【みやこS】無敗馬セラフィックコールに3つの不安点 データで導く「過信禁物の注目馬」
藤川祐輔
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暮れの大舞台へと繋がる一戦
11月5日に京都競馬場でみやこS(GⅢ)が行われる。来月に行われるチャンピオンズC、東京大賞典へと繋がる重要な一戦。特に今年は、暮れの大舞台を目指す新進気鋭のメンバーが多く集まった印象だ。
阪神開催だった昨年は11番人気の伏兵サンライズホープが勝利。それ以前も前評判の低い馬が馬券に絡むことが多く、人気馬に絶対の信頼は置きにくい。今回は京都開催だった過去9年(2010~17、19年)のデータを基に「過信禁物の注目馬」を導いていく(2010年新設、2018年はJBC競走が京都開催だったため休止)。
条件戦からの昇級馬は苦戦傾向
まず注目したいのが、前走クラス別成績だ。最も良いのは前走OP・Lを使っていた組で、【4-3-1-27】勝率11.4%、連対率20.0%、複勝率22.9%となっている。また、この組は回収率も単157%/複83%と優秀である点は押さえておきたい。
一方で苦戦傾向なのが前走で条件戦を使っていた馬。成績は【0-2-0-14】複勝率12.5%と振るっていない。この中に含まれるのは人気薄の馬ばかりではなく、15年には2番人気に支持されたモンドクラッセが7着に敗れている。当馬は条件戦を3連勝、特に1600万下(現3勝クラス)では2着に5馬身差をつける圧勝を果たしていたが、当レースでは重賞の壁に跳ね返される結果となった。
近年では降級制度が廃止されたことも影響し、特にレースが限られるダート路線においては3勝クラス、OP間に大きなレベル差が生じている。以前から同様の傾向が出ていた当レースでは尚更、昇級初戦の馬は疑ってかかるべきだろう。
馬体重が重いほど成績は悪化
次は馬体重に関するデータを取り上げる。前走時の馬体重別に成績を見ると、500kg未満の組が最も良好で、【5-8-4-55】勝率6.9%、連対率18.1%、複勝率23.6%となっている。500~519kgの組は【3-0-4-30】勝率8.1%、複勝率18.9%とやや落ち込み、520kg以上の組は【1-1-1-25】勝率3.6%、連対率7.1%、複勝率10.7%とさらに悪い。
パワーが要求されるダートでは馬格がある馬が優勢な印象だが、意外にも当レースでは馬体重が重い馬ほど苦戦する傾向だ。520kg以上の組では、14年に重賞2勝の実績から1番人気に支持されたクリノスターオーが5着に敗れたほか、直近の京都開催である19年にスマハマが2番人気9着と惨敗している。この組は回収率も単27%/複24%と低調なだけに、馬体重が過度に重い馬は軽視するのが無難だろう。
前走で後方からレースを進めた馬は不振
最後に紹介するのは脚質に関連するデータだ。前走の3角位置別成績では、1~9番手だった馬が【9-7-8-91】勝率7.8%、連対率13.9%、複勝率20.9%と馬券に絡んだ馬のほとんどがこの組に含まれていた。一方で前走3角10番手以下だった馬は【0-2-1-19】連対率9.1%、複勝率13.6%と低調だ。
19年には前走と同様に、当レースでも後方から進めたキングズガード、ウェスタールンドがそれぞれ2、3着に好走している。だが、この年は前半1000mの通過が59.0秒という相当なハイペースで、後方勢に展開が向いての結果であった。
この年を除けば前走3角10番手以下から好走したのは1頭のみで、概ね先行勢に有利な傾向があるといえる。京都ダート1800mはスタートから1コーナーまでの距離が短く、直線も平坦なため、逃げ、先行馬に有利なコース形態となっている。上記傾向、コースの特徴から、差し、追込脚質の馬は評価を下げたい。
データで導く「過信禁物の注目馬」
ここまでに紹介したデータをまとめると、当レースにおける不安要素は以下の通りである。
・前走条件戦からの昇級初戦
・前走馬体重520kg以上
・前走3角10番手以下
これらを踏まえて、今回はセラフィックコールを「過信禁物の注目馬」として挙げる。
デビュー以来無敗、4連勝中という新進気鋭の3歳馬で、初挑戦での重賞制覇に期待が寄せられる一頭だ。だが、紹介した3つの不安データ全てに該当している。
また、前走で後続に3馬身半差をつけて快勝しているが、このレースは上位進出を果たした馬の多くが後方からレースを進めていた。馬場や展開に恵まれた面は否めず、この結果をもって重賞級の力を示したとは言い難い。
今回は一気の相手強化となるだけに、重賞の壁に跳ね返される可能性は捨てきれない。上位人気必至の存在だけに、オッズ妙味の面からも馬券の中心に据えることは避けたい。
《ライタープロフィール》
藤川祐輔
98年生まれ、新進気鋭の若手ライター。競馬好きの父の影響を受け、幼いころから某有名血統予想家の本を読んで育った。以前は別媒体での執筆を行っていたが、より「予想」にフォーカスした記事を書きたいと考えSPAIA競馬への寄稿をスタート。いつの日か馬を買うのが夢。
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