【阪神JF】「札幌芝1800m新馬勝ち」の馬は複勝率100% データで導く穴馬候補3頭

鈴木ユウヤ

2023年阪神ジュベナイルフィリーズ-データで探す穴馬,ⒸSPAIA

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データで見る「穴候補3頭」

今週日曜は香港国際競走もあり、競馬ファンにとっては忙しい1日になる。国内のメインカードは阪神ジュベナイルフィリーズ。2歳女王を決める一戦だ。

アルテミスSを制したチェルヴィニアが回避、そのチェルヴィニアを新馬戦で撃破したボンドガールも回避となり、一気に混迷を極めてきた。今回も様々な切り口のデータを駆使し、3頭の穴候補を導き出した。


「札幌芝1800mデビュー勝ち」は必ず馬券に絡む!? ステレンボッシュ

まず1頭目はステレンボッシュ。夏の札幌芝1800m戦でデビュー勝ちを収めると、サフラン賞2着を経て赤松賞を勝利。3戦2勝の戦績でGⅠに駒を進める。

阪神JF デビュー距離別成績(過去10年),ⒸSPAIA


阪神JFでは「デビュー戦の距離」が予想に役立つ。過去10年、1500m以下でデビューした馬は【1-2-3-84】複勝率6.7%、単回収率12%、複回収率20%とかなり低調。逆に最もいいのは1800mデビューであり、その成績は【4-2-3-13】複勝率40.9%、複回収率96%となっている。

こうなる原因は、

(1)中距離戦の流れで折り合いを覚えさせるとその後のレースに好影響
(2)期待が大きい馬ほど長めの距離でデビューさせる傾向がある

このあたりだろう。

とりわけ、「札幌芝1800mでデビュー勝ち」なら【1-1-1-0】複勝率100%。昨年10番人気3着ドゥアイズのほか、14年2着レッツゴードンキ、16年1着ソウルスターリング、といずれも上位に台頭した。気候的に調整がしやすく、トップ騎手も揃う夏の札幌。その中距離新馬は総じてメンバーレベルが高く、そして夏の間に勝てば阪神JFまでローテーションも組みやすい。納得の好成績だ。

今年の該当馬はステレンボッシュのみ。前走の勝ち時計1.33.8は単純比較でサフィラ(1.33.9)の持ち時計とも遜色ない。国枝栄厩舎×C.ルメール騎手の黄金タッグ結成で、重賞実績馬を食う態勢は整った。


「早生まれ」と「ゆとりローテ」で複回収率231% アスコリピチェーノ

2頭目は新潟2歳Sを制したアスコリピチェーノ。初の関西圏、右回りなど課題も多いが、好走を後押しする材料もある。

阪神JF 生月別成績(過去10年),ⒸSPAIA


一般的に「2歳重賞は早生まれの馬が有利」とされる。阪神JFではそこまで決定的でもないのだが、過去10年で「2月以前生まれ」は【5-4-4-46】複勝率22.0%、複回収率70%、「3月以降生まれ」は【5-6-6-102】複勝率14.3%、複回収率36%。確かに早生まれの方がベターではある。

ただ、これ単体では決め手にならないのでさらに掘り下げる。狙うは「2月以前生まれ」のうち、「前走1着」から「中8週以上」空けて出走した馬【1-3-1-6】複勝率45.5%、複回収率231%。成長面のアドバンテージを生かして早々に賞金を確保し、本番へ向けてじっくり調整してきた馬たちが結果を出している。

今年、このパターンに唯一当てはまるのがアスコリピチェーノだ。相手は強くなるが、こちらもまだまだ底は見せていない。勝てば北村宏司騎手はキタサンブラックの菊花賞以来、8年ぶりのGⅠ制覇となる。


アスター賞の猛時計にGⅠ級の価値 キャットファイト

最後はキャットファイトを選んだ。新馬戦こそボンドガールから1.2秒離された6着に終わるも、その後は2連勝。特に前走アスター賞は2歳コースレコード1:33.1をマークして、後続に0.8秒差を付ける快勝だった。

2歳マイル戦 勝ち時計1.33.3以下、着差0.3秒以上のレース,ⒸSPAIA


2歳のマイル戦、勝ち時計1.33.3以下のレースで着差が0.3秒以上付いたのは、キャットファイトのアスター賞も含めて計10レース。勝ち馬の顔触れはミッキーアイル、ダノンプレミアム、レシステンシア、サリオス、リバティアイランドなどそうそうたる面々だ。この10例の次走成績は【5-1-1-1】勝率62.5%、複勝率87.5%(キャットファイトとイフェイオンはまだ出走していないため除く)。当然、その圧勝劇から人気を背負うので単回収率103%、複回収率102%はそこまで目立った数字でもないが、優秀には違いない。

前走で圧勝したキャットファイトだが、おそらく4~6番人気あたりで買えそうな情勢。これだけ目立つ勝ち方をしたにもかかわらず、意外と人気がない。ある意味、千載一遇のチャンスとも考えられる。女同士の激戦を制し、世代の頂点に立つだけのポテンシャルは秘めている。

<ライタープロフィール>
鈴木ユウヤ
東京大学卒業後、編集者を経てライターとして独立。中央競馬と南関東競馬をとことん楽しむために日夜研究し、X(Twitter)やブログで発信している。好きな馬はショウナンマイティとヒガシウィルウィン。

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