【ファンタジーS】前走マイル重賞は複勝率60% 馬体重データ満たすヒヒーン、勝利のいななきだ

SPAIA編集部

ファンタジーステークス、アイキャッチ,ⒸSPAIA

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4年ぶりの京都開催

2023年11月4日、土曜の京都メインは2歳牝馬重賞のファンタジーステークス(GⅢ・芝1400m)。ここ3年間は阪神代替されたこのレース、実に4年ぶりに京都へと帰ってくる。

デビュー2戦2勝のキャプテンネキ、ききょうS勝ち馬クイックバイオ、フェニックス賞勝ち馬シカゴスティングなど今年は2勝馬の登録が多く、例年以上にハイレベルな戦いが予想される。

ただ、直近の10年でここをステップに阪神JFを勝った馬はダノンファンタジーとレシステンシアの2頭だけ(連対もこの2頭だけ)。「暮れのGⅠへ向けた最有力ステップ」という立場はすっかり東のアルテミスSに明け渡した。近年は20年勝ち馬メイケイエール、21年2着ナムラクレア、同3着ママコチャといった、ゆくゆくはスプリント路線で活躍する馬たちの登竜門として、位置付けが変わりつつある。

そんなファンタジーSを制して短距離界に名乗りを上げるのはどの馬か。阪神開催を含めた過去10年のデータを基に展望する。


馬体重とローテーションがミソに

人気別成績,ⒸSPAIA


まずは人気別成績から。1番人気【3-3-2-2】勝率30.0%、複勝率80.0%は安定感あり。昨年こそアロマデローサが10着に敗れたが、その前は8年連続馬券圏内だった。

では堅いレースなのかと思いきや、2番人気【1-1-1-7】、3番人気【0-1-3-6】は頼りない数字。以下4番人気1勝、5番人気2勝、6番人気1勝。そして昨年は10番人気リバーラが逃げ切り、14年には14頭立て最低人気クールホタルビの一撃もあった。10番人気以下は単勝回収率440%、複勝回収率182%。1番人気から広く流してヒモ穴を引っかける、という発想が思い浮かぶ。

前走馬体重別成績,ⒸSPAIA


次は馬体重に着目。2歳牝馬の戦いだけあって小柄な馬の出走が極めて多く、500キロ以上の大型馬はたった4頭しか走っていない。そして原則に漏れず、大きい馬の方が小さい馬より好走率は高い。

ひとつの基準として「前走時馬体重460キロ」で区切ると、それを下回った組が【3-6-5-67】勝率3.7%、複勝率17.3%。460キロ以上なら【7-4-5-30】勝率15.2%、複勝率34.8%で、複勝率は2倍だ。2勝馬シカゴスティング、ドナベティは420~430キロ台の馬体がどうか。前走時480キロのクイックバイオ、同528キロのキャプテンネキを優先しよう。

出走間隔別成績,ⒸSPAIA


続いて前走からの出走間隔別に成績を見る。中3週以下での出走は【1-2-3-41】勝率2.1%、複勝率12.8%と明らかに悪い。2歳牝馬には休養がなければキツい、といった側面もあるだろうが、単に「期待の大きい馬ほど間隔を空けて計画的に使う」という時流が反映されたのかもしれない。

中4~8週は【5-4-2-35】勝率10.9%、複勝率23.9%、中9週以上なら【4-4-5-21】勝率11.8%、複勝率38.2%。前走から十分に間隔が空いている方が好ましい。りんどう賞から中3週のキャプテンネキはこの点が引っかかる。中6週クイックバイオは及第点。理想はテラメリタ、ヒヒーンなど、夏場以来の実戦というローテーションだ。

前走クラス別成績,ⒸSPAIA


前走クラス別成績も紹介するが、正直、ここは強い決め手にはならない。前走新馬【3-2-1-25】勝率9.7%、複勝率19.4%、未勝利【3-0-4-15】勝率13.6%、複勝率31.8%、重賞【3-4-2-15】勝率12.5%、複勝率37.5%で各3勝ずつとバラける。逆に、前走がOP・リステッドだった馬は【0-1-3-23】複勝率14.8%とあまり振るわないので注意だ。

複勝率のやや高い未勝利組、重賞組それぞれの好走パターンを探る。

前走未勝利組の3勝はいずれもキャリア2戦馬。つまり、新馬戦で敗れたが次走でキッチリ勝ち上がり、3戦目で重賞に矛先を向けてきた馬がいい。初勝利に3戦も4戦も要するようでは重賞に混じると能力的に見劣る可能性が高いし、使い詰めになって状態的にも不利だ。と同時に、「前走新馬か未勝利を逃げ切った馬」は【0-0-0-9】というデータもある。イツモニコニコよりはバロンを残したい。

前走重賞組なら最優先は小倉2歳Sの連対馬【2-1-0-3】だが、今年は牡馬ワンツーだったため当然不在。であれば前走マイル重賞【0-2-1-2】複勝率60.0%のデータから、新潟2歳S8着のヒヒーンが面白い。


好データ全て満たすヒヒーン

「1番人気からのヒモ荒れ注意」「大型馬優勢」「中3週以下は苦戦」「前走マイル重賞組が好成績」などの要点を踏まえ、ここからは具体的に数頭ピックアップしていこう。

まずはヒヒーンから。前走は新潟2歳Sに466キロで出走し、そこからの中9週。馬体重の基準をクリアし、間隔をとった使われ方もデータに合致する。6月阪神マイルでの新馬戦はスローペースの好位から運ぶと、馬なりで先頭に立ってゴール前まで力強く伸びる快勝だった。関西圏、右回りに戻って反撃ムードが漂う。

次点で未勝利組の好走パターンに合うバロン。前走時466キロ、中11週という点でもデータ的に強い存在だ。ただ、レース内容はハイペースの中団インで溜め、4角も内から馬群を捌いた鞍上の好プレーに助けられた印象もある。重賞の相手で通用するかはまだ半信半疑だ。

3戦2勝のクイックバイオも馬体重と間隔はクリア。ただ、前記したとおりOPから来る馬は好走率が低く、特に前走OP勝ちの馬【0-0-1-9】がマズいデータ。当たり前だがOP勝ちの実績で上位人気に推されるパターンなので、ちょっと手が出ない。

この時期までのマイル以下のOP特別は、少頭数でレベル的にいまひとつのレースになりやすく、そこでの勝利は額面ほど価値がない可能性もある。これはシカゴスティングにも当てはまる。フェニックス賞は自分以外が中央未勝利馬と地方馬という構成だった。

ほか、中3週だけが減点材料のキャプテンネキ、間隔を十分にとって反撃を狙うテラメリタあたりがデータからは浮上する。ただ冒頭に述べた通り、2桁人気の伏兵もしばしば飛んでくるレース。ヒヒーンを中心に据えつつ、相手は広く構えたい。

ファンタジーSのデータ,ⒸSPAIA


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