【2歳馬ジャッジ】ラスト2F11秒8-10秒8と急加速 7馬身差大勝のキラーアビリティは素晴らしいスピードの持ち主

山崎エリカ

8月27日、8月28日の2歳戦ジャッジ,ⒸSPAIA

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目指せ「2歳戦で大儲け」

このコラムでは「2歳戦で大儲け」を目指して、古馬のレースと比較しながら2歳戦の指数を算出し、出走馬を評価していく。今回は新潟で新潟2歳Sを最内から上がり最速で勝利したセリフォス、小倉でキラーアビリティが驚異の加速ラップをマークしレコード勝ちした8月28日、8月29日の2歳戦について指数と評価を掲載する。

※指数算出に時間がかかるため、評価対象は1週前のレースまで

8月28日(土) 新潟5R 優勝馬 イクイノックス 指数-6 評価AA
イクイノックスは内枠から一旦ハナに立ったが、外から2頭が競ってきたので、3角でそれらを行かせて3番手でレースを進めた。ラスト4F目で先頭に立つと、そこから後続を引き離し、あとは独走。イクイノックスは派手な流星の顔立ちで、他馬と比較するとひと回り大きく見せる馬体が印象的。つまり、幅が薄い好馬体だということだ。

結果は6馬身差の圧勝だった。指数ももちろん新馬戦としては優秀。好位からレースを進め、上がり3Fタイムは出走メンバー最速と文句なしだ。ただ、ラスト2Fは11秒3-11秒8と減速。見た目の派手さほど余裕を残して勝利したわけではないので、このあと疲労が残る可能性がある。この馬の兄は今年のラジオNIKKEI賞を快勝したヴァイスメテオール。今後の使われ方次第では兄以上の活躍が期待できる。

8月28日(土) 新潟6R 優勝馬 ソネットフレーズ 指数-4 評価A
外枠馬の一斉出遅れが目立ったが、ソネットフレーズも約半馬身の出遅れ。そこから気合をつけ外目からポジションを上げ、3角手前では先団の2番手を追走。直線に入り、ラスト3F地点から早々と先頭に立つと、そのまま押し切って勝利した。それも2着馬に3馬身半差をつけて完勝と強いレース内容だった。

指数も新馬戦としては優秀。上がり3Fタイムも好位からレースを進めながら出走メンバー中最速タイ。ただ、ラスト2Fは11秒0-11秒9と大きく減速しており、余裕があったとは言えないぶん、評価は下がる。しかし、今回はスタートの出遅れから好位に上がっていく時に無駄に脚を使ったロスがあったので、全能力を出したとは言えず、能力の天井はもっと上にありそうだ。

8月29日(日) 新潟5R 優勝馬 トウシンマカオ 指数-2 評価B
トウシンマカオはスタートから行きっぷり良く、先団の中目を追走。ラスト3Fの地点で早々に先頭に立ち、そのまま押し切って2着に2馬身半差をつけて完勝した。ラスト2Fは11秒2-12秒1と大きく減速。レース内容は、前日の新潟芝1600mの新馬戦のソネットフレーズとよく似ている。ただ、走破タイムも上がり3Fタイムも着差もすべてソネットフレーズより劣る結果になった。悪いレース内容ではないが、少々パンチ不足と言う評価になる。兄ベステンダンクは9歳ながらも活躍中。この馬も使われながら長く活躍してくれるのかもしれない。

8月29日(日) 新潟6R 優勝馬 インコントラーレ 指数-12 評価B
ダッシュ良く、軽快なスピードで逃げるインコントラーレ。4角手前から後続を引き離し始め、直線では独走。結果2着馬に9馬身もの差をつけて圧勝。好タイム、好指数での勝利だった。ラスト2Fは11秒8-13秒0と急失速。圧勝ではあったが、あまり余裕はなかったようだ。ただ、今回の指数は古馬1勝クラス勝ちレベルの優秀なもの。勝ったり負けたりしながら、そう遠くないうちにダートでもう1勝はできそうだ。

8月29日(日) 新潟11R 優勝馬 セリフォス 指数-14 評価A
今回出走メンバーの中で新馬戦の評価が唯一AAだったセリフォス。出負けを内から挽回して中団でレースを運び、直線の内からメンバー最速の上がり3Fタイムを記録し完勝。2着のアライバルは新馬戦の時点で長く良い脚を使うが、ややキレ不足と評価したが、まさにその通りの結果になった。とても順当な決着だったと言える。

今回セリフォスがマークした指数は、前週のクローバー賞のラブリイユアアイズを上回り、現2歳世代芝部門のトップに立った。新潟2歳Sの歴代の勝ち馬の指数と比較しても、今回のセリフォスは優秀な部類に入る。とりあえず今回のセリフォスは全能力を出し切った感があるが、ここからも勝ったり負けたりしながらクラシック戦線で活躍していくことになりそうだ。

8月28日(土) 札幌1R 優勝馬 シンティレーション 指数-7 評価A
トップキャストが高指数で圧勝した新馬戦で離された2着だったシンティレーション。トップキャストは新馬戦の疲れが強く残って、次走の札幌2歳Sでは凡退した。しかし、シンティレーションは新馬戦では同馬に3馬身半も離されていたので、疲れが残らなかったようだ。

今回は前回からの上積みも大きかった。内枠を利して積極的にハナに立ち、2着に2馬身半差、3着には8馬身半差をつけての勝利。指数は少し前に行われたオープンのコスモス賞と同等なもの。なかなか優秀だったと言える。

今回デビュー2戦目に逃げて好指数を記録したシンティレーション。このタイプは次走折り合ってさらにグンと指数を伸ばすパターンと、ただの好走条件逃げ限定タイプで好凡走の波が激しいパターンかに分かれる。さて、この馬はどうか。

8月29日(日) 札幌5R 優勝馬 レイトカンセイオー 指数-3 評価A
レイトカンセイオーは大外枠から出遅れ、そこからポジションを取りに上がっていったので1角は外に張られそうになったが、何とか無事に折り合った。道中は逃げ馬の外2番手につけ、4角では早々に先頭に立つ強気な競馬。最後の2Fを11秒7-11秒7と減速することなく勝利した。自ら動いて最後まで減速しなかった点はかなり優秀。しかし、直線では苦しくなったのか、ややヨレた点はマイナス。総合的には良い点が多かったが、次走は差す競馬でどこまで前進するかで能力が測れそうだ。

8月28日(土) 小倉2R 優勝馬 キラーアビリティ 指数-9 評価AAA
新馬戦では後方で脚をタメ、4角で外目に出しながら直線に入っても伸び切れず、5着だったキラーアビリティ。その内容はあまり強いとは感じさせなかった。今回も道中は同じようなレース運びだったが、しかし、4角で外に出してからの脚が前走とは大きく違ってグングン伸びた。ラスト1Fで先頭に立ち、大勢を決したところからもさらに伸びて、結果7馬身差の圧勝だった。

小倉の短い直線でよくあれだけ引き離したものだと感心していたが、ラスト2Fの数字は11秒8-10秒8。計測ミスなのではと思わせるような加速ぶり。滅多に見ることができない数字だ。

新馬戦では平凡な走りだった馬が、わずか2ヵ月でここまで変わるのかと驚かされた。かなり高いトップスピードの持ち主であることは間違いない。新馬戦で全然走っていなかったことも、今後に向けての上昇度を加速させそうだ。差してこその馬である可能性があり、そこが弱点になりそうだが、今後がとても楽しみだ。

8月28日(土) 小倉5R 優勝馬 ラスマドレス 指数-3 評価A
ラスマドレスは好位の外から2角で単独2番手に上がり、そこで折り合う。4角では馬場の良い外に出して先頭に並びかけ、直線では最後までしっかり伸びて快勝した。好位でレースを進めて、上がり3Fタイムはメンバー最速。ラスト2Fも11秒6-11秒5と加速。まさに「テンよし、中よし、終いよし」の良い内容の競馬だった。兄に重賞で活躍したジェベルムーサ、カテドラルがいる良血馬。今後がかなり楽しみな逸材だ。

8月29日(日) 小倉5R 優勝馬 マテンロウスカイ 指数-4 評価AA
ゲートは出たなり中団で折り合ったマテンロウスカイ。4角では徐々に外に出しながら、出口で進路を見つけてさらに外に出すと、そこからは凄い伸び。ラスト1Fから一気に伸びて、2着に5馬身の差をつけての圧勝だった。ゴール板を過ぎても、まだ伸びていただけに、まだまだ余力があったはず。ラスト2Fは12秒2-11秒2。あの急加速感はこの数字に現れていた。強烈なインパクト。重賞で活躍する馬になるはず。今後がとても楽しみな馬だ。


8月28日、8月29日の2歳戦ジャッジ,ⒸSPAIA



※パワーポイント指数(PP指数)とは?
●新馬・未勝利の平均勝ちタイムを基準「0」とし、それより価値が高ければマイナスで表示
例)イクイノックスの指数「-6」は、新馬・未勝利の平均勝ちタイムよりも0.6秒速い

ライタープロフィール
山崎エリカ
類い稀な勝負強さで「負けない女」の異名をとる女性予想家。独自に開発したPP指数を武器にレース分析し、高配当ゲットを狙う! netkeiba.com等で執筆。好きな馬は、強さと脆さが同居している、メジロパーマーのような逃げ馬。


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