【中山金杯】重賞敗退組の巻き返しが目立つ カギは「5、6歳」パラレルヴィジョン、ラーグルフが面白い
勝木淳
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巳年の競馬
2025年は巳年。さて、巳年の競馬界は過去、どんな年だったのか。直近は2013年。今年12歳になる子供が生まれた年はロードカナロアが年度代表馬に輝き、ジェンティルドンナがジャパンCを連覇、オルフェーヴルが有馬記念で有終の美を飾った。
牡馬三冠はロゴタイプ、キズナ、エピファネイアが分け合い、牝馬三冠は桜花賞をアユサンが、メイショウマンボが残る二冠を奪取した。JRA全重賞の1番人気成績は【43-17-14-60】勝率32.1%、複勝率55.2%だった。
2001年は今年24歳になる方が生まれた。年度代表馬はジャングルポケット。牡馬三冠はアグネスタキオン、ジャングルポケット、マンハッタンカフェが優勝。ジャングルポケットはジャパンCを、マンハッタンカフェは有馬記念も勝った。
牝馬三冠はテイエムオーシャンが桜花賞、秋華賞の二冠を達成。オークスを制したレディパステルはケント・デザーモ騎手が手綱をとった。全重賞の1番人気は【34-29-16-49】勝率26.6%、複勝率61.7%。ちなみにその前の1989、1977年も三冠馬は誕生していない。巳年のクラシックは割れるらしい。
さて、ここからは2025年中山開催最初のメインレース、中山金杯のデータ分析を行っていく。なお、データは過去10年分を使用する。
中央競馬の馬券はじめは今年も東西金杯。東の中山金杯は厳冬期の芝2000m、ハンデ戦と縁起物であると同時に難解な条件設定だ。1番人気は【4-1-2-3】勝率40.0%、複勝率70.0%と、この条件のわりに健闘している。勝ち馬でいえば、2~5番人気は横一線で、複勝圏なら、7番人気以内は差がない。また、10番人気以下は3着3頭で、3連系は大穴にも目を配りたいレースだ。
サラブレッドは毎年1月1日に、一斉に年を重ねる。主力は4歳【3-3-2-20】勝率10.7%、複勝率28.6%、5歳【4-3-2-23】勝率12.5%、複勝率28.1%。6歳は【2-4-3-35】勝率4.5%、複勝率20.5%と2、3着が目立つ。単勝馬券は4、5歳から検討したい。
ちなみに、5歳6番人気以内は【4-3-2-11】勝率20.0%、複勝率45.0%、7番人気以下は【0-0-0-12】。5歳なら人気サイドを狙いたい。穴は6歳6番人気~【0-4-2-28】複勝率17.6%が良い。年齢の傾向を上手に利用しよう。
面白いのは前走重賞「6着以下」
今年のメンバーは近況でいえば、秋華賞5着クリスマスパレード、エリザベス女王杯4着シンリョクカ、オールカマー3着リカンカブール、チャレンジC3着エアファンディタあたりが良い。牝馬かベテランが並ぶあたりに難易度の高さがうかがえる。
前走3勝クラス【2-1-2-12】勝率11.8%、複勝率29.4%とハンデ戦らしく、レース格が上がっても通用する。オープン・L経由は【2-2-3-32】勝率5.1%、複勝率17.9%と数のわりにイマイチだ。
前哨戦的位置づけのディセンバーSが【1-2-2-18】と取捨を難しくしている印象がある。5着以内【1-2-2-3】、6着以下【0-0-0-15】。出走できれば3着バラジ、4着グランスラムアスクはチャンスだが、14着アケルナルスターはデータ上嫌いたいところだ。
前走重賞組は路線別に細かく分かれており、どのレースがベストとは言い難い。これも真冬のハンデ戦らしい傾向だ。そこで、レース別ではなく、ざっくり重賞組の着順別成績を出す。1着【1-1-1-2】など好走馬は当然、成績がいい。4着以内【4-3-3-15】勝率16.0%、複勝率40.0%なので、シンリョクカ、エアファンディタ、リカンカブールはやはりここでも注目すべき。
だが、問題はここから。前走重賞6~9着【2-1-0-31】勝率5.9%、複勝率8.8%、10着以下【0-2-2-38】複勝率9.5%と敗退組の巻き返しも目立つ。近況が悪く、成績が落ちたと見るのは早計で、正直、重賞組は着順を問わない。マイルCS11着アルナシーム、富士S16着パラレルヴィジョンなども3着以内ならチャンスがある。
では、重賞6着以下から巻き返すのは、どんな馬なのか。年齢別でみると、4歳は【0-0-1-13】複勝率7.1%とイマイチで、一方の5歳【2-1-0-10】勝率15.4%、複勝率23.1%や、6歳【0-2-1-17】複勝率15.0%が良い。前走重賞敗退からの巻き返しポイントは5、6歳だ。
パラレルヴィジョン、ラーグルフなどが候補。前者はダービー卿CT1着、後者は23年の中山金杯1着、中山記念2着とそれぞれ中山重賞の実績がある。近況は度外視していい。また、5歳マイネルモーントもチャレンジC6着でデータに合致するが、出走できるか微妙なライン。出てくるなら、狙いたい一頭だ。
ライタープロフィール
勝木 淳
競馬を主戦場とする文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュースエキスパートを務める。『アイドルホース列伝 超 1949-2024』(星海社新書)に寄稿。
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