【レパードS】最有力はタイセイドレフォン 好素材ホウオウルーレットには気になるデータあり

勝木淳

レパードSインフォグラフィック,ⒸSPAIA

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JDD4着ハピの気になるデータ

今週の重賞はこのレパードSと札幌のエルムSの二つ。ともにダートで行われる。JRAの開催日程で芝の重賞が行われず、すべてダート重賞というのは今週だけ。灼熱の砂上決戦を楽しみたい。3歳ダート路線は24年から大井に三冠ロードが誕生、いずれレパードSの傾向も大きく変わっていくだろう。今年は以前と同じく、春に同世代で賞金を加算した組と古馬相手に条件クラスを勝った馬たちとの戦いという構図。各馬の出走レースをしっかり分析したい。データは過去10年間のものを使用する。

過去10年レパードS人気別成績,ⒸSPAIA


1番人気は【4-2-2-2】勝率40.0%、複勝率80.0%と抜けて好成績。その分、2番人気【2-1-1-6】勝率20.0%、複勝率40.0%以下は差がなく、10番人気以下【2-3-2-51】勝率3.4%、複勝率12.1%と大穴激走もしばしば。戦力比較の盲点になる人気薄をしっかり拾いたい。

過去10年レパードSキャリア別成績,ⒸSPAIA


キャリア4戦以下は【0-1-1-13】、3歳8月ともなると、キャリアの浅さはハンデのようなもの。6戦【4-1-3-15】勝率17.4%、複勝率34.8%、8戦【3-3-1-18】勝率12.0%、複勝率28.0%などに良績が集まる。今年ではJDD4着ハピが4戦。鳳雛S勝ちは実績最上位クラス。その鳳雛S2着タイセイドレフォンは次走古馬相手に2勝クラス突破。キャリアを理由に嫌うのは危険か。


ホウオウルーレットの気になるデータ

鳳雛S以外も各馬のパフォーマンスをしっかり見極めつつ、さらに好走パターンに合致する馬を絞っていく。

過去10年レパードS前走クラス別成績,ⒸSPAIA


前走クラス別成績をみると、前走重賞組が7勝、条件クラス3勝で重賞組優勢。なかでも前走ユニコーンSが【4-0-0-17】勝率、複勝率19.0%。今年は7着ビヨンドザファザーが該当も2勝クラスの身なので、抽選対象。ユニコーンSは前後半800m46.2-49.0のハイペース。最後200m12.6の持久力戦。ビヨンドザファザーの2勝目は東京ダート1600mで上がり35.2。決め手勝負のタイプでハイペースは避けたい。

重賞組では前走JDDも【3-3-3-12】勝率14.3%、複勝率42.9%と好相性。ハピと同じJDD0.3~0.5差は【1-0-0-2】で、15年1着クロスクリーガーがいる。キャリアの浅さは気になるが、裏を返せば浅いキャリアで着実に賞金を積んできたともいえる。

過去10年レパードS前走2勝クラス別距離別成績,ⒸSPAIA


次に前走2勝クラス【2-3-3-42】勝率4.0%、複勝率16.0%について。このうち前走1着は【2-2-2-19】。今年の3勝馬はカフジオクタゴン、シダー、ホウオウルーレット、タイセイドレフォンなど。前走2勝クラス組の前走距離は1800m未満【1-0-3-22】勝率3.8%、複勝率15.4%、1800m【1-3-0-13】勝率5.9%、複勝率23.5%、1800m超【0-0-0-7】。前走が阪神ダート2000mだったカフジオクタゴンがここに触れる。

理想は前走1800mなので、タイセイドレフォンを評価。その弥富特別は1000m通過1.01.1の締まった流れ。終始4番手だったタイセイドレフォンは上がり最速36.8で2着オディロンに1.3差圧勝。そのオディロンは次走前出カフジオクタゴンの2着。相手に恵まれたわけではなさそうだ。

今年も多くが当てはまる前走1700mはデータ上、やや不利だが、昨年メイショウムラクモが勝利した。同馬と同じいわき特別を今年勝利したホウオウルーレットは注目。勝ち時計は重馬場だったが、1.43.1。これはこの開催ナンバー1。良馬場のリステッド・ジュライSが1.43.7なので、時計が速い馬場とはいえ、記録としては評価できる。このレースでホウオウルーレットは内枠から中団追走、4コーナー6番手、最後の直線での脚色は2着以下を圧倒、上がり最速36.3だった。半兄はオメガパフューム。距離の壁があるわけがない。

ひとつ気になるのは前走2勝クラス、1800m未満、1着、上がり最速は【0-0-0-7】。昨年2番人気15着ルコルセール、4番人気9着ホッコーハナミチと人気で負けた。

過去10年レパードS前走2勝クラス・1800m未満組別脚質別成績,ⒸSPAIA


それを裏づけるように前走2勝クラス、1800m未満だった馬は前走先行【1-0-2-11】勝率7.1%、複勝率21.4%、中団【0-0-1-6】複勝率14.3%。古馬相手に先行して粘り込んだ経験がほしい。今年これに該当するのが前走岩国特別2着のグットディール、インディアT2着トウセツの2頭。2頭とも前走勝ち切れてはいない点は気にはなる。

過去10年レパードS前走2勝クラス・1800m組脚質別成績,ⒸSPAIA


同じデータを前走1800mについて出すと、やはり前走先行が【1-2-0-4】勝率14.3%、複勝率42.9%と強い。タイセイドレフォンは条件戦組の最有力候補といっていい。

過去10年レパードS前走1勝クラス・コース別成績,ⒸSPAIA


最後に前走1勝クラス【0-3-0-29】複勝率9.4%について。数字上は厳しいが、昨年10番人気2着スウィープザボード、17年12番人気2着サルサディオーネなど破壊力抜群。その前走コース別成績は中京ダート1800m【0-2-0-1】複勝率66.7%、東京ダート1600m【0-1-0-3】複勝率25.0%。大穴候補には左回りという共通項がある。2勝馬ながら、ヘラルドバローズ、アーテルアストレアは前走中京ダート1800m。前者はヒヤシンスS2着馬で、父シニスターミニスター。同産駒が100回以上出走したコースのなかで、勝率トップは新潟ダート1800m【17-11-7-90】勝率13.6%、複勝率28.0%。とくに外枠での成績がいいので、ヘラルドバローズの枠順にも注目したい。

ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュース個人オーサーを務める。共著『競馬 伝説の名勝負』シリーズ全4作(星海社新書)。


レパードSインフォグラフィック2,ⒸSPAIA



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