【プロキオンS】1番人気が5連敗中 ダートで開花した芝重賞馬ブルーコンコルド、メイショウバトラー

緒方きしん

プロキオンS過去5年間の優勝場,ⒸSPAIA

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ブロードアピールやベストウォーリアらが制した一戦

今週はプロキオンS。2019年マイルCS南部杯勝ち馬サンライズノヴァや2020年東海S勝ち馬エアアルマス、昨年末の名古屋グランプリ勝ち馬ヴェルテックスらが登場する。さらに1年ぶりの実戦となるユニコーンライオンなど、面白いメンバーが揃った。

過去にはバトルラインやブロードアピール、シルクフォーチュンやベストウォーリアらが勝利した一戦。近年もアルクトスやマテラスカイが制している重要なダート戦だ。昨年と今年は本来の中京ダート1400mではなく、小倉ダート1700mでの代替開催となるプロキオンS。その歴史を振り返る。

1番人気は5連敗中

プロキオンS過去5年間の優勝場,ⒸSPAIA


ここ5年で1番人気馬は全敗。2017年カフジテイクと2018年インカンテーションは1番人気で2着に入ったものの、2019年にマテラスカイが5着に敗れると、ここ2年の1番人気は掲示板外に敗れている。

その昨年は2番手14番人気トップウイナーと逃げた12番人気メイショウウズマサが、それぞれ2、3着と粘る大激走。好位から2頭を差し切ったメイショウカズサも9番人気という波乱の決着となった。結果、馬連は536.8倍、三連単は19441.4倍という配当。2020年も三連単は8266.7倍、2着・3着のワイドが116.5倍と、かなりの高配当が飛び出した。

過去にはノボバカラやブルーコンコルド、ワイルドワンダーといった名ダート馬たちが1番人気に応えて勝利をあげている。また、ブロードアピールやケイアイガーベラ、メイショウバトラーやゴールドティアラといったダートの名牝たちもここを制覇。2020年に9番人気ながら3着のヤマニンアンプリメも、6歳の牝馬だった。

2008年南部杯の1~3着を占めた、プロキオンS優勝馬たち

プロキオンSの歴代勝ち馬を眺めていくと、2005年ブルーコンコルド、2006年メイショウバトラー、2007年ワイルドワンダーという並びに目が留まる。2008年のマイルCS南部杯が、1着ブルーコンコルド、2着メイショウバトラー、3着ワイルドワンダーという順での決着だった。いずれもダート界を長く牽引した名馬である。

フサイチコンコルド産駒のブルーコンコルドは2002年に芝1000m戦でデビュー。新馬戦を2着で終えると、続く芝1200m戦を快勝し、小倉2歳Sで2着、京王杯2歳S勝利など実績を残して皐月賞にも出走した。3歳11月にダート転向初戦でオープン競走・霜月Sを制すると、そこからダートに専念。5歳時に2005年プロキオンSを含む4連勝でJBCスプリントを制してGⅠ級競走のタイトルを獲得した。その後はマイルCS南部杯やJBCマイル、東京大賞典やかしわ記念などを制覇。9歳まで、ダート界で一線級の活躍を続けた。

2006年プロキオンSの覇者メイショウバトラーは、ブルーコンコルドと同世代の2000年生まれで、10歳まで現役を続けたタフな牝馬だった。父はメイショウホムラ、母はメイショウハゴロモ、母の母もメイショウエンゼルという"メイショウ"血統。こちらも2004年の小倉大賞典を制するなどもともとは芝で活躍していたが、ダート転向後にさらに才能を開花させた。

初めてのダート重賞挑戦となったのが6歳夏の2006年プロキオンSで、シーキングザベストら素質馬を撃破。そこから7~9歳まで毎年重賞を制し、引退となった10歳シーズンでもクラスターCで3着、マイルCS南部杯で4着など驚異の走りを見せ続けた。

そして2007年プロキオンSの勝ち馬であるワイルドワンダーは全9勝をダートであげた、生粋のダート馬である。父はブライアンズタイム、母の父サンデーサイレンスという血統。この大種牡馬×大種牡馬という配合の馬では、ワイルドワンダーは歴代ナンバーワンの3億円以上もの賞金を獲得している。5歳シーズンでは、オープン競走のコーラルS、重賞のアンタレスS、プロキオンSで3連勝を成し遂げるなど活躍を収めた。

しかし同年のマイルCS南部杯2着、翌年のフェブラリーS3着、かしわ記念3着と、GⅠ級競走の勝利にはあと一歩届かない結果が続いた。引退後は種牡馬となり、自身を生産した静内フジカワ牧場の生産馬から、父として中央勝ち馬を多数輩出している。

芝からの転向組にも注目

ワイルドワンダーのような生粋のダート馬だけではなく、ブルーコンコルドやメイショウバトラーのように芝の実績馬が活躍することも少なくない。2018年3着ウインムートは新馬戦をはじめ芝レースで4勝をあげていたし、2017年3着ブライトラインは芝重賞ファルコンSを制覇。2020年2着エアスピネルの芝重賞での活躍は説明不要だろう。

今年も、きさらぎ賞の勝ち馬ラーゴムや芝3勝馬エアアルマス、芝4勝馬エクレアスパークルらが出走する。果たしてここから好走馬は登場するだろうか。また、アルクトスやマテラスカイなどのように重賞初制覇の舞台となることも多いプロキオンS。今年のメンバーから未来のダート王が登場するか、注目したい。

ライタープロフィール
緒方きしん
競馬ライター。1990年生まれ、札幌育ち。家族の影響で、物心つく前から毎週末の競馬を楽しみに過ごす日々を送る。2016年に新しい競馬のWEBメディア「ウマフリ」を設立し、馬券だけではない競馬の楽しみ方をサイトで提案している。好きな馬はレオダーバン、スペシャルウィーク、エアグルーヴ、ダイワスカーレット。

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