【京王杯2歳S】複勝率41.4%の前走GⅢ組が中心 小倉2歳S1着アスクワンタイムが有力
勝木淳
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例年ペースが遅く、逃げ先行優勢
東京の2歳重賞のうち、サウジアラビアRCと東京スポーツ杯2歳Sは1戦1勝で即重賞通用のケースが目立ち、素質馬たちが一気に羽ばたく瞬間を目にできる。対して京王杯2歳Sは2歳重賞としては珍しく、キャリアを積んだ前走重賞組が優勢だ。おそらく芝1400mと距離が短めに設定されていることが影響している。
2歳戦開幕当初から組まれる短距離戦は、レース数の割に秋以降、重賞がない。夏に重賞で活躍した馬のなかには、短距離を中心に経験を積みスペシャリストを目指すパターン、来春に向けてここから徐々にマイルへシフトするというパターンもある。スピードに特化した実績馬にとって、東京芝1400mは自分の強みを生かせるギリギリ、いわば境界線だったりもする。データは過去10年分を使用する。
まずは人気の傾向から。上位人気は1番人気【2-2-2-4】勝率20.0%、複勝率60.0%、2番人気【3-0-1-6】勝率30.0%、複勝率40.0%まで計算できる。3番人気以降は6番人気あたりまで横一線で、7番人気以下はひと息といった感じだ。上位6頭はどこからでも入れ、ちょっと広めの拮抗戦になりやすい。
東京芝1400mといえば春の京王杯SCと同じ舞台だが、古馬が戦う春は思わぬスローペースになり、逃げ、先行が優位だ。東京芝1400mはペース次第で傾向がガラリと変わり読みにくく、京王杯2歳Sも春と同様に、比較的落ち着いた流れになりやすい。東京の2歳戦は最後の直線を意識するため、前半は無理しないことが多いからだ。
そんな心理が影響するのか、逃げ【1-2-0-7】勝率10.0%、複勝率30.0%、先行【6-5-7-17】勝率17.1%、複勝率51.4%と先行勢が強い。差し馬は中団【3-2-3-46】勝率5.6%、複勝率14.8%までで、後方は【0-1-0-36】複勝率2.7%。好走は2018年2着アウィルアウェイしかない。この年は少頭数8頭立てで、同馬は4コーナー7番手から差してきた。後方といってもニュアンスに違いはある。
兄に続くか、アスクワンタイム
今年もオープン特別や重賞で活躍した馬がある程度そろい、スピード色の濃い組み合わせになりそうだ。とはいえ、ハイペースにならないのがこのレースの難しさであり、展開が結果を大きく左右する。やってみないと分からないものを事前に予想するのは難しく、その意味でもデータから好走ゾーンに入る馬を予め絞っておこう。
前走クラス別成績では、前走GⅢ【5-4-3-17】勝率17.2%、複勝率41.4%が目立つ。そのレース内訳は夏の芝1200m重賞がツートップで、小倉2歳S【3-1-2-5】勝率27.3%、複勝率54.5%、函館2歳S【2-2-1-4】勝率22.2%、複勝率55.6%。前走重賞組の勝ち馬はすべてこの2レースから出ている。今年も小倉2歳Sから1、2着アスクワンタイム、ミルテンベルク、函館2歳S1着ゼルトザームが出走予定だ。
小倉2歳S組の着順内訳は1着【1-1-1-2】、2着【1-0-0-2】なので、アスクワンタイムがやや優勢だ。同馬の全兄ファンタジストは同じ道をたどり、京王杯2歳Sで3連勝を決めた。アスクワンタイムが勝てば、血統ロマンがさく裂する。一方で、函館2歳Sの着順内訳は1着【0-2-0-4】、2着【2-0-0-0】、3着【0-0-1-0】と惜敗組の巻き返しが目立つ。ゼルトザームを評価する上で頭に入れておこう。
前走オープン・L【2-3-2-32】勝率5.1%、複勝率17.9%を距離別成績でみると、1400m未満【0-2-0-15】複勝率11.8%、1400m【1-1-1-12】勝率6.7%、複勝率20.0%なので、買うならカンナSを勝ったオーキッドロマンスよりダリア賞を勝ったコラソンビートだろう。
最後に前走新馬【3-1-1-16】勝率14.3%、複勝率23.8%も距離別成績を出すと、こちらも1400m【3-0-0-6】勝率、複勝率33.3%、1400m超【0-1-0-3】複勝率25.0%と基本は1400m以上を経験した馬がよく、できれば同距離を買いたい。
ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュース個人オーサーを務める。新刊『キタサンブラック伝説 王道を駆け抜けたみんなの愛馬』(星海社新書)に寄稿。
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