【マイルCS】京都開催なら「安田記念大敗馬」にお宝! データで導く穴馬候補3頭

鈴木ユウヤ

2023年マイルチャンピオンシップの穴馬像,ⒸSPAIA

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データで見る「穴候補3頭」

今週日曜の京都メインはマイルチャンピオンシップ(以下、マイルCS)。下半期のマイル王を決めるGⅠ競走だ。昨年の優勝馬セリフォス、近走負けて強しの競馬が続くシュネルマイスターの2頭が実力、人気ともに中心といえそうだが、3番手以下は混戦模様。今回も様々な切り口のデータを駆使し、3頭の穴候補を導き出した。


「毎日王冠を上位人気でチョイ負け」が理想ローテ ジャスティンカフェ

まず1頭目はジャスティンカフェ。非凡な末脚を持ちながら後方一辺倒の歯がゆいレースが続いていた大器も、今春のエプソムCで待望の重賞初制覇。秋始動戦の毎日王冠を3番人気7着としてここへ臨む。

毎日王冠組の条件別成績(過去10年),ⒸSPAIA


毎日王冠は(1)本番まで中5週のほどよい間隔がとれる、(2)実績馬が使いやすい斤量設定の2点から、マイルCSを目指す上で重宝されるステップだ。「毎日王冠組ならなんでもいい」というわけではないが、毎日王冠でも4番人気以内に推された有力馬に限れば、過去10年で【2-2-2-9】複勝率40.0%、単回収率100%、複回収率136%と上々の成績を残している。

ところが、前哨戦で「走りすぎる」のも考え物のようだ。前記のうち、毎日王冠1着馬は【0-1-0-4】と低調で、同2着以下なら【2-1-2-5】複勝率50.0%、単回収率151%、複回収率191%。負けてきた方がいい。勝ってきた馬は、本番前に全力投球したせいでお釣りがない、または1800mの方が適性的によかった、というケースが往々にして見られるのだ。

ここにドンピシャでハマるのがジャスティンカフェ。前走は横山典弘騎手らしい後方待機から直線大外を伸ばす競馬で、7着とはいえ上がり33.2秒の末脚は使えていた。昨年のこのレースでは、突き抜けるかという手応えから直線詰まってしまい、痛恨の6着敗退。その雪辱を果たす時がやってきた。


京都開催なら「安田記念大敗馬」にお宝潜む ソウルラッシュ

2頭目はやや人気寄りになってしまうがソウルラッシュをチョイス。マイル転向後4連勝で路線を駆け上がったが、GⅠではもう一歩のレースが続いている。ただ、今回はその壁をぶち破る可能性がある。

阪神で代替されたここ3年のマイルCSは安田記念と同質のレースで、グランアレグリア(20、21年)やインディチャンプ(20年)、シュネルマイスター(21年)が春秋ともに好走した。しかし本来は違う。安田記念と「京都開催の」マイルCSは着順があまりリンクしない。これをデータで示そう。

同年安田記念での着順別成績(2010~2019年),ⒸSPAIA


京都での直近10回(10~19年)を対象にすると、同年安田記念の1~3着馬は【2-1-1-13】複勝率23.5%、単回収率71%、複回収率42%に対し、同4着以下馬は【3-7-3-46】複勝率22.0%、単回収率137%、複回収率73%。安田記念で好走しようが大敗しようが複勝率にほぼ差がない。であれば当然、大敗によって評価を下げた馬に妙味が生じる。

誤解なきように書いておくと、安田記念を単純な実力不足で惨敗した馬はやっぱり厳しい。狙い目は「安田記念1~9番人気に推されるも4着以下の馬」で、その成績は【3-7-2-22】複勝率35.3%、単回収率238%、複回収率117%。一定の実力を持ちながら、東京コースが適性的にやや合わなかったようなタイプを拾っていこう。

この点から浮上するのが安田記念6番人気9着ソウルラッシュ。自身の戦績を見ると、マイル戦ではレース上がり34.5秒以下なら【0-1-1-3】、34.6秒以上なら【5-0-0-0】となっている。上がりのかかる競馬が得意で、良馬場の東京だと苦しい。阪神マイルより上がりがかかりやすい京都に替わるのは大歓迎だ。昨年足りなかったもうワンパンチを、コース替わりで補いたい。


「マイラー」より2000m実績馬を買うべし!? ソーヴァリアント

3頭目はソーヴァリアント。骨折や心房細動で一時期は順調さを欠いたが、GⅠ級の素質は以前から見せていた通り。札幌記念3着ののち、初のマイル参戦となった前走富士Sも3着と、ここに来て復調気配だ。

「マイルチャンピオン」の名を冠しながら、意外に中距離馬が結果を出すのもこのレースの特徴。過去10年の好走馬を見てもトーセンラー、イスラボニータ、ペルシアンナイト、アルアイン、ダノンザキッドなど、2000m以上の重賞勝ち馬やGⅠ好走馬が多く含まれている。

同年2000m以上実績に関するデータ(過去10年),ⒸSPAIA


これは単なる印象論でなく、同年に2000m以上の国内GⅠかGⅡで3着以内に入っていた馬は【3-3-4-8】と実際に好成績(過去10年)。特に4、5歳馬なら【2-2-3-1】複勝率87.5%、複回収率182%と非常に高い確率で結果を出している。

大阪杯3着ダノンザキッドもいいが、未知の魅力にかける意味でソーヴァリアントを選んだ。鞍上の想定は池添謙一騎手。マイルCSは03年のデュランダルに始まり通算4勝。このレースの最多勝ジョッキーだ。

<ライタープロフィール>
鈴木ユウヤ
東京大学卒業後、編集者を経てライターとして独立。中央競馬と南関東競馬をとことん楽しむために日夜研究し、X(Twitter)やブログで発信している。好きな馬はショウナンマイティとヒガシウィルウィン。

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