【きさらぎ賞】フリームファクシ、勝っていざクラシックへ 牝馬レミージュも見どころアリ
勝木淳
ⒸSPAIA
主力はキャリア2、3戦
新年から続く1回中京最終日は昨年と同じくきさらぎ賞。スペシャルウィーク、ネオユニヴァース、サトノダイヤモンドと勝ち馬にクラシックホースが並ぶ登竜門的位置づけにある。しかし、同じような立ち位置の共同通信杯が近年名を上げているのに対し、きさらぎ賞は1週違いでクラシック初戦皐月賞までほどよいレース間隔にもかかわらず、存在感が薄まりつつある。不思議だ。
とはいえ、クラシックに向けた貴重な賞金加算の舞台であることには変わりなく、ここから余裕をもって本番に挑める以上、大物出現の可能性は失われたわけではない。今年も前2年と同じく中京芝2000mが舞台だが、ここではローテーションを中心に過去10年分のデータを検証する。
中京に舞台を移した2年は11頭立てと出走馬が10頭を超えたが、基本的には少頭数になることが多く、大きな波乱は少ない。その割に1番人気は【2-2-2-4】勝率20.0%、複勝率60.0%と勝ちきれていない。だが一方で上位人気は2番人気【2-3-2-3】勝率20.0%、複勝率70.0%、3番人気【2-1-2-5】勝率20.0%、複勝率50.0%と堅調だ。横の比較が難しいこの時期の3歳戦らしく、買う側の評価がずれている可能性が高い。まずは3番人気以内を等しく評価するところから出発したい。穴は6番人気【2-1-1-6】勝率20.0%、複勝率40.0%。
キャリア別成績では、キャリア1戦(前走新馬)は【1-1-0-13】勝率6.7%、複勝率13.3%とイマイチで、中京の2年間でも【0-0-0-3】。2戦【4-3-1-12】勝率20.0%、複勝率40.0%、3戦【3-4-5-10】勝率13.6%、複勝率54.5%あたりが主力を担う。
前走1勝クラスはレース内容にも注目
ディープインパクト最終世代のオープンファイア、ディアドラの半弟フリームファクシなど好素材はキャリアデータに合致する。では好走ゾーンはどこにあるのか。ここからはキャリア2戦以上のデータを詳しくみていく。
キャリア2戦以上の前走クラス別成績は格上の前走GⅠ【2-1-3-7】勝率15.4%、複勝率46.2%、前走GⅡ【0-1-0-1】複勝率50.0%、前走GⅢ【3-0-1-7】勝率27.3%、複勝率36.4%などが目立つが、今年は該当馬なし。
次にオープンファイアの前走オープン・L【1-0-0-3】だが、こちらも好走はオープン特別時代の京都2歳Sを勝ったトーセンスターダムしかおらず、2着以下は【0-0-0-3】。前走アイビーS3着オープンファイアにはよくないデータだが、非常にサンプル数が少ないので、判断は下せない。
そのアイビーSは最初の600m35.5、前半1000m通過1.00.3でチャンスザローゼスが逃げ、最後の600m11.4-11.5-11.7、34.6でまとめて押し切った。オープンファイアは後方2番手追走。残り600m付近から鞍上が促し、上がり33.3の決め手を発揮するも3着までだった。最後はディープインパクト産駒らしい瞬発力を見せたが、仕掛けてからの反応の遅さは気になった。現状ではスケールは感じつつも、取りこぼしそうな印象もある。
次にこのレースの肝になる前走1勝クラス【3-6-4-19】勝率9.4%、複勝率40.6%について。コース別成績では阪神芝2000mが【1-2-0-1】勝率25.0%、複勝率75.0%と好成績。牝馬のレミージュが該当する。なおエリカ賞は【0-2-0-1】複勝率66.7%。
レミージュが逃げ切ったエリカ賞は最初の600m36.6、前半1000m通過1.01.8のスローペースで最後の600m35.6とやや平凡。しかしラップを確認すると、後半1000m11.5-11.8-11.5-12.0-12.1でフォトンブルーが3コーナー手前で動いたため、早めにペースをあげ、1000mスパートをかけていたことがわかる。粘り強さには見どころがあった。牝馬の優勝は15年ルージュバック以来ないが、好走データを味方にどこまでやれるか。
フリームファクシの中京芝2000mは【0-0-0-1】で評価保留。その前走は前後半1000m1.00.5-59.7と比較的バランスのとれた力勝負だった。序盤は馬が行きたがり、抑えるのに苦労していたが、ペースが上昇しはじめた後半はスムーズに流れに乗り、最後の直線を楽な手応えで迎え、追い出すと重心をやや沈める走りでスパートした。非常にパワフルな走りだったディアドラの半弟らしく、中京の荒れた馬場も苦にしない。
最後に前走1勝クラスでの位置取り別成績を。逃げ【0-1-1-2】複勝率50.0%、先行【0-2-2-8】複勝率33.3%もいいが、単勝狙いなら中団【2-2-1-5】勝率20.0%、複勝率50.0%、後方【1-1-0-4】勝率16.7%、複勝率33.3%の差してきた組がいい。やはりアタマはフリームファクシになる。
ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュース個人オーサーを務める。新刊『テイエムオペラオー伝説 世紀末覇王とライバルたち』『競馬 伝説の名勝負 GⅠベストレース』(星海社新書)に寄稿。
《関連記事》
・3連単の最高額は1460万40円 2022年中央競馬の高額配当ランキング
・143勝の川田将雅騎手が初のリーディング獲得 今村聖奈騎手は1年目を51勝で終える【2022年騎手リーディング】
・2022年下半期のGⅠデータまとめ 「3歳馬が古馬撃破」「外国人ジョッキーが躍動」
おすすめ記事