【マイルCS】ソウルラッシュ、エルトンバローズは消し ハイブリッド式消去法

藤川祐輔

京都開催直近10回のマイルチャンピオンシップ『前走GⅢ』×『前走8着以下』の成績,ⒸSPAIA

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5つのデータから絞れた馬は?

先週のエリザベス女王杯では凡走データに該当しなかったルージュエヴァイユ、ハーパーの2頭が好走。特注としたサリエラは末脚届かず6着に敗れたが、3頭推奨で2頭が馬券に絡み、満足のいく結果であった。

今週は11月19日に京都競馬場で行われるマイルCS(GⅠ)を予想する。登録馬16頭を対象に、阪神開催の2020~22年を除いた京都開催直近10年(2010~19年)のデータから複勝率10%未満の「凡走データ」を5つピックアップし、条件に当てはまった馬を消去していく。


『前走1800m』×『前走4番人気以下』 ★5.6%★

前走距離別の成績を見ると、1800m戦からの転戦組が【2-0-3-30】(複勝率14.3%)となっている。「スーパーGⅡ」とも評される毎日王冠組も多く含まれているが、意外にも複勝率はやや低調だ。

なかでも前走4番人気以下だった馬に限ると、【0-0-1-17】(同5.6%)と大きく落ち込む。このデータに該当して好走したのはペルシアンナイト(19年3着)のみだが、同馬は当レースにて17年1着、18年2着と2年連続で連対していた。

今年は3頭がこのデータに該当するが、この中にはペルシアンナイトのようにマイル路線で頂点に立った経験のある馬はいない。データを覆すほどの実績はないことから、3頭とも消去リスト行きとする。

【今年の該当馬】
・エエヤン
・エルトンバローズ
・ビーアストニッシド


『前走GⅢ』×『前走8着以下』 ★0.0%★

前走でGⅢを使っていた馬は【3-4-1-51】(複勝率13.6%)となっており、多くの連対馬を出している一方で、全体の好走率は決して高くない。この組のうち、前走で8着以下に敗れていた馬は【0-0-0-18】(同0.0%)と1頭も好走していなかった。

今年は3頭がGⅢからの転戦となるが、セルバーグ、ダノンスコーピオンの2頭がこのデータに該当している。相対的にメンバーレベルの落ちるGⅢで惨敗しているようでは、トップクラスのマイラーが集う当レースでの好走は難しいとみて軽視する。

【今年の該当馬】
・セルバーグ
・ダノンスコーピオン


『前走富士S』×『関東馬』 ★5.9%★

前走が富士Sだった馬は京都開催の過去10年でのべ51頭おり、当レースにおける主要な前哨戦として機能している。ここからの転戦組は【3-4-1-43】(複勝率15.7%)と連対馬を多く輩出している。

この組を取捨選択する材料として注目したいのが、東西所属別の成績だ。関西馬は【3-3-1-27】(同20.6%)と良好であるのに対して、関東馬は【0-1-0-16】(同5.9%)とほとんどが凡走している。中3週とやや詰まったローテーションで、長距離輸送をクリアしてGⅠで力を発揮することは容易ではないようだ。

今年は富士Sの上位5頭が全て当レースへ駒を進めてきたが、このうち3頭が関東馬だ。データに従って3頭とも消去リストに加える。

【今年の該当馬】
・イルーシヴパンサー
・ソーヴァリアント
・レッドモンレーヴ


『キャリア16戦以上』×『JRA・GⅠで3着以内の経験なし』 ★0.0%★

当レースはキャリアを重ねるほど成績が悪化する傾向にあり、特にキャリア16戦以上の馬は【4-4-3-89】(複勝率11.0%)と低調だ。この組からは11頭の好走馬が出ているが、これらは全て国内GⅠで3着以内の実績がある馬たちだった。

国内GⅠで3着以内の実績を有していた馬は【4-4-3-45】(同19.6%)と上々。反対に、この実績がなかった馬は【0-0-0-44】(同0.0%)と全て馬券圏外となっていた。16年には1番人気に支持されたサトノアラジンがこのデータに該当し、5着に敗れている。

GⅠ実績がないままキャリアを重ねた馬に対して、当レースでさらなる上積みは期待できない。1番人気馬の凡走例もあり、44頭全てが馬券圏外という極端なデータだけに、該当する3頭に印は回せない。

【今年の該当馬】
・ジャスティンカフェ
・ソウルラッシュ
・バスラットレオン


『ダイワメジャー産駒』×『前走3着以下』 ★0.0%★

最後は血統面に関するデータから絞り込みを行なっていく。マイル路線で多くの活躍馬が出ているダイワメジャーの産駒だが、実は当レースでは【0-1-0-10】(複勝率9.1%)と振るっていない。ダイワメジャー自身は06、07年に連覇を達成しているが、産駒は意外にも苦戦している点は頭に入れておきたい。

唯一好走していたのは13年2着のダイワマッジョーレだが、当馬は前走のスワンSでも2着に好走し好調を維持していた。前走で3着以下だった馬に限ると【0-0-0-9】(同0.0%)と全て凡走している。

当産駒は早熟の傾向が強く、3歳の秋を過ぎてからは能力のピークを過ぎているケースも少なくない。今回このデータに該当しているマテンロウオリオンは古馬になってから1度も馬券圏内に入っておらず、現状の戦績では早熟と判断せざるを得ない。巻き返しは期待できず、消去対象とする。

【今年の該当馬】
・マテンロウオリオン

全ての条件を終えて、不安データに該当しなかったのはシュネルマイスター、セリフォス、ダノンザキッド、ナミュールの4頭。上位人気想定の馬が多く残ったが、伏兵候補としてダノンザキッドに期待を寄せたい。

当レースでは2年連続で好走しており、マイル路線で上位の能力があることは証明済み。近2走では凡走しているが、それぞれ海外遠征、距離が長い宝塚記念と巻き返しの余地はある。この2戦で評価が落ちるようであれば、得意のマイルに戻る今回は絶好の狙い時だ。

昨年の当レースでは8番人気2着、今年の大阪杯では10番人気3着とGⅠで大駆けを繰り返しているだけに、今回も高配当の使者となることを期待する。

《ライタープロフィール》
藤川祐輔
98年生まれ、新進気鋭の若手ライター。競馬好きの父の影響を受け、幼いころから某有名血統予想家の本を読んで育った。以前は別媒体での執筆を行っていたが、より「予想」にフォーカスした記事を書きたいと考えSPAIA競馬への寄稿をスタート。いつの日か馬を買うのが夢。

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