【2歳馬ジャッジ】阪神JFはやや低めの指数決着 来年の牝馬クラシック戦線は波乱含みの気配

山崎エリカ

2021年12月2週目の2歳馬ジャッジ,ⒸSPAIA

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2歳女王が決まった12月2週目の2歳戦

このコラムでは古馬のレースと比較しながら2歳戦の指数を算出し、出走馬を評価していく。今回は阪神JFを制したサークルオブライフ、中山で行われ好メンバーが揃ったダート1勝クラスを勝利したウェルカムニュースなどがでた12月11日、12日の2歳戦について、指数と評価を掲載する。

12月12日(日) 中山 5R 優勝馬 パンテレリア 指数-3 評価AA
3番ゲートからトップスタートを決めたパンテレリア。そのまま逃げる勢いだったが、外の馬がハナを主張してきたので、それらをいかせて、好位の後ろの最内で折り合う競馬。そのまま経済コースを走り、最後の直線でも前が内から1頭分外に出したので、そのまま最内から一気に加速してゴール。

ラスト2Fは11秒4-11秒3。好スタートを決め、すっと折り合い、最後は加速しながらゴール。とにかくレースセンスの良さを感じさせる好内容の競馬だった。確かにこのレースはペースが遅かったが、上がり3Fタイム33秒9はこの週の中山芝では古馬を含めてNO.1の数字。このあたりにも非凡さを感じる。これからの成長が楽しみな馬だ。

12月12日(日) 中山7R 優勝馬 ウェルカムニュース 指数-16(ダート) 評価A
2番ゲートからやや出負けしたが、二の脚が速く、すぐに好位の3番手につけるレースセンスの良さを見せたウェルカムニュース。向正面でフィフティシェビーが捲ってきたため、ポジションが下がる場面もあったが、すぐに内から押し上げてポジションを取り戻す。3~4角では包まれ気味だったが、4角で前の2頭が1頭分外に出したので、内にスペースができ、そこを突いて伸び、前にいたセイルオンセイラーをハナ差交わしたところがゴールだった。

ウェルカムニュースは前々走の初ダートの未勝利戦を好指数で勝ち上がると、前走もちの木賞ではハイレベル決着で古馬2勝クラス勝ちレベルの指数を記録して2着だった馬。今回は指数を前走比で落としながらの勝利だったが、改めて能力の高さを見せた。今後もダートで目が離せない存在だろう。

このレースで2着のセイルオンセイラーも前々走の初ダート戦で好指数を記録し、そこからダートで着実に上昇している馬、今後も期待できる。3着のフィフティシェビーは今回が初ダートながら後ろから捲って結果を出した。この馬も今後面白い。このレースで1番人気に支持され、結果4着だったカフジオクタゴンは前走の未勝利戦がかなりの好指数勝ちだった馬、今回は負けたがいずれ巻き返す能力は持っている。このレースは今後のダート路線で楽しみな馬が揃っていた一戦だった。

12月11日(土) 阪神1R 優勝馬 フォーチュンテラー -16(ダート) 評価B
ダートの新馬戦で8着、その後3着、4着という成績だったフォーチュンテラー。前走の指数は良い部類ではあったが、そこまで目立つものではない。今回はこれまでの3戦から一転して出脚が良く、逃げる競馬。それがこの馬を目覚めさせたのか、最後の直線では楽々と後続を引き離し、9馬身差の独走V。

ラスト2Fも12秒0-12秒1秒とほぼ減速なく、とにかく強かった。指数は古馬2勝クラス上位入線レベルのものを記録。この手の馬は当てにならないところがあるが、今回の競馬で自分の形なら強いことは証明した。条件が揃った時に馬券的に狙いたい馬だ。

12月11日(土) 阪神9R 優勝馬 サトノヘリオス 指数-11 評価B
例年のように素質馬が揃う阪神芝2000mのエリカ賞。今年も新馬戦でかなり強い勝ち方をした馬、未勝利戦で好指数を記録していた馬が揃い、注目の一戦だった。レースは中団の内で脚をタメていたサトノヘリオスが見事な差しきり勝ちを決めた。新馬戦を勝利しただけの1戦1勝馬たちが、キャリアの浅さを見せて凡退した中で、キャリアを積んだ強みを見せつける勝利だった。

今回のレースは逃げ馬が後続を引き離してのハイペースの逃げを打ち、2歳コースレコードの決着となり、指数は1勝クラスとしてはマズマズ良いレベル。サトノヘリオスは馬柱にレコード勝ちと表記されてしまうので、今後は過大評価になってしまいそうな点が気になるところではある。ただ、このレースは負けた馬の中に素質馬と思われる馬が多かった一戦。巻き返しに期待したい。

12月12日(日) 阪神11R 優勝馬 サークルオブライフ 指数-15 評価A
デビュー2戦目で大きなロスがありながら異様な強さ、心肺能力の高さを見せ勝利したサークルオブライフがアルテミスSに続いて連勝を決めた。この日の阪神芝は外差し馬場。10番ゲートから中団中目でレースを運び、4角で外に出した同馬は展開がハマっての優勝。序盤で少し下がってきた馬のアオりを受けたが、コントロール抜群のこの馬の長所を活かした、鞍上の好騎乗が光った。

2着はデビュー2戦目のクローバー賞が好指数だったラブリイユアアイズ。3着は3戦3勝、レースセンス抜群のウォ-ターナビレラ。4着は新馬戦でラスト2F破格のスピードを見せたナミュール。5着以下も強い馬が入線しており、配当はついたが内容的には順当な決着だったと言える。

ただ今回のサークルオブライフが記録した指数は古馬2勝クラス勝ちレベルのもの。近年2歳馬のデビューが6月になってからは古馬3勝クラス勝ちレベルで決着することが多かった阪神ジュベナイルFとしてはやや低めの指数決着。このことから現2歳牝馬芝路線はまだまだ確固たる主役がいない状況。来年の牝馬クラシック戦線は波乱含みとなりそうだ。

12月11日(土) 中京1R 優勝馬 ハセドン 指数-9(ダート) 評価B
芝の新馬戦では6着だったハセドン。今回はデビュー2戦目、初ダートの一戦だった。1番ゲートからまずまずのスタートを切ったものの、外の馬をいかせて中団の内で待機。3~4角で外に出し、4角大外を回りながら進出。そこから長く良い脚を使って差し切った。ラスト2Fは12秒7-12秒7と減速せず。2着に3馬身、3着には8馬身の差をつけての勝利だった。

12月11日(土) 中京4R 優勝馬 ルピナスリード 指数-2 評価B
新馬戦では最速の上がり3Fタイムで2着となかなかの素質を感じさせる走りを見せたルピナスリード。今回はデビュー2戦目。9番ゲートから出遅れたが、二の脚が速く、向正面の序盤では好位の後ろの中目まで挽回。4角では外に出し、直線ではしっかり最後まで伸びて差し切った。これでデビューから2戦連続で上がり3Fタイム最速を記録。今回の指数は高く評価できるレベルのものではないが、出遅れるロスがあったことを考えれば、上のクラスでも通用しそうだ。

2021年12月2週目の2歳馬ジャッジ,ⒸSPAIA


※パワーポイント指数(PP指数)とは?
●新馬・未勝利の平均勝ちタイムを基準「0」とし、それより価値が高ければマイナスで表示
例)サークルオブライフの指数「-15」は、新馬・未勝利の平均勝ちタイムよりも1.5秒速い

ライタープロフィール
山崎エリカ
類い稀な勝負強さで「負けない女」の異名をとる女性予想家。独自に開発したPP指数を武器にレース分析し、高配当ゲットを狙う! netkeiba.com等で執筆。好きな馬は、強さと脆さが同居している、メジロパーマーのような逃げ馬。つけた。初ダートでこの走りならば今後に期待ができる。

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