【NHKマイルC】「阪神マイル重賞勝ち馬」は複勝率47.1% データで導く穴馬候補3頭
鈴木ユウヤ
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データで見る「穴候補3頭」
今週末の東京メインはNHKマイルC。短距離からマイルに適性を見出した3歳の精鋭たちが、その名の通り1600mを舞台に頂点を争う大一番だ。
今年は牡牝の2歳マイル王者ジャンタルマンタルとアスコリピチェーノが参戦。マイル重賞の勝ち馬たちも加わり、例年になくハイレベルな構成となった。とはいえ過去10年の3連単平均配当が35万円を超えるなど、荒れやすいレースであるのも確か。今回も様々な切り口のデータを駆使し、3頭の穴候補を導き出した。
新馬戦で出世が確約された大器 ボンドガール
まず1頭目はボンドガール。昨年6月、2歳戦開幕週の新馬戦に登場するといきなり1:34.6の好時計と上がり33.0秒を叩き出し、後の重賞馬チェルヴィニアやコラソンビートを破った。
この時のレース後半5Fが57.5秒。何を隠そう、2歳7月以前のレースで後半5F57秒台が記録されたのは、1400m以下を除くとわずか6例だけ。その勝ち馬はワグネリアン、グランアレグリア、セリフォス、ジオグリフ、リバティアイランド、そしてボンドガール。出世を確約するラップタイムといっても過言ではない。
前例の5頭はいずれもGⅠ馬。その後半57秒台のレースを勝って以降、3歳末までの成績は合算で【17-5-1-7】勝率56.7%、複勝率76.7%となっている。GⅠでも【8-2-1-7】勝率44.4%、複勝率61.1%、単回収率227%、複回収率108%。ボンドガールは今回、やや人気になるかもしれないが、回収率を考えれば「当面は買い続ける」という方針で間違っていないはずだ。
前走のニュージーランドTは2着に敗れたが、半年ぶりの実戦だったこと、初の右回り中山コース、序盤少し引っかかったことを考慮すれば及第点と言っていい。偉大なる先達に続き、GⅠ馬になるだけの資質は持っている。
「阪神外回り」でのレースぶりが大ヒント ディスペランツァ
2頭目はディスペランツァをピックアップ。前哨戦のアーリントンC勝ち馬ながら、各所想定オッズを見る限りどうも5~7番人気あたりに収まりそうだ。
東京を舞台とするNHKマイルCは、問われる適性がよく似た「阪神外回り」での実績がヒントになる。過去10年で「阪神マイル重賞の勝ち馬」は【4-1-3-9】複勝率47.1%。そのうち前走が5着以内なら【4-1-3-6】複勝率57.1%、複回収率142%と上々の成績だ。
また、阪神でいい末脚を見せてきた馬も狙い目となる。前走阪神外回りで上がり2位以内を出した馬は【2-1-3-9】。その際の上がりが34.1秒以下だと【1-1-2-3】複勝率57.1%、複回収率は400%まで跳ね上がる。
ディスペランツァは2走前にマイル路線に転向すると覚醒。勝ち時計1:33.4、上がり33.1秒という記録は、桜花賞のジュエラー(1:33.4、上がり33.0秒)やハープスター(1:33.3、同32.9秒)に近い水準だった。前走は前後半4F48.8-45.3のスローペースを上がり32.4秒の豪脚で差し切り。ここ2戦の走りは文句なしのGⅠ級だ。一気にマイル界を制圧しても驚けない。
福永祐一調教師の慧眼に乗れ! チャンネルトンネル
最後はチャンネルトンネルを取り上げる。管理するのは福永祐一師。いわずと知れた2600勝ジョッキーが、調教師としても極めて好調なスタートを切っている。
今年3月の開業以来、福永厩舎の全成績は【5-4-4-12】複勝率52.0%、単回収率134%、複回収率149%と素晴らしい。着外のほとんどが前走大敗していた馬の引き継ぎ初戦という内訳で「前走9着以内」に限ると【5-3-2-3】複勝率76.9%、単回収率259%、複回収率196%とさらに上がる。
短期的なスパンとはいえ、厩舎データでこれほどの好走率はなかなか類を見ない。調教の技術なのか、それとも状態の見極めやレース選択の上手さによるものか。理由はともかく、馬券を買う側からすれば「福永厩舎の出走は全て勝負駆け」と判断していいレベルだ。
そんな福永厩舎の記念すべきGⅠ初出走が今回のチャンネルトンネル。東京芝1600mでは1勝クラスを4着に敗れているが、これは直線で詰まったもので参考外だ。アーリントンCは3着とはいえ勝ち馬とタイム差なし、自身も上がり32.5秒という極限の脚は使っている。まだ勝負付けが済んだとはいえず、いきなりのビッグタイトル獲得も夢物語ではない。
<ライタープロフィール>
鈴木ユウヤ
東京大学卒業後、編集者を経てライターとして独立。中央競馬と南関東競馬をとことん楽しむために日夜研究し、X(Twitter)やブログで発信している。好きな馬はショウナンマイティとヒガシウィルウィン。
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