【チューリップ賞】勝率、連対率が優秀な阪神JF組 データからの中心はビップデイジー

門田光生

チューリップ賞のキャリア別成績(過去10回),ⒸSPAIA

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チューリップ賞の傾向は?

3月2日に阪神競馬場で行われる第32回チューリップ賞。2018年にGⅡへ昇格し、桜花賞のトライアルとしてこれまで以上に重要なレースになると思われたが、昇格後は1頭も桜花賞馬を出していない。

かつてはウオッカ、ブエナビスタ、ラッキーライラックなど、のちに名牝と呼ばれる馬が勝ったレース。今年こそ本番へ勝ち馬を送り込めるのか。そんな注目のチューリップ賞にはどんな傾向が出ているのか、ここでは過去10年の成績を基にして検証していきたい。

なお、2021年に1着同着があるので、1着馬11頭、2着馬9頭となっている。

☆所属
美浦所属3勝(4連対)、栗東所属8勝(16連対)。連対数は少ないが、美浦所属馬が勝率、連対率、複勝率で大きく上回っている。

チューリップ賞出走馬の所属,ⒸSPAIA


☆キャリア
勝ち馬が出ているのは、キャリア2~5戦。このうち微差ではあるが、キャリア3戦の馬が勝率、連対率、複勝率のすべてでトップとなっている。キャリア1戦の馬も何頭か挑戦しているが、2着が最高。また、キャリア6戦以上の馬はすべて着外だった。

チューリップ賞出走馬のキャリア,ⒸSPAIA


☆前走クラス
新馬戦、未勝利戦、そしてGⅢ組から勝ち馬が出ていない。1勝クラスは40頭が出走して、勝ち馬が1頭いるだけ。また、クラスを問わず、前走でダートを走っていた馬はすべて着外。主力は勝ち馬を7頭出している前走GⅠ組だ。

チューリップ賞出走馬の前走クラス,ⒸSPAIA


☆出走馬の主な前走
GⅠ組の7勝は、すべて阪神JF組。また、リステッド昇格後のエルフィンSは阪神JF組と連対率が同じ33.3%だった。リステッド昇格前が複勝率0%だから、大躍進といえる。

チューリップ賞出走馬の主な前走,ⒸSPAIA


☆前走着順
最も連対馬を出しているのは前走1着馬だが、勝率は同4着馬、連対率は同2着馬がトップ。ただし、どの上位着順もプラスデータというほどではない。前走5着以下だと1頭しか勝ち馬が出ておらず、勝率も2%台と低い。

チューリップ賞出走馬の前走着順,ⒸSPAIA


☆前走人気
6頭の勝ち馬を出し、勝率も高い前走1番人気と、複勝率が42.1%もある前走3番人気がプラスデータ。前走が5番人気以下だと、勝率が2%台まで下がる。

チューリップ賞出走馬の前走人気,ⒸSPAIA


☆前走着差
まずは前走を勝った馬から。0.1~0.2秒差で勝った馬の好走率が目立つ。

前走で負けた馬は、勝ち馬から0.1~0.2秒差だった馬の好走率が高い。0.9秒以上離されて負けた馬は、すべて馬券圏外となっている。

チューリップ賞出走馬の前走着差,ⒸSPAIA


☆誕生月
勝率では4月生まれ、連対率では1月生まれがトップ。5月生まれからは勝ち馬が出ていない。

チューリップ賞出走馬の誕生月,ⒸSPAIA


前走レースが決め手に

チューリップ賞のデータをまとめてみよう。

【好走率アップ】
A「美浦所属」
B「キャリア3戦」
C「前走阪神JFかエルフィンS」
D「前走1番人気、もしくは前走3番人気」
E「前走0.1~0.2秒差以内で勝った、もしくは負けた」
F「1月生まれ、もしくは4月生まれ」

【勝率ダウン】
G「前走1勝クラス」
H「前走5着以下」
I「前走5番人気以下」

【勝ち馬なし】
J「キャリア1戦」
K「前走新馬戦、未勝利戦、GⅢ」
L「5月生まれ」

【連対馬なし】
M「キャリア6戦以上」
N「前走ダート」
O「前走0.9秒差以上で負け」

まず、勝ち馬を探すにあたって、プラスデータを勝率順に並べてみる。結果は、C(阪神JF)>C(エルフィンS)>D(前走1番人気)>E(前走0.1~0.2秒差で勝ち)>A>E(前走0.1~0.2秒差で負け)>F(4月生まれ)>B>F(1月生まれ)>D(前走3番人気)の順になる。

マイナスデータがいつもより多かったわけでもないが、登録17頭中、割引材料がなかったのはナムラクララだけ。ただし、同馬はプラスデータがF「4月生まれ」の1つだけ。これではさすがに本命にしづらい。

勝率ダウンのデータを持っていることには目をつむって、その中でプラスデータを多く持つ馬を探す。一番多いのはプラスデータ3つで、ビップデイジー(BCE)(I)と、ルージュナリッシュ(ABD)(G)が該当する。

この2頭の比較なら、最も勝率のいいC「阪神JF組」を持つビップデイジーを上に取りたい。ただしビップデイジーは上述したように、勝率ダウンのデータを持っているので、連軸という意味の強い本命となる。対抗はルージュナリッシュ。3番手にはマイナスデータがないナムラクララだ。

4番手以下を探すにあたって、プラスデータを連対率順に並べてみる。結果は、C(阪神JF)=C(エルフィンS)>E(前走0.1~0.2秒差で勝ち)>D(前走3番人気)>F(1月生まれ)>E(前走0.1~0.2秒差で負け)>D(前走1番人気)>A>B>F(4月生まれ)の順。勝率に続いて、C(前走阪神JFかエルフィンS)が上位となった。

「連対馬なし」のマイナスデータを持っていない馬(◎◯▲を除く)で、最も多くのプラスデータを持っているのはフェアリーライク(BDF)(K)。これを4番手とする。マイナスデータK「前走未勝利戦」の連対率(5.3%)は気になるものの、◎◯と同じくプラスデータを3つ持っている点を評価したい。

プラスデータを2つ持っている馬は、いずれも連対馬なしのデータに該当するため除外する。次位はプラスデータ1つの組となるのだが、この組では最も連対率が上のC「前走阪神JF」を持つスリールミニョンを押さえとしたい。

◎ビップデイジー
◯ルージュナリッシュ
▲ナムラクララ
△フェアリーライク
×スリールミニョン

《ライタープロフィール》
門田 光生(かどた みつお)
競馬専門紙「競馬ニホン」で調教班として20年以上在籍。本社予想などを担当し、編集部チーフも兼任。現在、サンケイスポーツにて園田・姫路競馬を中心に予想・記事を執筆中。
先週末に行われたサウジアラビアの国際競走で、日本の馬が大活躍。サウジで行われた全部のレースで馬券を売ってくれれば、かなり儲かったのに、というファンも少なくなかったかもしれませんね。私は日曜に高知で行われた重賞で、兵庫から出走した2頭がともに馬券に絡んでくれたのでホクホクです。

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