【高松宮記念】1番人気5連敗中、上半期短距離決戦の歴史 豪州から来たスプリンター・キンシャサノキセキ

緒方きしん

高松宮記念過去5年間の優勝馬,ⒸSPAIA

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キングヘイローらが制した短距離王決定戦

阪神大賞典はディープボンドが勝利。ゴールドシップ以来となる連覇を達成した。1着馬と5着馬は昨年の1、2着馬であり、2〜4着馬はオルフェーヴル、ゴールドシップ産駒と、前年実績馬とステイゴールド系による決着となった。

さて、今週は高松宮記念が開催される。いよいよ春のGⅠ戦線が本格化。ここでGⅠ初制覇を達成する馬も多く、数々の印象的なレースが繰り広げられてきた。歴代の勝ち馬にはフラワーパークやキングヘイロー、カレンチャンやロードカナロアなど時代を代表する快速馬たちが名を連ねる。

今年は昨年の2着馬レシステンシアをはじめ、2019年朝日杯FS勝ち馬サリオスや2020年朝日杯FS勝ち馬グレナディアガーズらが参戦。さらにシルクロードS勝ち馬メイケイエールや阪急杯勝ち馬ダイアトニック、オーシャンS勝ち馬ジャンダルムなども集まり、充実した顔ぶれとなった。今回は、高松宮記念の歴史を振り返る。

1番人気馬は連敗中

高松宮記念過去5年間の優勝馬,ⒸSPAIA


ここ5年において1番人気馬は全敗。特に2018年からの3年間は、レッドファルクス8着、ダノンスマッシュ4着、タワーオブロンドン12着と馬券圏外になっていた。しかし昨年は1番人気のレシステンシアが2着と、久々に馬券圏内に入っている。

最後に1番人気馬が勝利したのは、ビッグアーサーが制した2016年。その年は1着だけでなく、2着も2番人気ミッキーアイル、3着も3番人気アルビアーノと人気順での決着。順番を気にしなければ1〜3番人気による決着は決して超レアケースというわけではなく、昨年もレシステンシアに加えて1着ダノンスマッシュ(2番人気)、3着インディチャンプ (3番人気)で、2012年にも1着カレンチャン(2番人気)、2着サンカルロ(3番人気)、3着ロードカナロア(1番人気)で決着している。

高松宮記念といえば万馬券にも注目したいところ。2007年には1番人気スズカフェニックスが1着、2番人気プリサイスマシーンが3着だったが、2着に13番人気のペールギュントが食い込んだため馬連402.5倍、三連単5464.5倍という高配当が飛び出した。

ここ5年でも、2019年には2着に12番人気セイウンコウセイ、3着に17番人気ショウナンアンセムで馬連305.3倍、三連単44974.7倍という超高配当となっている。この年はセイウンコウセイとショウナンアンセムのワイドも885.2倍という高額配当となった。

豪州からきたスプリンター、キンシャサノキセキ

高松宮記念がGⅠとなってから唯一連覇しているのが、2010年、2011年の覇者キンシャサノキセキである。キンシャサノキセキは日本でもお馴染みであるフジキセキの産駒だが、生年月日は2003年9月24日と、日本とは生産シーズンの異なる南半球生まれ。フジキセキがシャトル種牡馬として渡豪していた際に種付けし、誕生した競走馬を日本に輸入したという珍しい形であり、オーストラリア生まれの日本調教馬として初めてGⅠ馬となった。

南半球からの輸入馬は、若駒時代には半年遅い生まれというハンデを背負うが、キンシャサノキセキは年末の新馬戦、年明けのジュニアCを連勝。NHKマイルCでも3着、秋にはマイルCSで5着に食い込んだ。ただ、続く4歳シーズンはオープン競走で2戦2勝をあげつつも、重賞ではいずれも1番人気に推されながら3戦全敗と悔しい思いをする。

翌年はその借りを返すかのように、高松宮記念、スプリンターズSで2着、函館スプリントSで念願の重賞制覇を果たすなど充実したシーズンを過ごすが、6歳になると3戦連続で二桁着順とまたもや悔しい時期に突入。しかしスプリンターズSの12着から中3週で挑んだスワンSで約1年4ヶ月ぶりの勝利をあげると、そこから破竹の4連勝。7歳時の高松宮記念でGⅠ馬の仲間入りを果たした。

その翌年、高松宮記念の連覇を最後に引退したキンシャサノキセキは、シュウジやモンドキャンノ、カシアスやベルーガといった重賞馬を輩出。現在5歳のガロアクリークはスプリングS制覇後に皐月賞3着など好走し、前走の中山記念でも4着と掲示板に食い込んでいる。同じく現役馬のルフトシュトロームはデビュー3連勝でニュージーランドTを制覇。さらにダートではベテラン8歳馬のサクセスエナジーが今もなお地方交流で存在感を示している。そしてシュウジは種牡馬となり、父系としても血が繋がっていくことが期待される。

ベテランVS新世代、実績馬VS新興勢力

連覇こそ過去1頭ではあるものの、リピーターが多いのも高松宮記念の特色のひとつ。レッツゴードンキやサンカルロが2年連続2着になっているほか、サニングデールは2着→1着、スズカフェニックスは1着→3着、ロードカナロアは3着→1着など、2年連続で好走している馬も多い。さらには前年に惨敗してからリベンジを果たすパターンとして、ダノンスマッシュの10着→1着やモズスーパーフレアの15着→1着などもあげられる。

「高松宮記念の常連」でいえば、2017年から1着→6着→2着→7着→9着と5年連続で出走したセイウンコウセイを思い浮かべるファンも多いのではないだろうか。セイウンコウセイは昨年の阪神Cで引退したため、今年は2016年以来の「セイウンコウセイのいない高松宮記念」となる。

昨年の優勝馬ダノンスマッシュ、3着馬インディチャンプ、5着馬モズスーパーフレアも引退し、顔ぶれが大きく変わった印象を受けるファンも多いはず。その中で、昨年の2着馬レシステンシアや4着馬トゥラヴェスーラがリベンジを目指し出走を予定している。

今年はメイケイエールやグレナディアガーズ、レイハリアといったフレッシュな4歳世代が出走を目指しているほか、サリオス、ロータスランドのスプリント未経験組、6歳馬ナランフレグ、5歳馬サンライズオネストなどGⅠ未出走組なども出走を予定。今年の高松宮記念は、ベテランVS新世代、実績馬VS新興勢力という構図に注目して楽しみたい。

ライタープロフィール
緒方きしん
競馬ライター。1990年生まれ、札幌育ち。家族の影響で、物心つく前から毎週末の競馬を楽しみに過ごす日々を送る。2016年に新しい競馬のWEBメディア「ウマフリ」を設立し、馬券だけではない競馬の楽しみ方をサイトで提案している。好きな馬はレオダーバン、スペシャルウィーク、エアグルーヴ、ダイワスカーレット。




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