【チューリップ賞】好走候補はサークルオブライフ、ウォーターナビレラ、ステルナティーア カギはナミュールの取捨
勝木淳
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2歳女王、トライアルに登場
桜花賞も年明け初戦のグランアレグリア、ソダシ、1~2月以来のアーモンドアイやデアリングタクトと4年連続で非トライアル組が勝利。これは競馬での消耗を最小限に抑えるという時代の変化を象徴する事実。桜花賞はチューリップ賞からという考えはいずれなくなるかもしれない。我々も感傷的にならず、アップデートを重ねたい。
ところが、シンザン記念から桜の女王へアーモンドアイを導いた国枝栄厩舎が今年、2歳女王サークルオブライフをチューリップ賞に送り出す。国枝調教師といえば、馬の個性を把握し、これまで的確なローテで結果を出してきた。チューリップ賞参戦もサークルオブライフにとってのベストチョイスと判断したにちがいない。主役サークルオブライフのチューリップ賞での取捨も含め、過去10年間の傾向を探っていこう。
阪神JF、桜花賞と同舞台のチューリップ賞は、基本的にクラシック最有力候補が登場する。だからこそ1番人気【5-1-2-2】勝率50.0%、複勝率80.0%は納得。牡馬の弥生賞ディープインパクト記念が以前ほど堅くない一方、チューリップ賞はいまだ堅実。勝ち馬はすべて5番人気以内。7番人気【0-3-1-6】複勝率40.0%が目立つぐらい。軸は人気馬信頼でよさそうだ。
トライアル最有力レースのここは少数派の1戦1勝【0-1-0-4】複勝率20.0%に目を配りつつも、基本的にレース経験がものをいう。キャリア2戦【2-2-2-13】勝率10.5%、複勝率31.6%から5戦【1-1-1-15】勝率5.6%、複勝率16.7%までが好走ライン。6戦以上は【0-0-0-18】。
逆転候補はウォーターナビレラ、ステルナティーア
上位人気堅実、キャリア2~5戦有力という傾向をつかんだところで、そのキャリア2~5戦に絞り、より具体的に好走パターンについて考えてみよう。
まず前走クラス別成績から。前走未勝利は【0-1-0-8】複勝率11.1%となくはないが、キャリアを積んだとしても1勝目をあげたばかりという馬は苦しい。圧倒的なのは前走GⅠ【8-2-6-9】勝率32.0%、複勝率64.0%。阪神JF経由が大勢を占める。
その阪神JF組について着順別成績を出すと、勝ち馬は【3-0-2-1】勝率50.0%、複勝率83.3%と絶対的。圏外は13年2番人気9着ローブティサージュ。チューリップ賞で1番人気だと【3-0-2-0】。サークルオブライフが圏外に敗れるという場面は想定できない。ほかはウォーターナビレラが当てはまる3着【1-1-0-1】、ナミュールの4着【1-0-0-2】、ステルナティーアの6~9着【0-1-1-5】と阪神JFの着順通りでよさそう。
さらに阪神JF組について前走位置取り別成績を。サークルオブライフ、ステルナティーアの中団は【3-2-4-6】勝率20.0%、複勝率60.0%。勝率がやや低く出るのは分母が大きいという面も考慮したい。悲観することはない。
その一方で、ウォーターナビレラの先行は【3-0-0-3】と極端。勝った3頭は阪神JF2着以内、3着だった馬はこの10年出走ゼロ、4着以下3頭は阪神JFでも4着以下だった。ナミュールの後方は【2-0-1-1】でこちらも好成績。同じく好走3頭は阪神JF2着以内、4着は【0-0-0-1】。19年2番人気シェーングランツが5着だった。たった1頭なので、難しいところだが、かといってナミュールを強調することもできない。
サークルオブライフ逆転の目はないかと、ついつい邪な心を抱き、データを探してしまう。悪い癖である。無駄なあがきと知りながら、阪神JFでの人気別成績を出してみた。なお阪神JFの人気は1番人気ナミュール、2番人気ステルナティーア、3番人気サークルオブライフ、4番人気ウォーターナビレラの順。当時、サークルオブライフはアルテミスS辛勝からマイル適性を疑問視されていた。
阪神JF1番人気は【3-0-0-0】と全勝。ただし、これも結局3頭すべて阪神JF2着以内だった。出遅れて4着のナミュールは悩ましいところ。ステルナティーアの2番人気【1-1-2-2】勝率16.7%、複勝率66.7%。こちらも2着以内が基本だが、6~9着も【0-1-0-1】と巻き返しもみえる。前走向正面で不利を受けたステルナティーアの馬券圏内突入は考えておきたい。ウォーターナビレラの4番人気も【1-0-3-0】と好成績。前走3着以内だと【1-0-2-0】、ウォーターナビレラが馬場を味方に激走という場面も想定したい。
最後にサークルオブライフの3番人気は【1-1-1-2】勝率20.0%、複勝率60.0%。好走3頭の前走着順内訳は2、3、4着、勝ったのは阪神JF4着だった21年メイケイエール。サークルオブライフと同じ3番人気で阪神JFを勝った馬のチューリップ出走はゼロだった。
多角的に阪神JF組を検討していくと、サークルオブライフ中心にステルナティーア、ウォーターナビレラの逆転を期待したい。ということで今年はむしろナミュールの取捨がカギを握りそうだ。
ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュース個人オーサーを務める。共著『競馬 伝説の名勝負』シリーズ全4作(星海社新書)。
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