【秋華賞】スターズオンアース、いざ三冠へ! 逆転候補筆頭は器用さ武器のスタニングローズ

勝木淳

秋華賞インフォグラフィック,ⒸSPAIA

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三冠がかかる最終戦

牝馬三冠最終章・秋華賞。今年はなんといってもスターズオンアースの三冠達成がかかる。混戦や上がり馬台頭も面白いが、やはり三冠となると、その緊張感はまったく違う。牝馬三冠は1986年メジロラモーヌが達成して以来、しばらく空白期間があったが、2000年代に入り、03年スティルインラブ、10年アパパネ、12年ジェンティルドンナ、18年アーモンドアイ、20年デアリングタクトと達成する場面が多くなった。

なかでもアーモンドアイとデアリングタクトはオークスからの休み明けで制した。スターズオンアースも同ローテーション。三冠達成なるか、興味はつきない。データは京都施行も含め、過去10年間のものを使用する。


過去10年秋華賞人気別成績,ⒸSPAIA


1番人気は【4-1-0-5】勝率40.0%、複勝率50.0%。昨年のソダシ10着のように人気を裏切るケースもあるが、前走がオークスだった1番人気は【2-0-0-0】。前出アーモンドアイ、デアリングタクトにスターズオンアースは続けるか。以前は大波乱のイメージもあった秋華賞だが、最近10年の勝ち馬は4番人気以内。穴は連下級にすぎず、三冠を阻止する逆転候補も上位人気から選びたい。


オークス直行組は着順と人気が重要

ではスターズオンアースの三冠達成の可能性と逆転候補について、前走成績を参考に考えてみよう。


過去10年秋華賞前走クラス別成績,ⒸSPAIA


まずは前走オークス【4-0-0-14】勝率、複勝率22.2%について。夏から始動しなければならないトライアル出走を避け、直行で秋華賞出走はもはやトレンド。スターズオンアース以外にも3着ナミュール、4着ピンハイ(除外対象)、5着プレサージュリフト、9着エリカヴィータがいる。


過去10年秋華賞前走オークス組着順別成績,ⒸSPAIA


4勝のオークス組はシビアで、前走1着【2-0-0-1】勝率、複勝率66.7%など3着以内【4-0-0-3】。4、5着馬の出走はなく、6着以下【0-0-0-11】。スターズオンアースと、逆転候補ナミュールとなる。

今年のオークスは近年と同様に前半1000m通過1.00.6と緩みない流れになり、ペースアップは残り800mからというロングスパート型の競馬。スピードと持続力を問うレースで総合力がないと厳しかった。そのため、最後の直線では伸びる、伸びないがくっきり。2着スタニングローズは紫苑S1着、7着アートハウスはローズS1着とハイレベル。上位に来た馬たちは基本的にみんな評価したい。

スターズオンアースは桜花賞馬ながらオークスでは3番人気。オークス3番人気からの直行は【0-0-0-2】。2頭はコントラチェックとユーバーレーベン。ユーバーレーベンもオークス馬だが、意地悪な見方をすれば、オークスの時点で死角アリという評価もあった馬は少し疑いたい。なお勝利した4頭はすべてオークス2番人気以内で、ナミュール(4番人気)も当てはまらない。


紫苑Sで改めて証明したスタニングローズの器用さ

次にトライアル組が該当する前走GⅡ【3-4-7-57】勝率4.2%、複勝率19.7%、GⅢ【2-4-0-32】勝率5.3%、複勝率15.8%について。母数の差もあって、馬券圏内の大半はここが占める。馬券的中のためにも押さえておきたい。


過去10年秋華賞前走GⅡ・GⅢ組レース別成績,ⒸSPAIA


内訳は前走ローズS【3-4-7-56】勝率4.3%、複勝率20.0%、紫苑S【2-4-0-24】勝率6.7%、複勝率20.0%で、それ以外だと【0-0-0-9】。ウォーターナビレラのクイーンSも【0-0-0-4】と好走がない。


過去10年秋華賞前走ローズS着順別成績,ⒸSPAIA


ローズS組の着順別成績は前走1着【1-1-2-5】勝率11.1%、複勝率44.4%、2着【1-1-1-7】勝率10.0%、複勝率30.0%が目立つものの、3着以下からの巻き返しもある点が特徴。20、21年ローズSは中京だった。20年は好走なしだが、21年はローズSを勝ったアンドヴァラナウトが3着。それ以前も1頭は好走する程度なので、今年も傾向としては変わらないとみたい。

今年のローズSは前後半1000m1.00.2-58.3とスロー寄りの流れ。しかし後半のペースアップは残り800mからと早く、決して瞬発力勝負ではなかった。先行して押し切ったアートハウスは高く評価したい。3着エグランタインも早めにペースアップする流れで伸びており、恵まれたわけではない。立ち回りの巧いタイプでもあり、混戦向きだ。


過去10年秋華賞前走紫苑S着順別成績,ⒸSPAIA


紫苑Sの数字は重賞になった16年以降の6年間のものだけにより注目したい。2着は3年連続で前走紫苑Sでもある。ここは前走1着【1-1-0-3】勝率20.0%、複勝率40.0%を筆頭に5着以内から好走馬を出す。今年は1~3着馬が出走。どの馬も注意したい。

その紫苑Sは前後半1000m1.00.8-59.1の締まった流れ。開幕週で先行勢優位の馬場だったとはいえ、残り600~200mにかけて11.4-11.4というラップを踏んでおり、スタニングローズ、サウンドビバーチェは内回り向きの加速力を証明した。3着ライラックはそこでやや置かれた点は気になるが、それでも最後に伸びてきたように混戦向きのしぶとさがある。


過去10年秋華賞前走紫苑S人気別成績,ⒸSPAIA


紫苑Sは人気別成績に特徴がある。紫苑S1~3番人気【2-3-0-3】勝率25.0%、複勝率62.5%、4番人気以下【0-1-0-21】。つまり紫苑Sを人気で好走した馬がいい。となると、1、2番人気で1、2着のスタニングローズ、サウンドビバーチェが浮上。6番人気だったライラックは一歩後退する。

スタニングローズは厳しい流れだったオークスで4コーナー4番手から2着に踏ん張り、休み明けの紫苑SではフラワーCと同じく器用な立ち回りとコーナーでの加速力を見せた。阪神内回り2000mの適性は高く、スターズオンアースを逆転する場面までありそうだ。

ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュース個人オーサーを務める。共著『競馬 伝説の名勝負』シリーズ全4作(星海社新書)。


過去10年秋華賞前走紫苑S人気別成績,ⒸSPAIA



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