中1週ではエリザベス女王杯【0-1-0-1】。13年7番人気2着デニムアンドルビーはエリザベス女王杯5着。デアリングタクトも状態OKなら好走する余地は残る。

JRA所属馬ではシャフリヤール、ダノンベルーガ、ヴェラアズールがデータ上は候補に残る。外国馬はドイツGⅠ馬テュネス、昨年5着、凱旋門賞5着、プリンスオブウェールズSでシャフリヤールに先着したグランドグローリー、ニエル賞でドウデュースに先着したシムカミル、同馬にパリ大賞で勝ったオネストがスタンバイ。パリ大賞はやや重で2.27.7。記録上は1、2着オネスト、シムカミルが気になる。父はそれぞれ日本で重賞勝ち馬を出したフランケル、タマユズ。マジカルラグーンの例もあるが、3歳馬だけに可能性を感じる。

ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュース個人オーサーを務める。新刊『テイエムオペラオー伝説 世紀末覇王とライバルたち』(星海社新書)に寄稿。


過去10年ジャパンC前走天皇賞(秋)組脚質別成績,ⒸSPAIA



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