【みやこS】上位クラス好走のウィリアムバローズ、ワールドタキオンらが優勢 4連勝中セラフィックコールはここが試金石
勝木淳
ⒸSPAIA
4歳中心だがベテランにも注意
チャンピオンズC、東京大賞典と進むダート中距離戦線は今週、JBCクラシックとみやこSの2レースを迎える。
GⅠ級が顔をそろえるJBCに対し、みやこSはそんな超A級への挑戦権をかけた争いになる。分厚い層を誇るダート路線に食い込むためには経験と賞金が必要。そのどちらもモノにできる貴重な機会にあたるみやこSは願ってもない舞台だ。満を持してトップ戦線に食い込んでいくのはどの馬か。冬に旬を迎えるダート路線にとって秋はその下準備のときだ。データは休止した2018年を除き、2020~22年阪神を含め、過去9回分を使用する。
地方交流を中心に進むトップ層がいないせいもあり、1番人気は【1-1-2-5】勝率11.1%、複勝率44.4%と頼りないものの、2番人気【3-1-0-5】勝率33.3%、複勝率44.4%と合わせればそれなりに評価できる。一方、7番人気【2-1-1-5】勝率22.2%、複勝率44.4%、9番人気【0-2-1-6】複勝率33.3%など伏兵の好走もある。それだけ実力伯仲の一戦になりやすい。
年齢別では4歳が【5-1-0-22】勝率17.9%、複勝率21.4%と一歩リード。スピードが優先されやすいJRAのダート重賞は基本的に若い組が優位で、その傾向はここも同じ。さらに4歳はまだまだ賞金と経験を積む時期であり、そのモチベーションが成績に反映されている。
ただし、5歳【2-3-4-38】勝率4.3%、複勝率19.1%、6歳【2-1-1-16】勝率10.0%、複勝率20.0%など経験豊富なベテラン勢が食い下がるのもダート路線の特徴であり、馬券的にも7歳以上【0-1-4-14】複勝率26.3%も含め、幅広く拾っておこう。
セラフィックコールの3歳は【0-3-0-15】複勝率16.7%。好走3頭はレパードS勝ちか古馬相手にオープン特別を戦った馬だった。
順調ならウィリアムバローズ、ハピ、ワールドタキオン
今年は上記セラフィックコールのほかに、4歳ハピや昇級初戦ホウオウルーレット、5歳ウィリアムバローズ、ワールドタキオンらが中心だろう。これら上位候補のほかに好走ゾーンに一致する馬がいないか。前走成績を参考にみていこう。
まず前走オープン・L【6-4-1-28】勝率15.4%、複勝率28.2%に注目しよう。JRAはダート重賞が少ない分、オープン特別が多く組まれており、重賞のステップとして自然と有力になってくる。
その距離別成績は、1800m【4-2-1-9】勝率25.0%、複勝率43.8%、1800m超【2-2-0-14】勝率11.1%、複勝率22.2%、1800m未満【0-0-0-5】なので、1800m以上だった馬がよく、特に同距離を走った馬を素直に評価しよう。これは京都施行6年間に限っても傾向は同じだ。
一致するのは同距離のウィリアムバローズ、ハピなど。前走オープン・L組の着順内訳は、3着以内【3-2-1-7】、4着【2-0-0-2】、5着【0-0-0-3】、6~9着【1-2-0-5】、10着以下【0-0-0-11】なので、ウィリアムバローズ、ハピは好走ゾーンに残る。
次に前走GⅢ【3-3-5-36】についてレース内訳をみると、ワールドタキオンなどのエルムSは【2-1-0-8】勝率18.2%、複勝率27.3%。その2、3着【2-1-0-0】、4着以下【0-0-0-8】なので、2着ワールドタキオンが候補に残る。
シリウスS【1-1-3-17】勝率4.5%、複勝率22.7%は5着以内【0-1-2-10】、6~9着【0-0-0-3】、10着以下【1-0-1-4】で好走例は極端に分かれる。8着サンライズホープなど好走ゾーンから外れる馬が多い。
最後にセラフィックコールの前走3勝クラス【0-1-0-11】複勝率8.3%はデータ自体がイマイチ。数自体が少ないダート重賞はメンバーが分散されにくく、どれも相手がそろう。昇級戦は基本、苦戦傾向にあり、最低でもオープン特別をワンクッション挟むのがベスト。それでもセラフィックコールが即好走できるようなら、そのスケールは相当なものと考えよう。
ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュース個人オーサーを務める。新刊『キタサンブラック伝説 王道を駆け抜けたみんなの愛馬』(星海社新書)に寄稿。
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