【共同通信杯】ポイントは距離適性 ジャンタルマンタルの逆転候補はジャスティンミラノ、べラジオボンド
勝木淳
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前走GⅠ・1着馬の取捨
直近10年の勝ち馬にはイスラボニータ、リアルスティール、ディーマジェスティ、スワーヴリチャード、ダノンキングリー、エフフォーリアとGⅠ馬がズラリと並び、負けた馬にはダービー馬ドゥラメンテ、タスティエーラや皐月賞馬ジオグリフがいる。共同通信杯こそクラシックや将来を展望する最重要レースだ、そんな声もある。
これらの馬たちはここをステップにGⅠ戦線へ進んだ。だが、今年はすでにGⅠタイトルを手にしたジャンタルマンタルが参戦する。2000年以降、前走GⅠを勝った馬の参戦は2006年フサイチリシャール、19年アドマイヤマーズの2頭のみ。どちらも共同通信杯は2着だった。はたして、ジャンタルマンタルは連勝街道を歩めるだろうか。データは過去10年分を使用する。
1番人気【1-3-2-4】勝率10.0%、複勝率60.0%、2番人気【1-0-3-6】勝率10.0%、複勝率40.0%は少し意外な印象があるが、その分3番人気が【5-2-1-2】勝率50.0%、複勝率80.0%と強力だ。これは実績ある人気馬に対し、素質馬がここで逆転し、クラシックへ進むというケースが目立つからだろう。実績は劣っても能力的には引けをとらない。そんな馬を探し、先物買いするのもおもしろい。
馬券的には6番人気【2-1-0-7】勝率20.0%、複勝率30.0%まで。7番人気以下は確率が下がるので、上位人気中心に組み立てよう。
1戦1勝馬は【2-3-2-7】勝率14.3%、複勝率50.0%と、少数精鋭ながらアテになる。前走距離内訳は1600m【0-0-0-4】、1800m【1-2-1-2】、2000m【1-1-1-0】。このレースはマイルと1800mの壁がポイントになる。これは重賞組も新馬組も同じ。中距離の新馬勝ちは実績で見劣っても上位にとろう。ジャスティンミラノ、べラジオボンドは共同通信杯好走ゾーンに合致する。
キャリア2戦以上は2戦【2-0-2-14】勝率11.1%、複勝率22.2%、3戦【4-5-4-27】勝率10.0%、複勝率32.5%、4戦【2-1-2-11】勝率12.5%、複勝率31.3%と大きな差はない。ただ、5戦以上だと好走確率は一気に下がる。
中距離転戦のミスタージーティーもチャンス
3戦3勝ジャンタルマンタル、3戦2勝エコロヴァルツ、2戦1勝ミスタージーティーと前走GⅠ組はキャリアのデータを確実にクリア。この中で好走ゾーンに多く一致するのはどの馬か。前走クラスを中心に調べていく。
キャリア2戦以上のクラス別成績をみると、前走GⅠは【1-3-0-8】勝率8.3%、複勝率33.3%と勝ち切れない。その内訳は前走ホープフルS【1-0-0-2】。23年ファントムシーフが前走4着から巻き返した。中距離経験を武器に距離短縮で一変したといった感じだ。当然、5着に敗れたミスタージーティーもチャンスだ。
前走朝日杯FSは【0-3-0-6】複勝率33.3%。勝ち馬の出走は上記アドマイヤマーズの2着のみで、2~4着【0-0-0-4】、5~9着【0-2-0-2】。22年2着ジオグリフが典型で、マイル戦で敗れた中距離型がここで息を吹き返す。ジャンタルマンタルもエコロヴァルツもデータ上、単勝は危険といえる。
もっとも、どちらも中距離をこなすと踏めば問題はない。ジャンタルマンタルの父パレスマリスはアイアンバローズ、ジャスティンパレスの兄。自身もベルモントSなど中距離実績がある。マイラーと断ずるのは早計だろう。エコロヴァルツも2勝は福島、札幌の芝1800mであり、距離延長はのぞむところだ。
ほかではショーマンフリートの前走シンザン記念は【0-0-1-2】。22年ビーアストニッシドがシンザン記念4着から3着と着順をあげた。同馬は次走スプリングS勝ちで1800mにフィットした。ショーマンフリートは戦歴をみるとマイル寄りだが、父はスワーヴリチャード。距離が延びてもいい。
前走1勝クラス【4-2-1-21】勝率14.3%、複勝率25.0%も距離傾向をみよう。新馬とは違い、距離延長【1-0-1-4】勝率16.7%、複勝率33.3%で悪くない。もちろん、同距離【0-2-0-6】複勝率25.0%、今回短縮【3-0-0-11】勝率、複勝率21.4%と1800m以上から来る馬もいいが、ここは前走マイルでも買える。ただ、今年は前走マイルの馬はいない。そもそも前走1勝クラスの登録馬は同距離のレリッシュだけだ。
ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュース個人オーサーを務める。新刊『キタサンブラック伝説 王道を駆け抜けたみんなの愛馬』(星海社新書)に寄稿。
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