【フィリーズレビュー】カギを握るのは前走1勝クラス 馬券妙味はポリーフォリア、テンノメッセージ
勝木淳
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今年は阪神JF掲示板内の馬が不在
桜花賞の起点は阪神JFであり、レース内容的にも間違いなく昨年のそれが中心になる。しかし、チューリップ賞に前走阪神JF上位馬が出走せず、同じくここもふた桁着順馬ばかり。阪神JFの1、2着馬は桜花賞直行、3、5着馬はクイーンC2、15着で、4着馬は休養中といった状況だ。昨年は阪神JF5着ナムラクレアが2着だったように、上位着順はひとつの目安になる。トライアル屈指の波乱レースは昨年ほど堅く収まらないのではないか。データは過去10年分を使用する。
1番人気は【1-3-0-6】勝率10.0%、複勝率40.0%。昨年ナムラクレアが5年ぶりに馬券圏内に入ったほど苦戦。一方で2番人気が【3-3-2-2】勝率30.0%、複勝率80.0%、3番人気【2-0-0-8】勝率、複勝率20.0%なので、上位人気総崩れは少ない。それでも8番人気【3-0-0-7】勝率、複勝率30.0%、10番人気以下【1-1-3-78】勝率1.2%、複勝率6.0%など人気薄の激走も目立つので、馬券検討は手広くいこう。
キャリア別成績では新馬勝ちのキャリア1戦は【0-0-0-6】で好走なし。桜花賞トライアルも同日アネモネSで最後と佳境に差しかかるタイミングになると、経験値が重要になる。6戦【1-3-3-21】勝率3.1%、複勝率25.0%までは好走する可能性が高く、キャリアの浅い2、3戦もいいが、それだけを根拠に買うのは危険だ。
前走1勝クラス組の取捨がカギ
ではここからはキャリア2戦以上の戦歴を細かく調べ、好走ゾーンに入る馬たちを探ってみよう。
まず前走クラス別成績。前走GⅠは【2-5-3-17】勝率7.4%、複勝率37.0%で、このうち阪神JFが【1-5-3-17】勝率3.8%、複勝率34.6%。その着順内訳は4、5着【0-4-1-0】、6~9着【0-0-2-3】で10着以下は【1-1-0-14】。9着ミスヨコハマ、10着ブトンドール以下から好走馬が出る可能性は低いながら残されている。
昨年の阪神JFは序盤600m33.7、前後半800m45.2-47.9、最後600m36.1の超ハイペースだった。先行して13着だったイティネラートル、17着ムーンプローブ、18着リバーラは見直す余地はある。リバーラは同舞台ファンタジーS勝ち、イティネラートルも2勝目のりんどう賞が同舞台だった。
ほかではシングザットソングのエルフィンSは【1-0-0-9】。勝った20年エーポスはエルフィンS4着から巻き返したので、3着シングザットソングも悪くない。
こうなるとカギを握るのは前走1勝クラス【5-3-6-51】勝率7.7%、複勝率21.5%だ。その距離別成績は1400m未満【0-0-1-17】複勝率5.6%、1400m【3-2-4-29】勝率7.9%、複勝率23.7%、1400m超【2-1-1-5】勝率22.2%、複勝率44.4%で、1400m以上の経験が必要。ベストは距離短縮なので、菜の花賞を勝ったトラベログ。ついで前走1400mだったポリーフォリア、テンノメッセージなどが候補に残る。
トラベログの菜の花賞は雨の影響を受けた馬場状態で行われ、序盤600m36.2、前後半800m48.5-47.5、最後600m35.4。これを逃げ切ったトラベログはマイペースが勝因であり、過信はできないか。個人的には下河辺牧場産のグレーターロンドン産駒なので、期待はしたい。
記録ならポリーフォリアの前走平場戦だろう。東京芝1400mで前後半600m34.8-34.5のイーブンペースを2番手から抜け出し、2着に1馬身1/4差。前半はセンスを感じさせる追走から残り200mで迫ってきた2着ダルタニアンを突き放した。
さらに前走1勝クラスの前走着順をみると、1着【3-3-5-26】勝率8.1%、複勝率29.7%はもちろんいいが、2~5着も【2-0-1-10】とチャンスはある。さすがに6着以下は【0-0-0-15】なので、掲示板以内を残したほうがよさそうだ。万両賞3着テンノメッセージは馬券妙味も十分ある。
ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュース個人オーサーを務める。新刊『テイエムオペラオー伝説 世紀末覇王とライバルたち』『競馬 伝説の名勝負 GⅠベストレース』(星海社新書)に寄稿。
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