【競馬】「府中千八展開いらず」は本当か? 東大HCが東京芝1800mを徹底検証
東大ホースメンクラブ
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コース紹介
今回は東京芝1800mを紹介する。当該コースの重賞は5レース。グレード順にGⅡは「スーパーGⅡ」の呼び声高い毎日王冠、屈指の出世レース・東京スポーツ杯2歳S、エリザベス女王杯の重要ステップである府中牝馬S、GⅢはエプソムCと共同通信杯が行われる。このコースの特徴をデータで分析していく(使用するデータは2018年6月9日~2023年5月28日)。
続いてコース紹介。2コーナー奥のポケット地点をスタートし、向正面までゆるやかな下りを進み、ここで坂を上りきると再び3コーナー途中まで下り坂となる。スピードアップした各馬を待ち受けるのは525.9mの直線と高低差約2mの坂。ワンターンながら総合力が問われるコースだ。
おおむね中枠有利、2、3着穴は逃げ馬から
<東京芝1800m・過去5年の枠別成績>
1枠【23-25–27-295】勝率6.2%/連対率13.0%/複勝率20.3%
2枠【34-34-22-302】勝率8.7%/連対率17.3%/複勝率23.0%
3枠【41-26-37-306】勝率10.0%/連対率16.3%/複勝率25.4%
4枠【38-41-29-330】勝率8.7%/連対率18.0%/複勝率24.7%
5枠【28-44-37-355】勝率6.0%/連対率15.5%/複勝率23.5%
6枠【42-42-34-365】勝率8.7%/連対率17.4%/複勝率24.4%
7枠【34-38-48-406】勝率6.5%/連対率13.7%/複勝率22.8%
8枠【41-31-49-434】勝率7.4%/連対率13.0%/複勝率21.8%
枠別成績はおおむね中枠有利。単勝回収率が最も高いのは8枠の105%となっている。重賞に限ると3、4枠が好調だ。3枠は【4-4-3-22】で複勝率33.3%、単回収率118%、4枠は【5-3-4-23】で複勝率34.3%、単回収率208%を記録。また重賞においては、1枠も成績が良く、【4-1-4-22】で勝率12.9%、単回収率154%と全体成績から大きく数字を上げている。レースレベルが高くなるほど最内枠の恩恵は大きくなるのだろう。
逆に評価を下げたいのは2枠で、重賞では【0-5-2-25】と勝利がない。3番人気以内は【0-1-0-4】、距離延長組【0-1-0-10】などデータ上の落とし穴が多くあり、黒帽に該当馬が入れば消しも一手だろう。
<東京芝1800m・過去5年の脚質別成績>
逃げ【31-34-21-229】勝率9.8%/連対率20.6%/複勝率27.3%
先行【116-109-100-629】勝率12.2%/連対率23.6%/複勝率34.1%
差し【94-100-113-957】勝率7.4%/連対率15.3%/複勝率24.3%
追込【38-36-45-957】勝率3.5%/連対率6.9%/複勝率11.1%
脚質別成績では東京芝コースらしく、逃げ馬よりも先行馬が結果を残している。重賞に限ると、差し【8-12-13-82】勝率7.0%や追込【6-4-2-72】同7.1%で後方待機勢も数字を上げてくる。故大橋巨泉氏が残した「府中千八展開いらず」という格言を地で行くフェアなデータである。
重賞で特に注目したいのは逃げ馬。【1-5-2-21】で連対率20.7%、複回収率180%を記録している。人気薄の逃げ残りには要警戒だ。過去にエプソムCで、サラキア(7番人気2着)やトーラスジェミニ(18番人気3着)が穴をあけている。
矛盾するようだが上がり3ハロン最速の馬が好成績を残しているのも特徴で、重賞に限ると【16-5-2-6】と半数以上が勝利。同じく重賞では、前走上がり2位以内に限れば単勝回収率が100%を超えるため、末脚自慢から単系馬券を仕込むのも一つの手だ。
C.ルメール騎手が抜群の成績
<東京芝1800m・過去5年の種牡馬別成績>
ディープインパクト【60-39-38-226】勝率16.5%/連対率27.3%/複勝率37.7%
エピファネイア【12-11-8-84】勝率10.4%/連対率20.0%/複勝率27.0%
モーリス【10-6-6-33】勝率18.2%/連対率29.1%/複勝率40.0%
種牡馬別成績ではキレが生きるコースらしくディープインパクト産駒の独壇場。複勝率4割に迫る圧巻の成績だ。しかし、重賞に限ると【5-4-7-54】で勝率7.1%とやや数字が落ちる点には注意だ。
エピファネイア産駒は【12-11-8-84】で勝率10.4%とまずまず。重賞に限るとこのコースでは【2-1-0-5】で勝率25.0%、単回収率520%を記録しているが、これは昨年12番人気で府中牝馬Sを制したイズジョーノキセキの影響が大きい。
これら2頭を上回っているのがモーリス。勝率、連対率、複勝率すべてでディープインパクトを上回るという驚異的な成績だ。昨年、同産駒のノースブリッジがエプソムCを制しており、相性の良さを見せている。
<東京芝1800m・過去5年の騎手別成績>
ルメール【48-38-21-67】勝率27.6%/連対率49.4%/複勝率61.5%
レーン【16-5-7-19】勝率34.0%/連対率44.7%/複勝率59.6%
横山和生【2-1-4-37】勝率4.5%/連対率6.8%/複勝率15.9%
騎手別成績ではC.ルメール騎手が圧巻。重賞に限ると更にパフォーマンスを上げ、【7-2-1-12】で勝率31.8%、単回収率125%とプラス域を記録している。
また、横山和生騎手は複勝率2割以下。3番人気以内に騎乗すると【0-0-2-3】で勝ちきれない競馬が続いている。
《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。
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