トライアルに強い騎手を特集 頭で狙いたい岩田望来騎手、「中山マイスター」津村明秀騎手に注目

高橋楓

三冠トライアルで好成績を残している騎手データ,ⒸSPAIA

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川田将雅騎手が抜群の安定感

今週は紫苑Sが開催される。来週にはセントライト記念、ローズSとクラシックへのトライアルレースが続々と行われ、いよいよ秋シーズンを予感させる。

今回は、2019年以降の「トライアルで好成績を残している騎手」をテーマにデータを紹介する。トライアルと一言にいっても色々あるので、今回は3歳三冠レース(計6レース)のトライアルに限定し、2019年3月2日のチューリップ賞から2024年5月4日に開催された京都新聞杯の間の騎手成績をランキング化した。なお、桜花賞と皐月賞の成績は除く。まずは勝利数から。

トライアルレース限定 勝利数ランキング,ⒸSPAIA


1位 川田将雅【10-5-8-9】勝率31.3%/連対率46.9%/複勝率71.9%
2位 武豊【6-6-3-21】勝率16.7%/連対率33.3%/複勝率41.7%
3位 田辺裕信【6-4-0-32】勝率14.3%/連対率23.8%/複勝率23.8%
4位 横山武史【5-4-2-26】勝率13.5%/連対率24.3%/複勝率29.7%
5位 C.ルメール【4-7-4-19】勝率11.8%/連対率32.4%/複勝率44.1%
6位 池添謙一【4-4-2-25】勝率11.4%/連対率22.9%/複勝率28.6%

とにかく川田将雅騎手の数値が頭一つ抜ける。ただし留意したいのは東西の場所で成績に大きな乖離があること。

東開催【0-4-3-4】勝率0.0%/連対率36.4%/複勝率63.6%
西開催【10-1-5-5】勝率47.6%/連対率52.4%/複勝率76.2%

いずれの数字も驚異的なことには間違いないのだが、東では近5年で0勝というのは意外だった。まずは西の競馬場での成績をもう少し詳しく見ていこう。

中京【3-0-0-3】勝率50.0%/連対率50.0%/複勝率50.0%
京都【1-0-2-0】勝率33.3%/連対率33.3%/複勝率100.0%
阪神【6-1-3-2】勝率50.0%/連対率58.3%/複勝率83.3%

ちなみに阪神開催の着外2回はともにチューリップ賞。記憶の片隅に残しておくと、役立つ時が来るかもしれない。また、東の競馬場だと中山が【0-2-3-2】複勝率71.4%で勝ち星はないものの安定感は抜群だ。

2位の武豊騎手もさすがの数値。今年トライアルが行われる2場での成績は下記のようになっている。

中山【1-3-0-3】勝率14.3%/連対率57.1%/複勝率57.1%
中京【0-1-0-5】勝率0.0%/連対率16.7%/複勝率16.7%

2020年の紫苑Sでは10番人気のパラスアテナを2着に導いて秋華賞へのチケットをもぎ取った。中京は6戦で馬券圏内は1回のみとはいえ全て4番人気以下の馬に騎乗した成績。その中で2022年の神戸新聞杯では12番人気のヤマニンゼストで2着に入った。

C.ルメール騎手は勝率11.8%で普段と比べると低調な結果に。それでも複勝率44.1%はさすがの数字。特に2番人気馬で【0-3-2-1】と好成績を残している。競馬場別の成績は以下の通り。

中山【1-3-4-9】勝率5.9%/連対率23.5%/複勝率47.1%
中京【0-1-0-4】勝率0.0%/連対率20.0%/複勝率20.0%

中山の1勝は今年のスプリングSのシックスペンス。トライアルではヒモで狙うのがオススメだ。

勝率で浮上してくるのは岩田望来騎手

ここではトライアルに10回以上騎乗したジョッキーの勝率ランキングを調べていきたい。

トライアルレース限定 勝率ランキング,ⒸSPAIA


<勝率ランキング>
1位 川田将雅【10-5-8-9】勝率31.3%
2位 武豊【6-6-3-21】勝率16.7%
3位 田辺裕信【6-4-0-32】勝率14.3%
4位 岩田望来【3-1-2-15】勝率14.3%
5位 横山武史【5-4-2-26】勝率13.5%

基本的に勝ち星ランキングと同じ顔が並ぶのだが、上位に岩田望来騎手がランクインしてきた。【3-1-2-15】で勝率14.3%、連対率19.0%、複勝率28.6%の成績を残している。

2023年 ローズS マスクトディーヴァ(7番人気)
2022年 京都新聞杯 アスクワイルドモア(8番人気)
2021年 スイートピーS タガノパッション(5番人気)

勝ち馬はすべて中穴で、単勝回収率は239%。2着の1回は今年のフローラS6番人気のラヴァンダ。そもそも、トライアルでまだ2番人気以上の馬に騎乗したことがない中でこの成績は立派といえるのではないだろうか。ヒモだけでなく、思い切って頭で狙ってみたいジョッキーだ。

馬券検討に入れておきたい津村明秀騎手

最後にトライアルで10回以上騎乗しているジョッキーの複勝率ランキングを見ていこう。

トライアルレース限定 複勝率ランキング,ⒸSPAIA


<複勝率ランキング>
1位 川田将雅【10-5-8-9】複勝率71.9%
2位 津村明秀【3-2-6-13】複勝率45.8%
3位 C.ルメール【4-7-4-19】複勝率44.1%
4位 武豊【6-6-3-21】複勝率41.7%
6位 戸崎圭太【3-5-5-22】複勝率37.1%
※5位はD.レーン【1-2-2-7】複勝率41.7%

ここでも勝利数ランキングのメンバーが上位に入るのだが、2位に津村明秀騎手がランクインしてきた。これには正直驚いた。

確かに2019年にカレンブーケドールで牝馬クラシック路線を盛り上げたが、24回騎乗し45.8%も複勝圏内に入っていたとは思いもしなかった。イメージだけでなく数値で表すとこのようなことがあるから面白い。しかも騎乗しているのは関東限定だ。

東京【2-0-1-10】勝率15.4%/連対率15.4%/複勝率23.1%
中山【1-2-5-3】勝率9.1%/連対率27.3%/複勝率72.7%

中山競馬場で驚異的な複勝率を叩き出している。この秋のクラシックに向けた中山のトライアルでは津村明秀騎手をぜひ注目してみて欲しい。

《ライタープロフィール》
高橋楓。秋田県出身。
サクラローレルの馬体の美しさに魅せられて競馬の世界に惹きこまれる。他に好きな馬はホクトベガ、サイレンススズカ。一口馬主を趣味とし、楽しさを伝える事にも注力している。
競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』にてライターデビュー。競馬、ボートレースの記事を中心に執筆している。

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