【富士S】連対率83%、ルメール騎手騎乗予定 馬齢も好データのアルジャンナ激走に期待

門田光生

富士S出走馬の前走クラス別成績(過去10年),ⒸSPAIA

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富士で2-4(ニーヨン)

2021年10月23日に東京競馬場で行われる第24回富士S。昨年GⅡに昇格し、賞金も4100万円から5900万円にアップ。その効果なのか、その昨年は2~4着がGI馬、そして1着馬はのちにドバイで2着と、メンバーもそろっていた。今後もマイルCSをはじめとして、GIの有力なステップレースとして存在感を示すだろう。そんな富士Sにはどのような傾向があるのだろうか。いつも通り、過去10年の成績を基にして、好走パターンを探っていきたい。

ところで「富士で2-4(ニーヨン)」とCMをご存じだろうか。これは昔放映されていた某競艇場のCMなのだが、出演していた漫画家の芸能人が富士山を見て(ちょっとうろ覚えだが)、2-4を買ったら「ほんとに来たよ」というもの。今回は富士Sを検証するということで、過去に2-4で決着したことがあるのかを調べてみた。

2020年から、富士Sと命名された1984年までさかのぼってみたが、調べ間違いがなければ枠連2-4、馬連2-4のどちらも出現していなかった。重賞昇格前の1984~1997年は8頭立て以下というレースが多く、この出目が出る可能性は十分あったはずなのだが。2-3や3-4で決まった年はあったので、私が死ぬまでには出るでしょう。今年は「第24回」だから、ちょっと期待していいかもしれない。

ちなみに、同じ「富士」がつく吾妻小富士Sは、2020年に枠連2-4で決まっています。

逃げ馬は苦戦

秋華賞出走馬の所属別,ⒸSPAIA
富士S出走馬の性別,ⒸSPAIA


小ネタはひとまず置いておいて、富士Sのデータ分析に入っていきましょう。まずはいつも通り所属別から。出走頭数は栗東所属の方がやや多い程度。連対数も10連対で並んでいる。ただ、1着は栗東所属馬が7頭、2着は美浦所属が7頭。勝率だと栗東所属馬、連対率だと美浦所属馬の方が上となっている。

性別で見ると、牝馬は11頭しか出走していない。前の週に府中牝馬が組まれている影響もあるのだろう。その出走した11頭中、半分近くの5頭が馬券に絡んでいる。重賞実績は関係なく、とにかく牝馬が出走してくればマークは必要となる。

富士S出走馬の年齢,ⒸSPAIA


年齢では4歳馬が9連対。勝率、連対率ともに他世代の上をいく数字を記録している。苦戦の傾向なのは高齢馬。6歳以上は52頭が出走して、連対したのは2017年の6歳馬イスラボニータ(2着)だけ。イスラボニータは皐月賞を勝った実績馬。6歳以上の馬は、このぐらいの地力がないと厳しいのかもしれない。

富士S出走馬の前走条件,ⒸSPAIA
富士S出走馬の前走,ⒸSPAIA
富士S出走馬の前走距離,ⒸSPAIA


前走をクラス別に見てみると、条件戦を経て出走してきた馬から連対した馬はいない。オープン特別組も苦戦の傾向で、該当する29頭の中で連対したのは、2012年の勝ち馬クラレントのみとなる。この馬はGⅡデイリー杯を勝ち、GIのNHKマイルCで3着の実績があった。冒頭にも書いたが、GⅡに昇格したことにより、参戦してくる馬の質がさらに上がってくると思われ、それなりの格と実績が必須となってきそうだ。

というわけで、富士Sの主力は重賞組。最も連対馬が多いのはGⅢ組の8頭。しかし、出走頭数も最多で、勝率、連対率ともに目立った数字ではない。勝率が最もいいのはGⅡ組で、連対率はGI組。レース別に見ると、安田記念の【1-2-0-7】が目立つ程度で、特に相性のいいレースは見当たらなかった。ただ、前走でダービーを使った馬(今回は該当馬なし)は【0-0-0-4】。サンプルが少ないにしても、好成績を残していた毎日王冠とは対照的な結果となっている。

マイル戦は、前走でいろいろな距離を走った馬が集まってくる条件でもある。前走でどの距離を走ったかを調べてみると、気になるデータが出ていたのは、今回距離延長になる組、すなわち前走が1500m以下だった馬。該当馬が8頭と少ないのだが、連対した馬は1頭もいなかった。前走がマイル、および前走が1700m以上の馬に大きな差はなかった。

最後に富士Sにおけるプラスとマイナスデータを。

富士Sにおけるプラスデータ,ⒸSPAIA
富士Sにおけるマイナスデータ,ⒸSPAIA


まずプラスデータの方だが、おなじみディープインパクト産駒の成績がいい。芝のほとんどのレースで結果を出しているのだが、特にこの富士Sとは相性がよくて【4-4-4-10】。複勝率は5割を超えている。逆に同じサンデーサイレンス系の種牡馬でも、ダイワメジャーとステイゴールド産駒の成績がよくない。いずれも5頭以上が出走しているが、馬券に絡んだ馬は1頭もいない。

また、逃げ馬には厳しいデータが出ており、前走で逃げた馬11頭はすべて馬券外。当日に逃げた10頭も、同じく全頭が3着を外している。

決め手は好相性の鞍上

富士Sのまとめに入る。まず好走パターンだが、A「牝馬」B「4歳馬」C「ディープインパクト産駒」の3つ。

凡走確率が高くなるのは、D「6歳以上(GI馬除く)」E「前走が条件、もしくはオープン特別」F「前走から距離延長」G「ダイワメジャー、ステイゴールド産駒」H「前走で逃げた馬」となる。

今回は好データが3つだけなのだが、全て満たした馬はいなかった。2つ該当するのは、B「4歳馬」C「ディープインパクト産駒」のアルジャンナと、A「牝馬」B「4歳馬」のロータスランドの2頭。ともにマイナスデータがないので、今回はこのどちらかが本命となる。

アルジャンナは【0-1-0-5】のエプソムC、ロータスランドは【1-0-0-7】の関屋記念が前走と、これに関しては似たり寄ったり。ほかに何か差はないかと思って調べてみると、目についたのは今回アルジャンナに騎乗予定のルメール騎手の成績。

もともと重賞に強い騎手なのは間違いないが、この富士Sは【2-3-0-1】で、連対率は何と8割3分。このデータだけでも本命にしてもいいぐらいである。というわけで、◎アルジャンナ、〇ロータスランドの順番。

3番手以下だが、今回3つあるプラスデータの中で最も強いのはBの「4歳馬」。その4歳馬の中でマイナスデータを持たないのはダーリントンホールだけ。中山金杯以来の実戦になるが、昨年も休み明け同士の決着だったので気にする必要はないだろう。

あと気になったのはダノンザキッドとワグネリアン。ダノンザキッドは2015年の勝ち馬ダノンプラチナと同じ「2歳GI勝ち」「皐月賞以来」「ダノンの冠名」など類似点が多い。ワグネリアンはディープ産駒でマイナスデータなし。先日復活を遂げたマカヒキと同じ馬主、厩舎のダービー馬。再現があるかも。

◎アルジャンナ
〇ロータスランド
▲ダーリントンホール
△ダノンザキッド
×ワグネリアン

《ライタープロフィール》
門田 光生(かどた みつお)
競馬専門紙「競馬ニホン」で調教班として20年以上在籍。本社予想などを担当し、編集部チーフも兼任。現在、サンケイスポーツにて地方競馬を中心に予想・記事を執筆中。
誰が興味あるねん!的な話ですが、ごく少数の方からリアクションがあったので、足の経過の続報を。結局、MRIでも原因が分からず、紹介状を書いてもらって3つ目の病院へ行くことに。40代になって病院へ行く回数が激増。しかも、内科、外科、神経科など多種多彩。趣味の欄に「診察券集め」と書いていいレベルにきています。シャレにならん。

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