【天皇賞(春)】阪神大賞典Vに例年以上の価値 成長したディープボンド、今年は勝ち切る

門田光生

天皇賞(春)の前走クラス別成績(※過去15年、海外除く),ⒸSPAIA

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今年も阪神開催

2022年5月1日に阪神競馬場で行われる第165回天皇賞(春)。回数が多いのは春と秋とを同じ「天皇賞」として数えているからとしても、伝統の一戦と言って間違いないだろう。

昨年も阪神競馬場で行われ、ワールドプレミアがレコード(阪神芝3200mの施行がほぼなかったので、当たり前といえば当たり前だが)で優勝。2着馬は今年の有力候補に挙げられているディープボンド。それぞれ日経賞、阪神大賞典を使っての参戦だった。

近年は「久々でGⅠ」というローテーションが流行しているが、今年の登録には該当馬不在。ではどの臨戦過程が好ましいのか。そのあたりも押さえつつ、過去15年のデータを基にして検証していきたい。

天皇賞(春)出走馬の所属別,ⒸSPAIA
天皇賞(春)出走馬の性別,ⒸSPAIA


☆所属と性別
美浦所属馬が9連対(6勝)、栗東所属馬は21連対(9勝)。勝利数、連対数ともに栗東所属馬が上回っているが、勝率、連対率だと美浦所属馬の方が上。これは近5年で見ても同様の傾向となっている。性別では、連対した30頭すべてが牡馬かセン馬。牝馬は参戦自体が11頭と少なく、2021年カレンブーケドールの3着が最高着順。

天皇賞(春)出走馬の年齢,ⒸSPAIA


☆年齢
最も多く連対馬を出しているのは5歳馬の12連対。7勝も最多の数字で、今年も5歳馬有利と考えて組み立てるのがよさそうだ。続くのは4歳馬の9連対(5勝)、そして6歳馬の7連対(3勝)。勝ち馬が出ているのはこの3世代だけ。また、ここ5年の勝ち馬のうち、4頭が5歳馬となっている。

天皇賞(春)出走馬の前走クラス,ⒸSPAIA
天皇賞(春)出走馬の前走,ⒸSPAIA


☆前走クラスと前走
連対馬30頭のうち、29頭が前走でGⅠかGⅡを使っていた。例外は2015年の2着馬フェイムゲーム(前走GⅢダイヤモンドS)。条件戦やオープンを経由してきた馬から連対馬は出ていない。

具体的にレース名を挙げていくと、今年の出走馬が走ったレースだと阪神大賞典と日経賞がそれぞれ4頭の勝ち馬を出している。あとは京都記念、AJCCから1頭ずつ。勝率、連対率ともに優秀なのは大阪杯組だが、今年は参戦なし。

ここ5年でも阪神大賞典や日経賞組が連対しているが、2019年はAJCCと日経新春杯組がワンツー、2020年は有馬記念組が1着。長距離戦においても間隔開きの割引は必要なくなっていると考えていいだろう。

天皇賞(春)におけるその他のデータ,ⒸSPAIA


☆その他
そのほかで気になったデータを挙げていく。まず前走着順。前走1、2着馬は11勝、2着8回。約3分の2が該当するのだから、これは満たしておきたい。種牡馬だとハーツクライ産駒が【0-5-3-16】と勝ち切れていない。連対率は悪くないが、頭狙いは危険と覚えておこう。

それ以上に結果が出ていないのがキングカメハメハ産駒。【0-0-0-17】では厳しい。ほとんどが京都開催でのデータなので絶対にNGとまではいかなくても、割り引いた方がいいのは間違いなさそうだ。また前走が10番人気以下だった馬からも連対馬が出ていない。最後に前走が55キロ以下で出走した牡馬、セン馬は【0-1-2-29】となり、好走率が低くなっている。

阪神大賞典の存在感が強まる

天皇賞(春)の傾向をまとめてみよう。まず好走確率が上がるのはA「美浦所属馬」B「5歳馬」C「前走1、2着馬」。

好走率が下がるのはD「7歳以上」E「前走がGⅢ」F「前走55キロ以下」。連対馬が出ていないデータはG「牝馬」H「前走が条件戦、もしくはオープン」I「キングカメハメハ産駒」J「前走10番人気以下」。

まず連対馬が出ていないG、H、I、Jに該当するハヤヤッコ、ハーツイストワール、ヒートオンビート、マイネルファンロン、メロディーレーン、ユーキャンスマイル、そしてロバートソンキーを消す。

今回、プラスデータを最も多く持つのはアイアンバローズ、タイトルホルダー、そしてディープボンドの3頭。この中だと、阪神大賞典を勝ったディープボンドが最有力となるか。

阪神大賞典1着馬はここ5年で3着、1着、不出走、4着、2着。4頭のうち3頭が馬券に絡んでいる。昨年同様、阪神大賞典と同じ競馬場で行われるということで、関連性は例年以上に高いと考えられる。同じく阪神大賞典を使ったアイアンバローズが相手。タイトルホルダーもここ15年で最も連対馬を出している日経賞組だから評価は下げられない。

穴っぽいところでは、一度消したマイネルファンロンに再注目。勝ち馬が出ていない7歳以上、加えて連対馬が出ていない前走10番人気以下にも該当するのだが、父ステイゴールド産駒はデータ集計期間内で最多の4勝。2019年には、同じ7歳馬のステイゴールド産駒パフォーマプロミスが人気薄で3着に食い込んでいる。

また、AJCCから直接ここへ挑んできたのは2019年勝ち馬のフィエールマン以外いない。つまり、勝率100%ということ。ちょっと強引だが、人気的にも妙味がありそうなので加えておく。あと、プラスもマイナスもないシルヴァーソニックを抑える。

◎ディープボンド
◯アイアンバローズ
▲タイトルホルダー
△マイネルファンロン
×シルヴァーソニック

《ライタープロフィール》
門田 光生(かどた みつお)
競馬専門紙「競馬ニホン」で調教班として20年以上在籍。本社予想などを担当し、編集部チーフも兼任。現在、サンケイスポーツにて園田・姫路競馬を中心に予想・記事を執筆中。
先週末に3回目のコロナワクチン注射に行ってきました。予約を取るのにかなり苦労したのですが、GW明けに感染者数増加のニュースが流れると、もっと予約が取りづらくなるかもしれませんね。

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