【弥生賞】ディープインパクトが制したクラシック登竜門の歴史! 2016~20年には産駒5連勝を達成

緒方きしん

弥生賞過去5年の優勝馬,ⒸSPAIA

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3度目の弥生賞"ディープインパクト"記念

サウジカップデーではオーソリティ、ソングライン、ステイフーリッシュ、ダンシングプリンスと日本勢が4勝。さらにサウジカップでマルシュロレーヌが世界の強豪を相手に6着と健闘し、サウジダービーでもセキフウ、コンシリエーレが2、3着に食い込んだ。

今週は皐月賞トライアル・弥生賞ディープインパクト記念。1964年からの長い歴史で、多くの活躍馬を輩出してきた出世レースであり、ディープインパクトの名前を冠してからは3度目の開催となる。

昭和にはキーストンやタニノムーティエ、ロングエースやハイセイコーらが勝利。平成以降もメジロライアンやフジキセキ、スペシャルウィークやアグネスタキオンといった名馬たちがここを制してきた。もちろんディープインパクトも、ここの勝ち馬である。

今年も期待馬が集まり、朝日杯FS勝ち馬ドウデュース、きさらぎ賞勝ち馬マテンロウレオ、京都2歳S勝ち馬ジャスティンロックらが出走を予定。今回はそんな弥生賞の歴史を振り返る。

1番人気は高い安定感

弥生賞過去5年の優勝馬,ⒸSPAIA


ここ5年、1番人気馬は2勝。カデナ、ダノンプレミアムが人気に応えたが、直近3年はニシノデイジー、ワーケア、ダノンザキッドが敗れている。とはいえ、ワーケアは2着、ダノンザキッドは3着で、馬券圏外となったニシノデイジーも4着と、1番人気馬の惨敗はあまりない。最後に1番人気馬が掲示板外に敗れたのは2015年シャイニングレイ(7着)まで遡る。

昨年はダノンザキッドが単勝1.3倍の圧倒的人気を集めていたため、4番人気タイトルホルダー、2番人気シュネルマイスターという人気上位馬による決着だったが馬連配当は50.6倍。ニシノデイジーが敗れた2019年は8番人気メイショウテンゲン、6番人気シュヴァルツリーゼによる決着で、こちらは馬連は326倍の“3万馬券”となった。

稀代の追い込み馬ディープインパクトの名前を冠しているものの、当然ながら逃げ馬が粘ることもある。昨年はタイトルホルダーが逃げ切り勝ちを収めたほか、2017年には8番人気マイスタイルが2着に入った。2009年に単勝1.3倍の圧倒的な人気を集めたロジユニヴァースも逃げ切り勝ちであり、2004年にはコスモバルク、メイショウボーラーと先行した2頭がワンツーを決めている。

産駒が同レース5連勝、名馬ディープインパクト

2005年の弥生賞勝ち馬はディープインパクト。デビュー当初から話題を集めていた素質馬が、ムチを入れられることなく重賞初制覇を達成した。2番人気のマイネルレコルトはそれまで5戦4勝で朝日杯FSも制していただけに、その勝利は価値あるものだった。

ディープインパクトの勢いは止まらず、菊花賞制覇まで7連勝し無敗の三冠を達成した。年末の有馬記念ではハーツクライに敗れたものの、通算14戦12勝、中央賞金14億5455万円という堂々たる戦績を残した。特に凱旋門賞への挑戦や引退レースの有馬記念などは競馬ファン以外からも多くの注目を集め、稀代の名馬として日本競馬を大いに盛り上げたのだった。

種牡馬としてのディープインパクトの活躍は言うまでもない。コントレイルやジェンティルドンナ、グランアレグリアやキズナなど、数えきれないほどの名馬を輩出。2012年以降は種牡馬リーディングをキープし続けてきた。

弥生賞においても、2013年にカミノタサハラが親子制覇を達成すると、2016年〜2020年にはマカヒキ、カデナ、ダノンプレミアム、メイショウテンゲン、サトノフラッグとディープインパクト産駒が5連勝を成し遂げた。

名牝ビワハイジの血を受け継ぐ名馬たち

そして2005年の弥生賞でディープインパクトのクビ差に粘ったのが、アドマイヤジャパン。母はビワハイジ、半弟・半妹にブエナビスタやジョワドヴィーヴル、トーセンレーヴやアドマイヤオーラ、サングレアルなど、多数の重賞馬がいる超良血馬である。

ディープインパクトは新馬戦を4馬身差、若駒Sを5馬身差で制しており、皐月賞も2馬身半差、ダービーでは5馬身差と突き放して勝利している。古馬になってからも着差をつけた勝ち方が多く、ハーツクライに敗れた有馬記念を除けば、アドマイヤジャパンは国内で唯一ディープインパクトとタイム差なしで走った2着馬ということになる。

クラシック前哨戦で初対決を済ませた2頭だったが、その後も双方が牡馬クラシックの王道を突き進んだため、アドマイヤジャパンは皐月賞、ダービー、神戸新聞杯、菊花賞と、ディープインパクトに5連敗を喫した。特に菊花賞は3着以下に4馬身差をつける2着だっただけに、陣営も悔しい思いをしたことだろう。

引退後に種牡馬となったアドマイヤジャパンは、父としては重賞馬を輩出できなかったものの、母父として昨年の2歳女王サークルオブライフを輩出した。アドマイヤジャパン半弟のアドマイヤオーラは弥生賞を制して兄のリベンジを達成し、種牡馬としてもアルクトスらを輩出している。そんな名馬たちの母であるビワハイジは2月25日、老衰のためこの世を去ったが、彼女の名は血統表に長く残っていくことであろう。

また、サークルオブライフの血統表には1998年の弥生賞勝ち馬スペシャルウィーク、2013年の弥生賞4着馬エピファネイアの名前も並んでいるように、弥生賞は種牡馬としても多くの活躍馬を出している。昨年はディープインパクト産駒が出走しなかったためディープ産駒の連勝は5でストップしたが、今年はディープの血を持つ馬も複数出走を予定しており、どのような血統の馬が上位に食い込むかにも注目したい。

ライタープロフィール
緒方きしん
競馬ライター。1990年生まれ、札幌育ち。家族の影響で、物心つく前から毎週末の競馬を楽しみに過ごす日々を送る。2016年に新しい競馬のWEBメディア「ウマフリ」を設立し、馬券だけではない競馬の楽しみ方をサイトで提案している。好きな馬はレオダーバン、スペシャルウィーク、エアグルーヴ、ダイワスカーレット。

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