【桜花賞】後方有利、先行勢の連対は名馬級のみ 東大HCはナミュールの大外一気に期待

東大ホースメンクラブ

桜花賞の4角通過順別成績,ⒸSPAIA

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春の仁川で花開くのは

今週日曜、阪神競馬場でGⅠ桜花賞が行われる。チューリップ賞を制した豪脚ナミュール、2歳女王サークルオブライフ、デアリングタクト以来キャリア3戦目での桜制覇を狙うプレサージュリフトが主役も、堅実派ウォーターナビレラ、フェアリーSを差し切ったライラック、トライアルから現れた新星ピンハイなどの伏兵勢もチャンス十分。きらびやかなクラシックの幕開けを告げる一戦に18頭の3歳牝馬が集結した。

近年の勝ち馬にはアーモンドアイ、グランアレグリア、デアリングタクト、ソダシとスターの名が並ぶ。春の仁川で花開き、偉大な先輩たちに肩を並べるのは果たしてどの馬か。過去のデータを参考に検討していく(なお使用するデータは特筆ない限り阪神競馬場改修後の15回)。


桜の栄冠は末脚自慢に輝く

過去15年の桜花賞脚質別成績,ⒸSPAIA


<桜花賞の脚質別成績>
逃げ【1-1-1-12】勝率6.7%/連対率13.3%/複勝率20.0%
先行【5-3-2-45】勝率9.1%/連対率14.5%/複勝率18.2%
差し【4-6-9-107】勝率3.2%/連対率7.9%/複勝率15.1%
追込【5-5-3-58】勝率7.0%/連対率14.1%/複勝率18.3%
※阪神競馬場改修後の2007年以降

まず阪神競馬場改修後、現コースで施行された15回の桜花賞について脚質別成績を確認する。

レッツゴードンキの逃走劇、ハープスターの大外一気、ソダシの先行押し切り……と記憶に残る勝ちっぷりは様々で、どのような位置取りでも複勝率ベースではほぼ横一線となっている。しかし母数を考えれば差し、追込が五分以上の活躍といってよく、実際4角10番手以下の馬が過半の9勝。ここまで後方待機が許容される芝GⅠは他に例がない。メンバー中最上位の末脚を持つ馬が桜の栄冠に最も近い。

同期間、良馬場で施行された桜花賞で逃げ、先行から連対した馬は8頭いるが、順にダイワスカーレット(2007年1着)、アパパネ、オウケンサクラ(2010年1、2着)、ヴィルシーナ(2012年2着)、レッツゴードンキ(2015年1着)、ラッキーライラック(2018年2着)、グランアレグリア(2019年1着)、そして昨年の覇者ソダシというラインナップだ。3歳での天皇賞(秋)4着以降、本来の走りを取り戻せなかったオウケンサクラを除くと、距離は違えど古馬戦線で当代最強クラスに君臨した名馬がずらりと並んでいる。

3歳春の仁川マイルでこの手のレースを完遂するのはほんの一握りで、背後から襲い掛かるライバルたちをしのぐにはBコースの直線476.3mはあまりに長い。今週の阪神は良馬場施行が濃厚で、素直に後ろへ目を向けるのが得策だろう。


前走左回り→桜花賞制覇はオグリローマン以後絶無

過去15年桜花賞前走競馬場別成績,ⒸSPAIA


<桜花賞・前走競馬場別成績>
阪神【12-10-11-127】勝率7.5%/連対率13.8%/複勝率20.6%
中山【0-1-2-50】勝率0.0%/連対率1.9%/複勝率5.7%
東京【0-3-2-26】勝率0.0%/連対率9.7%/複勝率16.1%
京都(参考)【3-1-0-8】勝率25.0%/連対率33.3%/複勝率33.3%
※阪神競馬場改修後の2007年以降

末脚と同じく、重みを持つのがローテーション。かつて阪神JF→チューリップ賞→桜花賞と続く阪神マイルの三番勝負を戦ってきた馬が長らく主役だったように、阪神(もしくは京都マイル)コースの経験が重要で、その傾向は非トライアル組が4連勝中の近年も変わらない。現コースで行われた桜花賞の勝ち馬は全頭、前走が阪神か京都で、前走中山組は2006年のキストゥヘヴン、前走左回りに至っては1994年のオグリローマンを最後に1着がない。

前走阪神組のうち、前走1400mは【2-0-2-76】複勝率5.0%、前走1600mは【10-10-8-46】複勝率37.8%と雲泥の差がつく。後者のうち前走上がり最速で勝った馬は【2-3-0-0】のパーフェクト連対で、同コースでの予行演習的パフォーマンスに信頼を置ける。

前走中山の好走馬は480kg以上かつ前走勝利が条件で、今年は該当馬がいない。前走東京から馬券になった5頭は、エフティマイアを除く4頭がクイーンCで3着以内、カタマチボタンを除く4頭に阪神コースの経験があった。このあたりのデータを加味しつつ予想に入りたい。


大外枠から一冠奪取

◎ナミュール
新馬戦を10.8-10.7のラップで勝利。マイル戦で後半2F21.5秒以内を満たした加速ラップはこのレース以外に存在せず、まさに前代未聞のパフォーマンスだった。前走のチューリップ賞はゴチャつきながら、抜け出すと一瞬で後続に1馬身半差をつけた。阪神JFは4着も、出遅れから中途半端にポジションを上げたにも関わらず4角では17番手、あげく直線では荒れた内に突っ込むロスがあった。それでいてサークルオブライフに0.2秒差という恐ろしい内容。あれ以上に不利が重なるレースは想像できない。大外枠から一冠奪取だ。

◯ベルクレスタ
前走東京組から好走条件を満たす同馬を選出。新馬戦はセリフォス、アルテミスSではサークルオブライフの2着と2歳時から強敵相手に善戦し、外枠からなし崩し的に脚を使わされた阪神JFの6着はむしろ健闘の部類。前走のクイーンCはレース上がりより1秒速い脚で3着まで追い込んできた。

同じクイーンC組のプレサージュリフトもここ2戦のパフォーマンスは文句なしだが、右回りの経験がない馬の桜花賞好走は1989年2着ホクトビーナスが最後で強気になれない。オッズ妙味込みで本馬を優勢にとる。

▲サークルオブライフ
3連勝で阪神JFを制した2歳女王。阪神JFで上がり2位以内をマークし連対した馬は過去10年で【2-3-2-2】と安定感抜群だ。2歳時の戦績からわかる通り完全に叩き良化型で、チューリップ賞は前受けの競馬など異なる戦法を試しての3着と地力を証明している。思えば厩舎の先輩アパパネも新馬戦で敗れ、春秋のトライアルをともに負けながら牝馬三冠を達成した。国枝調教師の管理馬はGⅠでもう一つギアを上げる。一戦だけで評価を下げてはいけない。

以下、阪神JF2着ラブリイユアアイズ、前走がチグハグな競馬になったウォーターナビレラ、フィリーズレビュー組から最内を引いたナムラクレアを押さえる。馬券はナミュールを頭固定に、印を打った馬への3連単で勝負する。

▽桜花賞予想▽
◎ナミュール
◯ベルクレスタ
▲サークルオブライフ
△ラブリイユアアイズ
×ウォーターナビレラ
×ナムラクレア

《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開、新入部員は随時募集中。



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