【桜花賞】好データは「関西馬」「キャリア3戦」など アルーリングウェイが大輪咲かせる

門田光生

桜花賞のキャリア別成績(過去15年),ⒸSPAIA

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桜といえばピンク帽?

2022年4月10日に行われる第82回桜花賞。今年も咲き誇る桜を背にレースが行われることになると思うが、それにしても、毎年この日に合わせて満開に持ってくる手腕には驚くばかりである。

ところで、桜といえばピンク色だが、桜花賞でピンク帽子をかぶる8枠の成績はどうなっているのか気になって調べてみた。結果はというと過去15年で8連対しており、全枠順で最多の連対数となっていた。決断に迷ったら桜と同じピンク帽、である。なお、1着馬が最も多いのは5枠。5枠は黄帽で、桜とかけあわせるとかっぱのCMで有名だった某酒造企業になる。

小ネタはさておき、3歳クラシックの開幕を飾る桜花賞にはどのような傾向があるのだろうか。今回はGⅠということで、いつもより長い過去15年のデータを参考に好走パターンを見つけ出したい。


桜花賞出走馬の所属,ⒸSPAIA



☆所属
美浦7連対(4勝)、栗東23連対(11勝)。勝率、連対率でも栗東所属馬が大きく上回っている。少ない美浦の勝ち馬だが、グランアレグリア(古馬GⅠ・5勝)、アーモンドアイ(牝馬三冠+古馬GⅠ多数)、アパパネ(牝馬三冠+ヴィクトリアマイル)と桜花賞以降も大活躍した名牝が含まれている。美浦所属の馬が桜花賞を勝てば、その後の活躍も期待していいだろう。


桜花賞出走馬のキャリア,ⒸSPAIA



☆キャリア
最も連対馬が多いのはキャリア4戦の10連対(6勝)で、キャリア3戦が9連対(4勝)、キャリア5、6戦は4連対(ともに2勝ずつ)となっている。キャリア7戦以上の馬は47頭いて、連対したのは1頭だけ(2008年エフティマイア、キャリア8戦)。また、近5年だとキャリア4戦以内の馬が4勝となる。


桜花賞出走馬の前走,ⒸSPAIA

桜花賞出走馬の前走(近5年),ⒸSPAIA



☆前走
最も相性がいいレースとして知られるチューリップ賞組が16連対(8勝)。勝ち馬、そして連対馬の半分以上がチューリップ賞組なのだから、本来はここを経由した馬を中心に選ぶべきだろう。しかし、近5年で見ると【0-4-3-14】、勝ち馬がいなくなる。ここ5年で目につくのは阪神JFから直接挑んだ馬で、頭数は少ないながら【1-1-0-1】と高確率で連に絡んでいる。前哨戦を使わず本番へ、という傾向がトレンドとなっているが、それは桜花賞にも表れているようだ。


桜花賞におけるプラスデータ,ⒸSPAIA

桜花賞におけるマイナスデータ,ⒸSPAIA



☆その他
そのほかで気になったデータを挙げていく。まずはノーザンファーム生産馬が15頭連対していること。これに社台ファームを加えると、連対馬の7割を占める。種牡馬ではディープインパクト産駒が10連対。次点がダイワメジャー産駒の3連対だから圧倒的である。また、勝ち馬15頭は全て前走4着以内で、前走5番人気以内であった。このデータはクリアしておきたいところだ。

マイナスデータは前走馬体重が419キロ以下、または500キロ以上だった馬。25頭で連対したのは1頭だけ。大きすぎても、また小さすぎても厳しい様子。


チューリップ賞組をどう扱うか

桜花賞のデータをまとめていこう。まず好走確率が上がるのはA「栗東所属」B「キャリア3、4戦」C「阪神JF組」D「ノーザンファーム生産馬」E「前走4着以内、かつ5番人気以内」。

逆に好走率が下がってしまうのはF「キャリア7戦以上」G「前走馬体重419キロ以下、もしくは500キロ以上」。

1着馬を探す観点からいくと、過去15年の勝ち馬がすべて該当しているE「前走4着以内、かつ5番人気以内」は満たしたいところ。この「E」は登録馬22頭中、13頭がクリア。そのうち、最もプラスデータが多いのはナミュールの4つ。ただ、ナミュールが走ったチューリップ賞は、近5年で勝ち馬を出しておらず、明らかにトレンドから外れている。その前走でいえば、阪神JF組が主流になりつつあるのだが、今回の登録馬ではラブリイユアアイズだけ。逆にこちらは前走8番人気で「E」を満たしておらず、本命には推しづらい。

プラスデータを3つ持つのはアルーリングウェイ、サブライムアンセム、フォラブリューテ、ベルクレスタ、ラズベリームースの5頭。このうち、サブライムアンセムはF「キャリア7戦以上」、ラズベリームースはG「前走馬体重419キロ以下、もしくは500キロ以上」で、勝ち馬の出ていないマイナスデータに引っかかる。

本命候補は残った3頭。この3頭の前走はエルフィンS、紅梅S、クイーンCで、このうち過去に勝ち馬を出しているのはエルフィンSだけ。というわけで、本命馬はアルーリングウェイ。この一族は、祖母アルーリングアクト(小倉3歳S)を筆頭に仕上がり早のスプリンタータイプを多く輩出しているが、この馬は3戦目でマイルを勝っているように、ちょっとタイプが違うようだ。エルフィンSを勝ち、3戦2勝で桜花賞というのは2011年のマルセリーナと同じパターンで、2020年のデアリングタクトもエルフィンS経由で桜花賞を制している。偉大なる先輩たちに続きたいところだ。

相手筆頭はナミュール。上記でも触れたが、GⅡに昇格してから以前ほど本番に直結していないチューリップ賞組。悪い流れを止められるかどうかに注目したい。ラブリイユアアイズは近年注目度が増している阪神JFからの直行組。昨年の1、2着馬も阪神JFから直行組で、今年は1頭しかいないのだから相手に加えて当然だろう。あとはプラスデータ3つ、マイナスデータなしのフォラブリューテ、ベルクレスタを押さえたい。

◎アルーリングウェイ
◯ナミュール
▲ラブリイユアアイズ
△フォラブリューテ
×ベルクレスタ

《ライタープロフィール》
門田 光生(かどた みつお)
競馬専門紙「競馬ニホン」で調教班として20年以上在籍。本社予想などを担当し、編集部チーフも兼任。現在、サンケイスポーツにて園田・姫路競馬を中心に予想・記事を執筆中。
ひと口馬主をやっているのですが、ずっとお休みしていた3歳馬2頭が、春になってようやく活動し始めました。ケガなくコンスタントに走ってくれれば文句はないのですが、せめて未勝利は勝ってほしいなあというのが本音です。

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