【日本ダービー】「芝1800m重賞を上がり最速勝ち」がカギ 東大HCの本命はダノンベルーガ

東大ホースメンクラブ

日本ダービーインフォグラフィック,ⒸSPAIA

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高速化で生まれる1800m重賞とのリンク

ついに競馬の祭典・GⅠ日本ダービーがやってくる。2019年に生まれたサラブレッド7522頭の頂点を決める一戦。レースが終われば着順という差がつくが、この舞台への出走権を勝ち取った段階で全馬が勝者といっていい。栄えある18頭、18人のジョッキーに拍手を送りつつ、熱狂の2分20秒を見届けたい。

そして馬券を購入するファンにとってはここ一年の自分の眼を試される一戦である。新馬戦から重賞戦線にかけての各馬のレースぶりを評価し、的中をつかみ取りたい。東京競馬場が改修された2003年以降のダービーデータをもとに予想を組み立てていく。


2003年以降日本ダービー芝1800m重賞勝ち馬成績,ⒸSPAIA


<ダービー×1800m重賞勝ち馬 条件別成績>
全体成績【10-9-4-55】勝率12.8%/連対率24.4%/複勝率29.5%
上がり最速で勝利【7-3-4-20】勝率20.6%/連対率29.4%/複勝率41.2%
札幌2歳S勝ち馬【1-0-0-11】勝率8.3%/連対率8.3%/複勝率8.3%
※2003年以降

年々高速傾向が強まるダービーにおいて重要なのは絶対的なスピード能力。特にリンクが強いのは1800m戦での実績だ。この距離で重賞を勝っていた馬は近19年のうち17レースで馬券に絡み、2006年以降16年連続で3着以内馬を、うち2015年を除いて連対馬を出している。ダービーまでに牡馬が出走できる芝1800m重賞は5レース(※例年はきさらぎ賞も加え6レース)あるが、今年はイクイノックス、ジオグリフ、ダノンベルーガ、ビーアストニッシド、ピースオブエイトの全勝ち馬が出走してきた。まずはここから軸選びに入りたい。

芝1800m重賞を上がり最速で勝っていると複勝率4割を超え、このうち良馬場のダービーで4番人気以内に支持された馬は【3-3-2-2】と信頼度が上がる。凡走した2頭はともに後述する札幌2歳Sの勝ち馬で、イクイノックス、ダノンベルーガは堅実な好走が見込めそうだ。

札幌2歳S勝ち馬の相性は悪く、馬券に絡んだのは2009年のロジユニヴァース(1着)のみ。この年はかなりの不良馬場で、洋芝をこなしたパワーがアドバンテージとなる特殊な舞台だった。札幌2歳Sが芝1800mになった1997年以降まで期間を広げても、他の好走馬は2001年のジャングルポケット(1着)のみ。この年のダービーも重馬場だった。基本的に札幌芝1800mと東京芝2400mは全くの別競技と考えていい。


ドウデュースに立ちはだかる壁

2003年以降日本ダービー芝1800m重賞勝ち馬以外の成績,ⒸSPAIA


<ダービー×1800m重賞未勝利馬 条件別成績>
全体成績【9-10-15-227】勝率3.4%/連対率7.3%/複勝率13.0%
前走皐月賞組【6-3-8-78】勝率6.3%/連対率9.5%/複勝率17.9%
皐月賞5着以下【1-0-3-51】勝率1.8%/連対率1.8%/複勝率7.3%
朝日杯FS出走馬【0-1-1-40】勝率0.0%/連対率2.4%/複勝率4.8%
※2003年以降

次に芝1800m重賞の勝ち鞍がない馬についても見ていく。

こちらは2014年から4連覇を果たし、昨年もステラヴェローチェが人気薄ながら3着に食い込むなど侮れない。母数が大きいのはやはり前走皐月賞組だが、ここで5着以下に敗れていると好走率はぐっと落ちる。

最大の焦点となるドウデュースの取捨については朝日杯FS経由の厳しいデータが気になる。ここ2年はサリオス(2着)、ステラヴェローチェ(3着)と連続して結果を残しているが、前走で人気より下の着順に終わった馬に限ると【0-0-0-21】と全滅。過信は禁物だろう。

その他別路線組について触れると、青葉賞組は良馬場のダービーでフェノーメノ以外連対しておらず、同馬は青葉賞で2着に0秒4差の圧勝と脚力が担保されていた。京都新聞杯組は勝ち馬が【1-3-1-12】だが、馬券に絡んだ馬は全頭前走で5番人気以内に支持されている。プリンシパルS組は【0-0-2-24】と連対がない。


左回りなら世代トップクラス

◎ダノンベルーガ
東京の新馬戦を2分1秒3の好タイムで勝利。共同通信杯ではのちの皐月賞馬ジオグリフを圧巻の末脚で下した。スケール感あふれる走りが魅力的だ。右トモに弱さを抱えており、皐月賞は右回りと、馬場の悪い内を通らされた二重のハンデがありながら差のない4着。世代屈指のパフォーマンスを見せてきた東京へのコース替わりは大幅プラスといっていい。皐月賞上位4頭の「4強」では最も内の枠を引き当て、ポジション争いで優位な立場となった。

◯イクイノックス
サークルオブライフを寄せ付けなかった新馬戦、上がり32秒台で差し切った東スポ杯2歳Sの内容は文句なし。皐月賞は長期休養明けで見どころたっぷりの2着に健闘。キタサンブラック産駒が不得手とする中山から東京へ舞台が移るのもいい。ただしCコース替わりでの8枠18番はレースプランが難しくなりそう。外々を回る競馬でこのメンバー相手に2400mを乗り切るのは簡単ではないだろう。ダノンベルーガと同レベルのポテンシャルは間違いないが、懸念を加味して2番手とした。

▲ドウデュース
朝日杯FS勝ち馬として堂々の1番人気で臨んだ皐月賞は、後方から猛然と追い上げての3着。弥生賞も含め、ダービーへ向けて逆算してきたようなレース運びには好感が持てる。ただし前述した厳しいデータに合致する上、Cコース替わりで外差しは苦しい馬場コンディションが予想される。武豊騎手のダービー6勝目という大偉業達成を見たい心情はあるが、上位2頭と比して劣る面は否めず3番手評価にとどめた。

以下、皐月賞で内を回らされたホープフルS勝ち馬キラーアビリティ、毎日杯勝ち馬ピースオブエイトまで印を回す。馬券は◎から印を打った馬に流す馬連とする。

▽ダービー予想▽
◎ダノンベルーガ
◯イクイノックス
▲ドウデュース
△キラーアビリティ
×ピースオブエイト

《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。



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