【秋華賞】ディープインパクト系、特に「Blushing Groom」内包馬に要注目 有力馬の血統を一挙解説

坂上明大

2022年秋華賞の注目血統,ⒸSPAIA

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傾向解説:バランス型ディープインパクト系が強い!

3歳牝馬三冠最終戦・秋華賞。昨年に引き続き、阪神芝2000mを舞台に行われ、直線の長い桜花賞やオークスとは一味違った適性が求められる一戦です。スターズオンアースの三冠達成の可能性を含め、阪神芝2000mの秋華賞に強い血統は何か、を整理していきましょう。

過去10年、阪神芝2000mで行われた重賞で好走が目立つのはディープインパクト系ステイゴールド系。両系統とも牡馬クラシック三冠馬を出す父系で、日本の主流系統とまとめても間違いはないでしょう。

阪神芝2000mは内回りコースとはいえ、コーナー角が緩やかで、直線距離も356.5m(Aコース)と比較的長め。他場の小回りコースとは異なり、主流血統も苦手としないコースレイアウトといえます。特に、秋華賞が行われるのは秋開催2週目の高速馬場。先に挙げた2系統の内でもディープインパクト系の方が適性は向きそうで、昨年の秋華賞では父か母父がディープインパクト系の馬が1~7着を独占しています。

阪神芝2000m重賞の父系別成績(過去10年),ⒸSPAIA


阪神芝2000m重賞の父系別成績(過去10年)
父系 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収率 複回収率
ディープインパクト系 12-12-10-71/105 11.4% 22.9% 32.4% 167 90
ステイゴールド系 7-4-6-31/48 14.6% 22.9% 35.4% 160 111

ただ、ディープインパクト系のなかでも、スピード型よりバランス型の配合馬の方が向く舞台であることは間違いありません。代表的なパターンとして挙げられるのはBlushing Groomを母方に持つ形。Wild RiskやHyperion、Lady Jurorなどがディープインパクトの母方を刺激しており、阪神芝1600mや東京芝2400mではワンパンチに欠く配合形ですが、その万能性が活きるのが阪神芝2000mという舞台です。今年の大阪杯優勝馬ポタジェがその典型例といえ、昨年の秋華賞2着馬ファインルージュも母方にBlushing Groomを持つキズナ産駒でした。

ディープインパクト系産駒の阪神芝2000m重賞成績(過去10年),ⒸSPAIA

ディープインパクト系産駒の阪神芝2000m重賞成績(過去10年)
条件 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収率 複回収率
Blushing Groom内包馬 2-3-0-10/15 13.3% 33.3% 33.3% 417 170


血統解説

・スターズオンアース
母スタセリタは2009年仏オークスなどGⅠ・6勝の名牝で、母サザンスターズの半妹には2017年オークス馬ソウルスターリングがいる良血。父ドゥラメンテはクラシック二冠の主流血統馬ですが、母母スタセリタがHyperionやLady Jurorを刺激しており、競走馬としてのバランスの良さが本馬の持ち味といえるでしょう。桜花賞とオークスを制していますが、舞台としては秋華賞が最も向く印象です。

・スタニングローズ
母母ローズバドは2001年秋華賞2着など一線級で活躍。その仔にはローズキングダム(2009年朝日杯FS、2010年ジャパンC)などがおり、本馬はローズキングダムの3/4同血の姪にあたります。ただ、本馬はクロフネが入る分、同馬よりも締まりが強く、パワー型寄りの芝中距離馬といった印象。スターズオンアースと同様に三冠のなかでは秋華賞の舞台が最も向きそうです。

・アートハウス
母パールコードは2016年秋華賞2着馬。本馬は父にスクリーンヒーローを配した晩成型中長距離馬で、オークスまでは素質の高さだけで走ってきた印象です。馬体重は変わっていませんが、秋緒戦のローズSではしっかりと成長の跡を見せており、春以上のパフォーマンスが期待できそうです。スクリーンヒーロー×ヴィクトワールピサという組み合わせも内回りコースにピッタリでしょう。

・ウォーターナビレラ
ディープインパクト系シルバーステート産駒であり、母方にはBlushing Groomを持つ配合形。そのほかにも、Haloの4×4、Lyphardの5×4、Robertoの4×5などを持ち、シルバーステートの特徴をバランスよく受け継いだ父の代表産駒です。阪神芝2000mという舞台は、2着と好走した桜花賞の舞台よりも向くのではないでしょうか。

2022年秋華賞、有力馬の血統解説,ⒸSPAIA



ライタープロフィール
坂上明大
1992年生まれ、岐阜県出身。元競馬専門紙トラックマン(栗東)。2019年より競馬情報誌サラブレにて「種牡馬のトリセツ」「新馬戦勝ち馬全頭Check!」などの連載をスタートさせ、生駒永観氏と共同執筆で『血統のトリセツ』(KADOKAWA)を上梓。現在はYouTubeチャンネル『競馬オタク』を中心に活動し、パドック解説や番組出演、映像制作、Webメディアでの連載もこなす。

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