【中山牝馬S】6歳だって侮れない! カギを握るのはシャムロックヒル、ローザノワール、ロザムール
勝木淳
ⒸSPAIA
1番人気7連敗中
古馬牝馬春の大目標は東京芝1600mのヴィクトリアマイル。高次元のスピード持続力ないし瞬発力を試される舞台だ。そこを考えれば、中山牝馬Sの舞台芝1800mは問われる適性がマッチしない。
そういった事情に加え、ハンデ戦、クラブ所属の6歳牝馬が規定で引退する時期、さらに牝馬にとってフケがはじまる春といったことあり、中山牝馬Sは非常に高偏差値レース。ちなみに直近2年は不良馬場で3、14、1番人気、7、5、6番人気決着だった。ここでは過去10年間のデータから難問を解くヒントを探していきたい。
まず気になる人気別成績について。1番人気は【1-2-2-5】勝率10.0%、複勝率50.0%、勝利は14年フーラブライドが最後。半数しか3着以内がない。さらに2番人気は【0-2-0-8】複勝率20.0%と輪をかけて頼りにならない。3番人気【2-1-0-7】勝率20.0%、複勝率30.0%以下は確率的に横一線で、10番人気以下も【0-2-3-59】複勝率7.8%と油断ならない。出走全馬しっかり検討したい。
年齢別成績を出すと、4歳【3-3-1-41】勝率6.3%、複勝率14.6%、5歳【6-5-4-37】勝率11.5%、複勝率28.8%が主力。2世代比較では5歳。経験値の差が出る。またクラブ所属馬の引退が絡む6歳は【1-3-2-36】勝率2.4%、複勝率14.3%。勝ったのは非クラブ馬フロンテアクイーン。一方、サンデーレーシング【0-2-0-4】、社台レースホース【0-0-2-2】、引退だからと過剰に嫌わなくていい。
前走愛知杯組の取捨
5歳勢テルツェット、ミスニューヨーク、ルビーカサブランカなどを中心に4歳クールキャット、クラブ所属の6歳ドナアトラエンテ、非クラブ馬フェアリーポルカ、ローザノワールなど候補はまだまだ多い。さらに絞るために斤量について考える。
ハンデ戦はなんやかんやで背負わされた実績馬という作戦はここでもある程度有効で、56キロ【1-2-1-8】勝率8.3%、複勝率33.3%。軸選びに迷うようなら、56キロがいれば狙ってみたい。勝率でみれば、54キロ【4-3-0-22】勝率13.8%、複勝率24.1%がおすすめ。単勝回収値は143。勝った4頭は8、3、4、5番人気。ここを中心に53キロ【3-3-3-39】勝率6.3%、複勝率18.8%、52キロ【1-2-2-18】勝率4.3%、複勝率21.7%あたりが好走ゾーン。重賞実績がなくても十分通用する。
ここからは年齢ごとに好走傾向を考える。4歳は前走GⅠ組が【0-1-0-10】複勝率9.1%と格上からここに挑む馬は苦戦。買うなら前走GⅢ【2-1-1-18】勝率9.1%、複勝率18.2%だろうか。クールキャットの前走愛知杯は【2-1-0-8】勝率18.2%、複勝率27.3%。ただし6着以下だった馬は【1-0-0-3】。中山実績がないクールキャットの巻き返しはあるだろうか。
5歳も前走GⅠは【1-0-0-4】勝率、複勝率20.0%と微妙。13年6番人気マイネイサベルが勝利。同馬は前走エリザベス女王杯7着。同レース11着以来のテルツェットはどうだろうか。今年の5歳出走予定馬は前走GⅢ【3-3-3-22】勝率9.7%、複勝率29.0%が大半を占める。
ルビーカサブランカの愛知杯は【2-1-2-8】勝率15.4%、複勝率38.5%、単複回収値149、132と好成績ながら、愛知杯1着馬【0-0-0-1】、6着以下【1-0-0-7】。またミスニューヨークのターコイズSは【0-1-0-3】。18年2番人気フロンテアクイーン2着はターコイズS2着からの好走。脚質的に不安定なミスニューヨークの連続好走はあるか。シャムロックヒルの中山金杯は【0-1-0-0】。今年も出走するロザムールが昨年中山金杯4着から5番人気2着と巻き返した。シャムロックヒルとの共通点は中山金杯で逃げたこと。そのロザムールにローザノワールもいるので、逃げられるかどうか枠の並びは十分検討したい。
6歳も前走GⅢ【1-2-0-21】勝率4.2%、オープン・リステッド【0-1-1-7】複勝率22.2%など3勝クラス【0-0-1-1】含め同格、格下から挑む馬がいい。ドナアトラエンテの東京新聞杯【0-1-0-0】(13年スマートシルエット2着、前走6着)、フェアリーポルカのターコイズS【1-1-0-3】(19年フロンテアクイーン1着、前走4着など)。今年はベテランの一発にも注意したい。
最後に世代問わず、中山牝馬Sは逃げ馬【2-1-0-7】勝率20.0%、複勝率30.0%、単複回収値259、116。やはり昨年2着ロザムール、前走同舞台ディセンバーSを逃げ切ったローザノワール、中山金杯でロザムールを抑えハナに行ったシャムロックヒル、逃げ馬をなんとか見極めたい。たとえ逃げ馬が複数いても、1コーナーまで距離がない中山芝1800mは、隊列がすんなり決まることも多い。
ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュース個人オーサーを務める。共著『競馬 伝説の名勝負』シリーズ全4作(星海社新書)。
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