単勝の最高額は前年超の「3万3,770円」、3連単は866万円 2024年中央競馬の高額配当ランキング

緒方きしん

2024年 3連単払戻金ランキングTOP5,ⒸSPAIA

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2024年の高額配当レースを振り返る

12月28日(土)をもって2024年の中央競馬が終了した。昨年はドウデュースやチェルヴィニアらの活躍に沸いた1年であったが、当然ながら人気馬が敗れて高配当が飛び出したレースも数多くある。

今回は2024年の高額配当を券種ごとにランキング形式で振り返っていく。

単勝&複勝トップ3 最高配当は単勝「3万3770円」、複勝「8030円」

2024年の単勝払戻金ランキングは下記の通り。

2024年 単勝払戻金ランキング


1位 12月7日 3万3,770円(京都・未勝利戦・ダ1200m)
2位 2月3日 2万4,710円(東京・未勝利戦・ダ1300m)
3位 11月16日 2万2,190円(東京・1勝クラス・芝1600m)

2024年はGⅠヴィクトリアマイルでブービー人気のテンハッピーローズが勝利。単勝配当は2万860円と多くの競馬ファンを驚かせる結果となった。ちなみに、これはランキング5位の高配当である。

ヴィクトリアマイルに限らず、昨年は牝馬が波乱を巻き起こすケースが多く、トップ10のうち6頭が牝馬であった。また、そのうち3頭は3キロ減での勝利と、若手騎手が波乱の立役者となっている。

特に石田拓郎騎手はトップ10に食い込む波乱を2度も起こしているだけでなく、単勝50倍以上の勝利が5回もあるなど、人気薄での好騎乗が目立った。

ランキング2位の鞍上はベテラン内田博幸騎手。昨年は芝で年間2勝と苦戦したが、ダートでは12月14日に7番人気1着、12月15日に13番人気1着と2日連続の勝利をあげるなど、意地を見せた。

内田騎手の記録が長らく1位に君臨したなか、12月についにその座が入れ替わる。1位の記録を生み出したのが、今年で16年目となる水口優也騎手だ。

12月7日(土)の京都3Rで勝利に導いたピーチマカロンの単勝配当は3万3,770円。2024年の単勝最高払戻金を更新するだけでなく、前年トップの3万2,810円をも超える高額配当を叩き出した。

この一戦もダートだったが、振り返ってみるとバハルダールやバトゥーキ、フルムなど、やはりダートでの活躍が目立った33歳。今年さらなるブレイクが期待される。

続いて、複勝の払戻金ランキングを見てみよう。


2024年 複勝払戻金ランキング


1位 10月26日 8,030円(東京・新馬戦・芝1600m)
2位 10月26日 7,260円(新潟・未勝利戦・芝1600m)
3位 10月26日 7,030円(東京・1勝クラス・ダ1400m)

JRA歴代1位の1万8,020円が飛び出した2023年と比べ、昨年は最高配当でも8,030円に留まった。

一方で印象的なのが、トップ3が全て「10月26日」であるという点。東京、新潟で立て続けに大荒れの馬券が続いた。ちなみに、この翌日も新潟で複勝5,910円という配当が飛び出し、全体10位にランクインしている。

複勝で見逃せないのが小沢大仁騎手の躍進だ。複勝で1000円以上を記録したのが12回と、人気薄でも買いたい騎手となっている。

なかでも印象的だったのが、複勝5700円をつけたピカレスクノベルとのコンビ。同馬のデビュー戦となった4月の未勝利戦では13番人気(単勝181.4倍)で3着に激走。次走もコンビ継続で挑み、そこでは1番人気(単勝2.7倍)に応えて勝利を挙げた。

そして、複勝のランキング1位となったのはマイネルフーガと野中悠太郎騎手。新馬戦で12番人気を覆す3着に食い込むと、次走も同コンビで2着と好走。初戦の複勝8,030円に対し、2戦目の複勝は230円だった。

同馬は父ダノンバラード、母父タイキシャトルという血統。Angelic Song、Devil's Bagの3×3全兄妹クロスとサンデーサイレンスの3×4クロスを持ち、血統ファンから見ても興味深い存在だ。

枠連&ワイドトップ3 最高配当は枠連「10万300円」、ワイド「9万7,200円」

2024年 枠連払戻金ランキング


1位 10月26日 10万300円(東京・1勝クラス・ダ1400m)
2位 6月22日 4万3980円(京都・未勝利戦・ダ1800m)
3位 2月25日 4万1920円(阪神・1勝クラス・ダ1200m)

JRA記録を53年ぶりに更新した2023年の14万9,110円と比べると見劣りするが、それでも10万300円という夢のある配当が飛び出した。

1位とはやや離れた2位に入っている京都競馬場だが、このほかにも3万3,870円や3万1,630円など、昨年は枠連での高配当が目立った。

また、1位は良馬場のレースだったが、2位が重で3位は不良、4位は稍重と馬場状態の影響も感じられる結果となっている。トップ5がすべて良馬場だった単勝のランキングとは異なる傾向と言える。

続いてはワイドの払戻金ランキング。

2024年 ワイド払戻金ランキング


1位 9月14日 8万8,770円(中山・未勝利戦・ダ1200m)
2位 6月29日 7万2,980円(福島・未勝利戦・芝1800m)
3位 2月18日 7万1,690円(小倉・未勝利戦・芝2000m)

トップはダート短距離の2歳未勝利戦。初ダートの圧倒的1番人気(単勝2.0倍)アルデショワが逃げて8馬身差の圧勝劇を見せたなか、その2、3着が12番人気(単勝199.4倍)ポップグルーヴと14番人気(単勝307.6倍)チュラットで波乱となった。なお、ポップグルーヴは以降も2戦連続で3着と実力を見せている。

2位の一戦も1番人気(単勝1.8倍)のサトノルチルが圧倒的人気で、勝利はならなかったものの2着。ところが、三強を形成した2番人気と3番人気が馬券圏外に敗れ、1着に8番人気(単勝46.8倍)のアッシュバーグ、3着には15番人気(単勝290.8倍)のデルマプラクリティが激走した。

なお、このレースは4着馬が14番人気で5着馬も16番人気。仮に5連単があれば大変な結果となっていたことだろう。

馬連&馬単トップ3 最高配当は馬連「28万7,720円」、馬単「74万3,660円」

2024年 馬連払戻金ランキング


1位 6月29日 28万7,720円(福島・未勝利戦・ダ1700m)
2位 8月25日 25万1,140円(新潟・未勝利戦・ダ1800m)
3位 2月3日 22万8,480円(京都・未勝利戦・芝1600m)

13番人気と8番人気の決着でNo.1の高配当が飛び出した福島の未勝利戦。ただし枠ではそれぞれ2番人気、4番人気と同居していたため、枠連の配当は9.0倍に留まっている。

勝ったのは、それまで後方からの競馬しかしていなかったウェルキン。乗り替わり2戦目の石田拓郎騎手が思い切って2番手からの競馬に挑戦し、見事勝利へ導いた。

3位は15番人気(単勝256.0倍)ペルフェツィオーネを7番人気(単勝17.6倍)モアニが差し切ったレースだ。勝ち馬の鞍上である永島まなみ騎手は大ブレイクの2023年に続き、昨年もアリスヴェリテとのコンビでマーメイドSを制し、重賞初制覇を達成した。

昨年の永島まなみ騎手はこのほかにも、ひまわり賞やききょうSなどのオープン競走で勝利。ききょうSを制したスリールミニョンとはGⅠ・阪神ジュベナイルフィリーズでもコンビを継続し、16番人気で5着に食い込んでいる。

続いて、馬単の払戻金ランキング。

2024年 馬単払戻金ランキング


1位 5月4日 74万3,660円(新潟・1勝クラス・ダ1800m)
2位 8月25日 60万7,070円(新潟・未勝利戦・ダ1800m)
3位 6月29日 38万8,840円(福島・未勝利戦・ダ1700m)

3歳でJRAから名古屋に移籍、3戦2勝で戻ってきたアイファーグローブが逃げ切った一戦がランキング1位を獲得した。

中央復帰後は2戦連続で掲示板を外していたが、コンビを組み続けた秋山稔樹騎手が見事な騎乗を披露。11頭立てのレースで10番人気→9番人気決着という非常に難解な結果となった。

ヴィクトリアマイルのテンハッピーローズ(14番人気)→フィアスプライド(4番人気)も、30万3,260円でランキング8位に食い込んでいる。このほかランキング3位と4位も牝馬限定戦だった。

3連複&3連単トップ3 最高配当は3連複「152万5,190円」、3連単「866万5,130円」

2024年 3連複払戻金ランキング


1位 1月20日 152万5,190円(中山・1勝クラス・ダ1800m)
2位 8月25日 90万7,740円(新潟・未勝利戦・ダ1800m)
3位 2月3日 77万5,800円(京都・未勝利戦・芝1600m)

152万円という高配当となった一戦を制したのは、ノボジャック産駒のジャックパール。2022年に10番人気1着、2023年にも13番人気3着と大穴をあけてきた同馬が、昨年も10番人気で激走した。

鞍上はデビュー2年目の小林勝太騎手。1年目に12勝をあげると、2年目の2024年は25勝をあげるブレイクを果たした。特に伏兵に騎乗した際の度胸は一級品で、二桁人気馬で5勝を記録している。

ただし、同騎手は美浦トレセン調整ルーム内で通信機器(スマートフォン)の使用があったため、昨年10月8日から今年10月7日まで、12か月の騎乗停止処分となっている。復帰後、改めての活躍に期待したい。

条件戦が上位を占めたなか、4位にはリステッド競走の信越Sが入っている。1着は5番人気レイベリングも、2着に15番人気シュバルツカイザー、3着に13番人気キタウイングが食い込んで67万8,380円の高配当となった。

こちらも9番人気や8番人気での勝利経験に加え12番人気2着もあるシュバルツカイザー、2023年のフェアリーSを11番人気で制したキタウイングといった人気薄での激走経験のある馬が上位に食い込んでいる。

高額配当ランキングもいよいよフィナーレ。最後を飾るのは3連単だ。

2024年 3連単払戻金ランキング


1位 8月25日 866万5,130円(新潟・未勝利戦・ダ1800m)
2位 12月7日 767万6,210円(京都・未勝利戦・ダ1200m)
3位 1月20日 710万3,680円(中山・1勝クラス・ダ1800m)

堂々の1位は8月の新潟未勝利戦。1着12番人気ウヌボレヤサン、2着13番人気バウンドトゥウィン、3着7番人気タキザクラという決着で、3連単866万5,130円の高配当が飛び出した。

勝ち馬の鞍上は藤田菜七子騎手。昨年10月に電撃引退した同騎手にとっての最後の勝利だった。あまりにも突然の出来事に大きな戸惑いや悲しみが広がったが、彼女の背中を見て成長してきた女性騎手たちが活躍してくれることだろう。

同レースで2着に食い込んだ13番人気馬の鞍上は大江原比呂騎手。今年が彼女たちにとって飛躍の一年となることを期待したい。


2024年 3連単払戻金ランキングTOP5


ライタープロフィール
緒方きしん
競馬ライター。1990年生まれ、札幌育ち。家族の影響で、物心つく前から毎週末の競馬を楽しみに過ごす日々を送る。2016年に新しい競馬のWEBメディア「ウマフリ」を設立し、馬券だけではない競馬の楽しみ方をサイトで提案している。好きな馬はレオダーバン、スペシャルウィーク、エアグルーヴ、ダイワスカーレット。

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