【ジャパンC】優勝馬の歴代最速上がりはジェンティルドンナの32.8 最強馬決定戦の「記録」を振り返る
緒方きしん
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繰り上がりを含め4勝をあげた武豊騎手
今週はジャパンC。東京2400mコースで開催される現役最強馬決定戦に、今年も様々なメンバーが集結した。とりわけ注目は、イクイノックスvsリバティアイランドだろう。歴史的名馬とも言える2頭の激突で、非常に盛り上がる一戦となることは確実だ。
実力は折り紙つきの2頭だけに、鞍上の手綱捌きにも注目が集まる。イクイノックスの鞍上はC.ルメール騎手で、2009年にウオッカ、18、20年にアーモンドアイで計3勝。歴代2位タイの白星を積み上げている。リバティアイランドの鞍上は今年絶好調の川田将雅騎手だが、これまでジャパンCを勝利したことがなく、最高着順は18年キセキの2着となっている。
歴代のジャパンCで3勝をあげている騎手は、ルメール騎手のほかに岩田康誠騎手とL.デットーリ騎手。岩田騎手は園田から中央への移籍2年目にアドマイヤムーンで同レースを初制覇、2011年と12年にはブエナビスタ、ジェンティルドンナという2頭の名牝で連覇を達成した。
デットーリ騎手は1996年にシングスピールに騎乗し直線で鋭い末脚を披露。O.ペリエ騎手を擁する1番人気エリシオや秋華賞馬ファビラスラフイン(松永幹夫騎手)を抜き去り勝利している。その後はファルブラヴ、アルカセットで勝利をあげているが、いずれも1、2番人気ではなく、有力馬を倒しての勝ち星であった。特にアルカセットでの勝利は当時の世界レコードを更新しただけでなく、以降、現在に至るまで同レースを制した外国調教馬がいないことからも、記憶にも記録にも残る特別な勝利だったと言える。
そうした国内外の名手をおさえて勝利数トップに輝いているのが、4勝の武豊騎手。スペシャルウィーク、ディープインパクト、キタサンブラックで3勝に加え、2010年にブエナビスタが降着したことで繰り上がり制覇となったローズキングダムにも騎乗していた。また、スペシャルウィーク産駒のブエナビスタはジャパンC親子制覇を達成、ディープインパクト産駒だとジェンティルドンナやショウナンパンドラ、コントレイルが親子制覇している。キタサンブラック産駒のイクイノックスは父に勝利を贈れるだろうか。
三冠牝馬vs前年の年度代表馬が激突した2012年
1986年以降で勝ち馬の最速上がりは、2012年ジェンティルドンナが出した32.8。父のディープインパクトが繰り出した33.5を0.7秒も更新した。ディープインパクトの記録は今でも第2位であり、父子の凄まじさが改めて感じられる。
12年ジェンティルドンナは牝馬三冠を達成後、ジャパンCへと直行。圧倒的な走りを見せてきたジェンティルドンナだったが、その年のメンバーは非常にレベルが高く、1番人気は前年の年度代表馬オルフェーヴルに、2番人気もルーラーシップに譲り3番人気となった。直線ではオルフェーヴルと壮絶なデッドヒートを繰り広げ、最後はハナ差で勝利。同年の年度代表馬となった。
ちなみに馬券圏内に食い込んだ馬の歴代最速上がりは、同年の3着馬ルーラーシップの32.7。2番手はジェンティルドンナで3番手は同年オルフェーヴルの32.9と、この年の上位3頭が独占していることになる。
逆に最も上がりがかかった3着以内馬は、03年の2着馬ザッツザプレンティが出した38.0。この年は勝ち馬と2着馬の最大着差記録1.5秒(9馬身差)も併せて持っている。勝ち馬は6歳のタップダンスシチー。宝塚記念3着から放牧に出て、秋に京都大賞典1着を経て勝利した。また、1番人気シンボリクリスエスは3着、2番人気ネオユニヴァースは4着に敗れている。いずれも上がりは37秒台と、重馬場で勝ちタイム2:28.7だったことも含め、壮絶なレースだったことを物語っている。
今年はどのようなドラマが繰り広げられるのか。騎手や天候、馬場状態にも注目しつつ、世紀の一戦を楽しみたい。
ライタープロフィール
緒方きしん
競馬ライター。1990年生まれ、札幌育ち。家族の影響で、物心つく前から毎週末の競馬を楽しみに過ごす日々を送る。2016年に新しい競馬のWEBメディア「ウマフリ」を設立し、馬券だけではない競馬の楽しみ方をサイトで提案している。好きな馬はレオダーバン、スペシャルウィーク、エアグルーヴ、ダイワスカーレット。
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