【クイーンS】ヴィクトリアマイル組を最優先 前走大敗は問題なし、メイショウミモザ反撃だ

門田光生

クイーンSの前走クラス別成績(過去10年),ⒸSPAIA

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古馬と3歳馬が激突

2022年7月31日に札幌競馬場で行われる第70回クイーンS。エリザベス女王杯を目標とする古馬に加え、秋華賞狙いの3歳馬も参戦してくる、注目のレースである。果たしてどの世代が結果を出しているのか。また、いわゆる「夏の上がり馬」にもチャンスはあるのか。今回も過去10年のデータを基にして検証していきたい。なお、札幌8回、函館2回と2つの場所で行われているが、施行時期は大きくは変わらないということで、この点については気にせず進めていくことにする。

ところで、今週から2週間、札幌と新潟の2場開催となる。小倉が行われないのは「暑熱対策の観点から」という理由らしいが、正直、夏は日本全国どこでも暑い。新潟も8月の平均気温は30℃である。この時期に開催が1場減るというのは、後のない3歳未勝利馬にとって死活問題。私もひと口馬主で未勝利馬を抱えているだけに、余計にそう感じてしまうのだろう。

クイーンS出走馬の所属,ⒸSPAIA
クイーンS出走馬の年齢,ⒸSPAIA


☆所属と年齢
美浦所属馬4勝(7連対)、栗東所属馬6勝(13連対)。勝率では美浦所属馬が少し上回っているが、連対率はほぼ差なし。中立の地・北海道で行われるレースらしく、東西での差はほぼなかった。

年齢別で調べると、最も連対数が多いのは4歳馬の10連対(5勝)。連対率も25%あり、この世代が中心と考えていいだろう。続いて6連対の5歳馬だが、1勝しかしておらず勝率的に物足りない。3歳馬は【2-0-1-9】で、馬券に絡んだ3頭はすべて関東馬。よって、関西の3歳馬は割引が必要となる。逆に5歳以上の関東馬は【0-2-2-22】と勝ち馬が出ていない。若い馬なら関東馬、年長馬なら関西馬、という傾向のようだ。

クイーンS出走馬の前走クラス,ⒸSPAIA
クイーンS出走馬の主な前走,ⒸSPAIA


☆前走クラスと前走
条件戦、およびオープンから挑んできた組は未勝利。基本的には重賞を走っている実績馬から選択するのがよさそう。中でも、前走でGⅠ(海外含む)を使った馬が7勝、2着4回。連対馬の半分を占めている。これを美浦所属馬に絞ってみると【5-1-2-5】。半分以上が馬券に絡むという、優秀な結果となった。

GⅠ経由で連対した11頭のうち、8頭がヴィクトリアマイルを使っていた。残るはオークスとNHKマイル、そしてドバイターフ。王道はヴィクトリアマイルだが、いずれにしてもGⅠ出走馬は軽視禁物だ。馬券に絡んだ3歳馬3頭も、前走でGⅠを使っていた。

福島牝馬S組からは9頭が出走して【1-0-0-8】。マーメイドS【2-2-2-16】に比べると、好走確率が低くなっている。

クイーンSにおけるその他のデータ,ⒸSPAIA


☆その他
続いて、細かいデータを挙げてみる。まず前走が斤量51キロ以下で出走していた11頭から連対馬は出ていない。また、前走馬体重が480キロ以上あった30頭も、最高着順は3着。大型馬が苦戦の傾向となっている。(2018年の勝ち馬ディアドラは、おそらく前走馬体重が480キロ以上だったと思われるが、海外のため不明)。種牡馬では、小回りが得意のはずのステイゴールド産駒が【0-1-1-11】とひと息(今年は出走なし)。また、ハーツクライ産駒(7頭)も全頭が着外だ。

場所では、前走が東京だと【6-5-5-19】と好成績。それに対して、函館で走っていた馬は【0-2-2-23】。出走頭数を考えると、勝ち馬が出ていないのは物足りない。しかも2014年の2着馬アロマティコ(巴賞経由)以降は連対がなく、近年のトレンドからも外れている。最後に、黒鹿毛、そして青鹿毛の成績が【0-3-5-43】と、これも結果がいまひとつ。やはり黒っぽい馬は暑さに弱いのだろうか。なお、今回は前走着順や前走人気において、顕著な差は出ていなかった。

ヴィクトリアマイル組に注目

クイーンSのデータをまとめていこう。まず好走パターンだがA「4歳馬」B「前走GⅠ組」C「前走が東京競馬場」。

不発の可能性が高いのはD「5歳以上の関東馬」E「ハーツクライ産駒」F「黒鹿毛、もしくは青鹿毛」G「前走が函館競馬場」。連対がないデータはH「3歳馬で、栗東所属または前走GⅠ以外」I「前走51キロ以下」J「前走馬体重480キロ以上」。

今回のプラスデータは3つあるが、注目したいのはB「前走GⅠ組」とC「前走が東京競馬場」。好走馬が多いGⅠ組で、最も結果を出しているヴィクトリアマイル組(【4-4-4-9】)は同時にC 「前走が東京競馬場」も満たすことになる。3年連続でこのヴィクトリアマイル組が連対していることもあり、今年もこの組を中心に考えたい。

今年はテルツェット、マジックキャッスル、メイショウミモザ、そしてローザノワールの4頭が登録。このうち、テルツェットとマジックキャッスルは、勝ち馬が出ておらず、連対率も目立たないD「5歳以上の関東馬」に該当。ローザノワールも、勝ち馬が出ていないF「黒鹿毛、もしくは青鹿毛」に当てはまる。

毛色に関しては、どこまで信用していいのか正直よく分からないが、サンプル数が多いこと、ほかの重賞ではここまではっきりした結果が出ていないことを踏まえて、それなりに信頼できると考えたい。

というわけで、残ったメイショウミモザを指名。ヴィクトリアマイルでは大敗したが、昨年の勝ち馬テルツェットもヴィクトリアマイル14着から巻き返して優勝した。このレースは前走着順に有利、不利のデータがなかったこともあり、気にしなくていいだろう。

残った3頭だが、勝率0%のデータを抱えているとはいえ、連対なら可能性があるので相手には入れておきたい。あと1頭追加するなら、4歳馬で前走が東京競馬場、かつマイナスデータがないスライリーを。

◎メイショウミモザ
◯ローザノワール
▲テルツェット
△マジックキャッスル
×スライリー

《ライタープロフィール》
門田 光生(かどた みつお)
競馬専門紙「競馬ニホン」で調教班として20年以上在籍。本社予想などを担当し、編集部チーフも兼任。現在、サンケイスポーツにて園田・姫路競馬を中心に予想・記事を執筆中。
旅行や遠方の友人との食事もそうですが、何か月前から予定を立てていても、当日にコロナの感染状況がどうなっているかは不明。今の時代、「思い立ったら即実行」が正解なのかもしれなせん。

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