【チューリップ賞】阪神JF組は素直に好走馬を評価 ナムラクレアの妹ナムラクララは距離延長が課題
勝木淳

ⒸSPAIA
基本は実績馬
阪急杯が動いたことで、空いた開幕週のメインにチューリップ賞が入る。土曜メインのイメージが濃く、日曜日に行われたのは重賞格上げ前の1992年が最後。当時のメインは阪神大賞典であり、チューリップ賞は準メイン10Rだった。
1992年に勝ったのはアドラーブル。2着に敗れたニシノフラワーが桜花賞を勝ち、アドラーブルは2着。どちらも着差は同じく3馬身半。鮮やかな逆転劇だった。参考までにメイン阪神大賞典ではメジロマックイーンが連覇を決め、次走の天皇賞(春)で連覇を果たした。
日曜日に移ると同時に開幕週に繰り上がったことで、桜花賞までは中5週にひらく。今年は全体的に前哨戦を動かし、間隔が1週間長くなる。これが本番と結びつくかどうかはやってみないとわからない。
たかが1週間なのか、されど1週間なのか。1年を通じてポイントになる。データは過去10年分を使用する。なお、2021年に1着同着があった。
1番人気【5-1-1-3】勝率50.0%、複勝率70.0%と強力。桜花賞を目指す最有力候補が出走するレースだけあって、5勝中3勝は阪神JF優勝馬だ。実績上位馬が強い。
以下、5番人気以内10勝でそうそう人気馬総崩れは考えられない。本番と同舞台のトライアルとなると、力差がストレートに反映されやすい。
キャリアでは3戦【4-2-2-24】勝率12.5%、複勝率25.0%、4戦【4-1-5-33】勝率9.3%、複勝率23.3%が好走ゾーン。2歳夏から間隔をとって2、3戦消化し、GⅠ、そして年明け初戦にここへといった流れが理想で、そうでなければ、1戦【0-2-1-5】複勝率37.5%などキャリアの浅い馬がいい。
「理想ローテを進む実績馬」と、「それに迫るキャリア1、2戦」という構図が多く、買い目を組むときもこれを頭に入れよう。
阪神JFは素直に評価
ちなみに新馬勝ち直後の1戦1勝馬は前走1600m未満からの距離延長【0-2-0-1】、1600m【0-0-1-2】。1600mの新馬を勝ったラウルベアは中京で中団からじわじわとポジションをあげ、外から差し切った。時計面で目立つレースではなかったが、初戦から味のある競馬だった。
好走ゾーンのキャリア2~5戦についてローテーションをひもとこう。前走GⅠ【7-1-5-11】勝率29.2%、複勝率54.2%がとにかく目立つ。阪神JFは【7-1-5-10】で4着以内【7-1-5-5】、6着以下【0-0-0-5】。好走が大条件になる。
桜花賞直行の勝ち馬アルマヴェローチェはいないものの、2着ビップデイジーが参戦する。桜花賞へ向けて落とせないが、全力投球ではない可能性も残す。とはいえ、データ上、簡単には馬券を外さない。
阪神JFは前後半800m46.5-46.9と持久力を問われ、ラスト400mは11.5-11.4。ビップデイジーは上がり600m2位タイの34.4を記録しており、現時点では内容的に抜けた存在でもある。
GⅠ以外だと前走OP/L【3-2-1-21】勝率11.1%、複勝率22.2%に注目。キャリア2戦だと【2-1-0-7】勝率20.0%、複勝率30.0%となっており、新馬からOP、そして重賞というステップアップも通用する。
もうひとつ5戦も【1-1-0-2】勝率25.0%、複勝率50.0%で、ある程度使って経験を積んだ馬も走る。紅梅Sを勝ったナムラクララはキャリア4戦だが、データの意図するところにハマる。その紅梅Sは【1-1-0-8】勝率10.0%、複勝率20.0%。1400mからの距離延長はデータをみてもカギになる。
姉ナムラクレアのイメージ通り4戦すべて1400mに出走したナムラクララも、マイルへの対応がポイントだ。姉はフィリーズレビュー2着、桜花賞3着。精一杯だった。
妹はどうなのか。チューリップ賞は試金石だろう。
多少押せ押せになるが、1600m戦のエルフィンSは【2-1-1-11】勝率13.3%、複勝率26.7%。2、3着【1-1-1-4】なので、惜敗馬がここで桜花賞出走を決める。
7着サウンドサンライズは音無秀孝厩舎、最後の重賞出走。応援したいところだが、前走で7着は負けすぎか。
最後に前走1勝クラス【1-0-2-35】勝率2.6%、複勝率7.9%について。ちょっと分が悪く、やはりレベルの問題はついて回る。1勝クラスは距離でくっきり。1600mだと【1-0-2-17】勝率5.0%、複勝率15.0%、それ以外【0-0-0-18】となっている。
ライタープロフィール
勝木 淳
競馬を主戦場とする文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュースエキスパートを務める。『アイドルホース列伝 超 1949-2024』(星海社新書)に寄稿。
《関連記事》
・“イン突き”の岩田康誠騎手は内枠で単回収率900%超え GⅡで妙味のある騎手、厩舎を東大HCが調査
・トライアルに強い騎手を特集 頭で狙いたい岩田望来騎手、「中山マイスター」津村明秀騎手に注目
・【競馬】安定のルメール騎手、頭にしたい川田将雅騎手 東大HCが「3歳重賞に強い騎手、調教師、種牡馬」を調査