【競馬】安定のルメール騎手、頭にしたい川田将雅騎手 東大HCが「3歳重賞に強い騎手、調教師、種牡馬」を調査
東大ホースメンクラブ
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3歳重賞で「買える」「買えない」条件は?
年が明けて早1か月が経過し、クラシックへのトライアル競走が始まるなど3歳戦線もいよいよ本格化の季節となった。今週は土曜に牝馬クラシック戦線を占うクイーンC、日曜に朝日杯FS勝ちのジャンタルマンタルが始動する共同通信杯と、東京でダブル3歳重賞が予定されている。比較的キャリアの少ない馬も出走してくる3歳重賞は、どのような要素を重視すべきだろうか。そこで今回の記事では「3歳戦に強い騎手、調教師、種牡馬」について、データをもとに「買える」「買えない」条件をピックアップし紹介していく(期間は2019年1月5日~2024年2月4日)。
川田将雅騎手、C.ルメール騎手が出色
<3歳重賞に強い騎手>
川田将雅【21-7-12-45】勝率24.7%/連対率32.9%/複勝率47.1%
C.ルメール【15-21-11-55】勝率14.7%/連対率35.3%/複勝率46.1%
武豊【10-9-7-60】勝率11.6%/連対率22.1%/複勝率30.2%
横山武史【9-9-8-42】勝率13.2%/連対率26.5%/複勝率38.2%
まずは3歳重賞に強い騎手から見ていく。注目すべきはやはり川田将雅騎手とC.ルメール騎手だ。集計期間内で出走機会が20回以上あった騎手の中ではこの両者のみが連対率30%台、複勝率40%台に乗せている。
川田騎手は全体の単勝回収率でも104%と存在感を放つが、特に西開催かつ3番人気以内なら【16-3-5-11】勝率45.7%、単勝回収率139%とさすがは西のトップジョッキーという成績。一方、東開催では【4-4-6-22】で複勝率38.9%と、これは同騎手の「同期間の東開催全体(3歳重賞以外も含むすべての競走。以下単に「全体成績」と呼ぶ)」の複勝率(50.9%)よりもやや低い。また単勝回収率も70%と見劣りし(全体78%)、強いて弱点をあげるならここだろうか。
続いてルメール騎手のデータも確認する。こちらは以前取り上げた2歳重賞の時と同様、人気を集めることが多いため3歳重賞全体での単勝回収率が66%にとどまっている。もちろん人気馬に乗った際は高確率で馬券圏内に入ってくるが、高配当は望みにくい。「とりあえずルメールから買う」ことは間違いではないが、購入点数や金額には気を配りたい。また前走0秒6以上負けた馬に騎乗した際は【0-0-2-10】で、川田騎手の【4-2-4-9】と比べて大きく水をあけられていることも要注意だ。
3位の勝利数をあげているのは武豊騎手。一昨年にドウデュースでダービー6勝目をあげたことは記憶に新しいが、東京での3歳重賞実績は【1-0-3-19】で集計期間中唯一の勝利が前記のダービーとやや不調気味。それでも芝マイルとなれば話は別だ。特に昨年は芝マイル【3-0-1-2】と好調で、今年はどうなるか注目だ。またGⅢでは【4-4-2-16】複勝率38.5%をマークし、昨年はモズメイメイの葵Sなど3勝をあげている。
4位の横山武史騎手についても見てみよう。1600m以下だと【1-2-5-15】勝率4.3%、複勝率34.8%と惜敗するケースが多い。しかし中距離、特に中山芝2000m戦では【4-3-0-6】勝率30.8%、単勝回収率226%をマーク。これは同騎手の当コースでの全体成績と比較して勝率(17.3%)、単勝回収率(92%)ともに上回る。エフフォーリア、ソールオリエンスでの皐月賞勝利をはじめ、先日の京成杯のアーバンシックで2着など、今後も注目したい。
ちなみにニッチだが、横山武史騎手が4番人気の馬に騎乗した際は【4-0-2-6】勝率33.3%、単勝回収率367%をマークしている。効率よく好配当を狙うならば、「4番人気の横山武史」に着目してみるのも一興かもしれない。
手塚貴久調教師はGⅡ、GⅢで注目
<3歳重賞に強い調教師>
矢作芳人【9-3-4-57】勝率12.3%/連対率16.4%/複勝率21.9%
手塚貴久【8-6-3-27】勝率18.2%/連対率31.8%/複勝率38.6%
友道康夫【7-11-9-58】勝率8.2%/連対率21.2%/複勝率31.8%
木村哲也【7-9-4-31】勝率13.7%/連対率31.4%/複勝率39.2%
中内田充正【7-6-4-31】勝率14.6%/連対率27.1%/複勝率35.4%
続いて3歳重賞に強い調教師についても見ていく。集計期間で最も多く勝利をあげたのはコントレイルなどを手掛けた矢作芳人調教師。昨年こそ3歳重賞未勝利に終わったが、2019年以降の1、2番人気であれば【8-0-2-2】と、コントレイルが押し上げたことを加味しても信頼のおける成績を残している。一方で、所属している坂井瑠星騎手が騎乗したレースは【0-0-3-22】と芳しくなく、また牝馬限定戦も【1-1-0-19】とやや苦戦気味である(唯一の1着は19年オークス優勝のラヴズオンリーユー)。
2位の手塚貴久調教師の管理馬からは昨年ソールオリエンスが3歳戦線で活躍。牝馬限定重賞で活躍する馬も【4-1-2-9】と多く、このうちGⅡとGⅢでは【3-0-2-2】勝率42.9%、単勝回収率518%をマークしている。一方で西開催では【1-0-1-9】勝率9.1%という結果で、遠征に積極的な厩舎ではなく母数に差があることを考えても、東開催の【7-6-2-18】勝率21.2%とはやや差がついていることが気がかりだ。
3位の友道康夫調教師は川田将雅騎手とのコンビで【4-1-0-7】勝率33.3%、単勝回収率205%と好成績。昨年は京都、神戸の両新聞杯を制したサトノグランツや、クイーンCを6番人気で制したハーパーとコンビを組んでいた。今年もこの勢いが続くか。一方で中山では【0-1-5-11】と3着に入ることは多いが勝ちがない。連対率もわずか5.9%という点にも要注意だ。
世界最強ホース、イクイノックスのトレーナーである木村哲也調教師はC.ルメール騎手との王道コンビで【3-5-0-7】連対率53.3%をマークしているが、単勝回収率は88%止まり。やはり人気を集めることが多く妙味は少ない。馬主別にみると、イクイノックスやオーソリティのシルクレーシングが【2-3-1-6】で単勝回収率はジャスト100%をマークしている。
リバティアイランドを管理している中内田充正調教師もまた、川田騎手とのコンビで【7-4-3-12】勝率26.9%、複勝率53.8%という成績。リバティアイランドのほか、ダノンファンタジーやアートハウスなどでも結果を残している。またローズS3勝をはじめGⅡで【4-4-0-8】勝率25.0%、連対率50.0%と優秀。一方、中3週以内での出走は【0-1-2-12】と振るっておらず、牡馬も【0-5-4-13】と連対率こそ22.7%あるが、なかなか勝ち切れない。
ドゥラメンテとキタサンブラック産駒も明確な傾向あり
<3歳重賞に強い種牡馬>
ドゥラメンテ【11-7-6-78】勝率10.8%/連対率17.6%/複勝率23.5%
キタサンブラック【4-8-2-32】勝率8.7%/連対率26.1%/複勝率30.4%
最後に種牡馬を見てみよう。集計期間中、ディープインパクトに次いで2位の勝利数を記録しているドゥラメンテは、昨年リバティアイランドを含め3頭の3歳GⅠホースを輩出してJRAリーディングサイアーを獲得した。GⅠでは【8-1-2-17】勝率28.6%と勝負強さが光り、単勝回収率も223%と、ベタ買いするだけでプラス収支となる計算。昨年の2歳馬は重賞おろかオープン勝ちの馬もいなかったが、今年はどうなるか。
キタサンブラック産駒はソールオリエンスなど、いきなり3歳重賞戦線で活躍する馬が出てきた。特に中山コースでは【3-4-1-7】勝率20.0%、複勝率53.3%をマークしており、単勝回収率こそ86%だが安定感がある。ただ、東京コースで【1-2-0-10】、西開催では【0-2-1-14】と中山以外では成績が芳しくないことは覚えておきたい。
《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。
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