【スプリンターズS】セントウルSを制する者は本番も制す 4歳牝馬メイケイエールが悲願のGⅠタイトル奪取だ

門田光生

2022年スプリンターズS、年齢別成績,ⒸSPAIA

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勝率、連対率が最もいい4歳

2022年10月2日に中山競馬場で行われる第56回スプリンターズS。下半期のGⅠ開幕戦ということで、この後に続くGⅠシリーズに弾みをつける意味でも、ぜひとも当てておきたい一戦である。

昨年は先行馬が上位3着までを独占したが、2019年、2020年は差し、追い込み馬が勝利。速い馬だけでなく、決め脚のある馬にもチャンスがある中山の電撃戦。果たしてどのような傾向があるのか。GⅠということで、今回はいつもより少し多い過去15年のデータを基にして検証していきたい。

スプリンターズS出走馬の所属,ⒸSPAIA
スプリンターズS出走馬の性別,ⒸSPAIA
スプリンターズS出走馬の年齢,ⒸSPAIA


☆所属、性別、年齢
美浦8連対(5勝)、栗東21連対(9勝)、外国馬1連対(1勝)。ここ5年だと美浦3勝、栗東2勝で、2着馬はすべて栗東所属馬だ。

性別だと、牡馬・セン馬が18連対(10勝)、牝馬12連対(5勝)。5年連続で牡馬と牝馬がそれぞれ1頭ずつ連対。連対率は出走頭数の少ない牝馬が上回っているが、勝率だとほぼ互角となっている。

年齢別で最も連対数が多いのは12連対の5歳。ただし出走頭数も最多、1着4回、2着8回という内訳であり、頭では狙いづらい。勝率、連対率が最もいいのは4歳。近3年で4頭の連対馬を出しており、年齢で狙うなら4歳馬が最有力候補と考えてよさそう。7歳以上は【1-2-1-51】で、勝ち馬は2010年のウルトラファンタジー(セン8、香港)。7歳以上の日本馬から勝ち馬は出ていない。

スプリンターズS出走馬の前走クラス,ⒸSPAIA
スプリンターズS出走馬の主な前走,ⒸSPAIA


☆前走クラスと前走
連対数が最も多いのは前走GⅡ組。7勝、2着7回、3着5回の成績で、馬券に絡んだ19頭はすべてトライアルのセントウルS組。続いてGⅢ組の10連対(5勝)、GⅠ組の5連対(2勝)と続く。GⅠ組の2勝は、2017年のレッドファルクスと2020年のグランアレグリアで、いずれも安田記念からの直行組。前走がオープンだと連対馬がいなくなり、条件戦から挑んできた馬に至っては、ここ15年で存在しない。

セントウルS、キーンランドCのトライアルと、同距離で行われる北九州記念の3つが主な前哨戦。この3レースで、連対馬の7割以上を占めている。この中で、最も成績がいいのはセントウルS。14頭の連対馬を出しており、前哨戦の3レースで頭一つ抜けている。キーンランドCは出走頭数が多いものの、勝ち馬が2頭しか出ておらず、勝率3.3%は3レースの中で最も低い。さらに、2014年の勝ち馬スノードラゴン以来、連対馬が出ておらず、近年のトレンドにも反している。北九州記念も10年以上、勝ち馬を出していないのが気になる。

スプリンターズS出走馬の馬体重,ⒸSPAIA


☆馬体重
短距離とダート戦は馬格のある方が有利という傾向にあるが、このレースも例にもれず、勝ち馬15頭はすべて前走時の馬体重が460キロ以上。2、3着馬も12頭ずついる(注:10年2着キンシャサノキセキは前走取消、2走前は504キロ)。このデータはクリアしておきたいところ。

スプリンターズSにおけるその他のデータ,ⒸSPAIA


☆その他
そのほかで気になるデータは前走着順。前走1着馬は【6-5-4-31】。そのうち、コンマ3秒以上で勝った馬は【3-2-0-4】となり、さらに好走確率が上がる。

セントウルS勝ち馬に注目

スプリンターズSのデータをまとめてみよう。まず好走確率が上がるパターンはA「4歳馬」B「セントウルSor安田記念組」C「前走をコンマ3秒以上で勝った」。

勝率、連対率が低くなってしまうのはD「7歳以上」E「キーンランドカップor北九州記念組」F「前走馬体重459キロ以下」。連対がないのはG「前走がオープン」。

近5年の傾向を調べてみると、勝ち馬はセントウルSか安田記念を使った馬の2択。近3年だと、4歳馬が4頭連対している。最近のトレンドでいけば、「4歳馬」で、前走が「セントウルSか安田記念」、かつマイナスデータを持たない馬が理想。これは過去15年の傾向ともほぼ一致するので、この条件を満たす馬が理想となる。

今回の登録馬ではシュネルマイスター(牡、前走3着)とメイケイエール(牝、前走1着)の2頭がそれに該当。この2頭が最有力ということで比較してみよう。まずは性別。牝馬の方が若干連対率がよく、まずメイケイエールがリード。続いて前走着順だが、前走3着【1-2-1-15】に対し、前走1着馬は【6-5-4-31】で、勝率、連対率ともに大きく上回っている。

メイケイエールは半分以上の確率で連対するC「前走をコンマ3秒以上で勝った」にも該当(セントウルSでコンマ4秒差勝ち)。さらに付け加えるなら、セントウルSの1着馬は4年連続で連対中。ここまで好走データがそろえば、本命にしない方がおかしい。

穴馬が来る時はどのようなケースなのか調べてみると、3着馬に人気薄が突っ込んで来るパターンが多いことが分かった。ここ10年の3着馬の人気は9、15、5、9、9、7、13、1、10、10。というわけで、一撃を狙うなら3連系の馬券が面白そう。人気薄で3着にきた馬の傾向だが、前哨戦の中では最も勝率が低かったキーンランドC組が5頭と最も多いことが判明。そのキーンランドCを人気薄で好走、もしくは人気で凡走した馬が狙い目だ。

今回だと、6番人気で1着のヴェントヴォーチェが該当。これを穴候補として推奨したい。ヴェントヴォーチェは5歳の牡馬だが、年齢+性別の比較だと、過去10年では5歳牡馬が3勝を挙げてトップとなっている。あと1頭はナランフレグ。安田記念→スプリンターズSで連対した3頭は、同じ年に高松宮記念を使ったという共通点があるが、ナランフレグもそれに該当する。下半期最初のGⅠは、この4頭で勝負したい。

◎メイケイエール
◯シュネルマイスター
▲ヴェントヴォーチェ
△ナランフレグ

《ライタープロフィール》
門田 光生(かどた みつお)
競馬専門紙「競馬ニホン」で調教班として20年以上在籍。本社予想などを担当し、編集部チーフも兼任。現在、サンケイスポーツにて園田・姫路競馬を中心に予想・記事を執筆中。
やたらと忙しかった9月がやっと終わろうとしています。ありがたいことに今月は馬券の調子がよかったのですが、忙しくて馬券を買うレースを絞った(絞らざるを得なかった)のが功を奏した気がします。手を出し過ぎると勝率、回収率が下がるのは重々承知なのですが、目の前で馬が走っていると、ねえ。

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