【有馬記念】「3歳」「前走1番人気」など好データ イクイノックスで大団円

門田光生

有馬記念の前走人気別成績,ⒸSPAIA

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年末の大一番

2022年12月25日に中山競馬場で行われる、第67回有馬記念。このあとにホープフルSが控えているとはいえ、年末の大一番といえばこのレースをおいてほかはなし。クラシックが外国馬に開放されたとき、また菊花賞の時期が前倒しになった時もいろいろな意見は出たが、気がつくと何も聞こえなくなった。しかし、この有馬記念とホープフルSの施行時期だけは、いまだに反対意見が聞こえてくる。“有馬記念が最後”という日程を知る人がいなくなるまで、延々と言われ続けそうである。

さて、今年はファン投票1~3位を含め、トップ10から6頭が登録。例年以上に豪華な顔ぶれとなりそうだ。何としても当てたい年末の大一番を、今回も2007年から過去15回の成績を基にして、データ検証していきたい。

有馬記念ファン投票1位成績,ⒸSPAIA


☆ファン投票1位の結果
まずはファン投票1位に選出された馬の成績を調べてみる。1着4回、2着3回、3着1回、着外4回、そして不出走3回。出走した馬の勝率は3割3分、連対率は5割8分もある。すでにこの時点で、今年のファン投票1位であるタイトルホルダーが一歩も二歩もリードしている気がするが……。

ちなみに、今年タイトルホルダーが予定通り出走してくれば、ファン投票1位の馬は10年連続での出走となる。

有馬記念所属別成績,ⒸSPAIA

有馬記念性別成績,ⒸSPAIA

有馬記念年齢別成績,ⒸSPAIA


☆所属、性別、年齢
美浦所属4勝(5連対)、栗東所属11勝(25連対)。勝率はほぼ同じだが、連対率では栗東勢が上回っている。ただ、ここ5年の比較だた、美浦2勝、栗東3勝と拮抗しており、勝率、連対率では美浦勢が上となっている。

性別では、牡馬・セン馬が11勝(21連対)、牝馬が4勝(9連対)。勝率、連対率は牝馬の方が高く、少数精鋭の傾向。これは近5年でも同様である。その牝馬だが、馬券に絡んだのべ10頭すべてがGⅠで連対経験があった。逆にいえば、GⅠで連に絡んでいない馬は無条件で消しということになる。

年齢別では、3歳馬が勝率、連対率でほかの世代を大きくリード。続くのは4歳馬で、11連対はトップの数字。不振なのは6歳以上で、連対したのは2008年の7歳馬アドマイヤモナーク(2着)だけ。近5年で比較しても、大きな変化はなかった。


有馬記念前走クラス別成績,ⒸSPAIA

有馬記念前走レース別成績,ⒸSPAIA

☆前走クラスと主な前走
馬券に絡んだ45頭中44頭が前走GⅠ、GⅡ、海外のどれかに当てはまる。例外は2010年の3着馬トゥザグローリー(GⅢ・中日新聞杯)。

最も勝ち馬を出しているステップレースは天皇賞(秋)の5勝(7連対)。菊花賞が4勝(5連対)で差なく続く。ジャパンカップは3勝だが、2着馬を5頭、3着馬は7頭出しており、馬券に絡んだ頭数なら最多。もっとも、出走頭数もほかのレースに比べると抜けて多い。

近5年でも天皇賞(秋)が最も相性のいいステップレースとなっているが、ジャパンカップは26頭が出走して、連対したのは2017年のキタサンブラック(1着)だけ。これは少々どころか、かなり物足りない数字といえる。ジャパンカップではなく香港を選ぶ有力馬や、ジャパンカップで年内終了という選択が増えてきたことも原因ではないかと思われる。

有馬記念前走人気別成績,ⒸSPAIA


☆前走人気
前走で1番人気、または2番人気に支持されていた馬(※前走海外除く)の連対率が20%を超えており、ほかの人気に比べて優秀な数字となっている

有馬記念その他データ,ⒸSPAIA


☆その他
そのほかで気になったデータを挙げてみる。まず前走着順だが、勝ち馬15頭のうち、13頭が前走で4着以内だった。例外は2007年マツリダゴッホ(天皇賞(秋)15着)と、2009年ドリームジャーニー(天皇賞(秋)6着)。天皇賞(秋)以外で大敗している馬は、頭から狙いづらいことになる。また、前走1秒以上の差で負けていた馬の1着も、2007年のマツリダゴッホだけ。大敗後の巻き返しは難しくなっているようだ。

「まつり」の遺伝子を受け継ぐ3歳馬

有馬記念のデータをまとめてみよう。まず好走率が上がるのはA「ファン投票1位」B「GⅠで連対経験のある牝馬」C「3歳馬」D「前走1、2番人気」

勝率、好走率が下がってしまうのはE「6歳以上」F「前走がジャパンカップ、もしくは天皇賞(秋)以外で5着以下」G「前走が1秒以上の差で負け」。連対がないのはH「GⅠで連対経験がない牝馬」。

まずは連対率が5割を超える、ファン投票1位のタイトルホルダーから見ていこう。プラスデータは、そのA「ファン投票1位」のみ(前走人気は海外レースのため対象外)だが、そのAのデータが今回最も強いもの。一方、マイナスデータはF「前走がジャパンカップ、もしくは天皇賞(秋)以外で5着以下」G「前走が1秒以上の差で負け」に該当。凱旋門賞経由で馬券に絡んだ4頭の、凱旋門賞での成績は2、14、7、16着。何秒負けていようが、どれだけ着順が悪かろうが関係ないようだが、それでも、ここを経て勝った唯一の馬であるオルフェーヴル(2013年)は凱旋門賞2着と好走していた。連対する可能性は高いが、勝つとなると微妙ということで対抗評価に。同じく凱旋門賞に出走したディープボンドも同様だが、こちらはファン投票1位のプラスデータがない分、押さえまで。

最も好走率が高い3歳世代からはイクイノックス、ジャスティンパレス、そしてボルドグフーシュがスタンバイ。イクイノックス以外は菊花賞からの参戦で、その菊花賞は天皇賞(秋)に次いで相性のいいステップレース。ただ、この組は7頭馬券に絡んでいるが、いずれも菊花賞馬か、菊花賞で着外だった馬。ジャスティンパレスは2着、ボルドグフーシュは3着だから、データからは厳しくなる。

一方、イクイノックスが走った天皇賞(秋)はどうか。有馬記念に挑んだ3歳馬で、菊花賞以外を経て勝ったのは、2010年のヴィクトワールピサと、2021年のエフフォーリア。このうち、エフフォーリアは天皇賞(秋)を勝っての参戦。その前が日本ダービー2着だから、今回のイクイノックスと全く同じパターン。歴史は繰り返すということで、今年はイクイノックスに期待しよう。また、イクイノックスはプラスデータを2つ(BC)持つ、唯一の馬でもある。

牡馬より出走頭数が少ないながら、3年連続で馬券に絡んでいる牝馬も無視できない。B「GⅠで連対経験のある牝馬」に該当するのは、アカイイトとジェラルディーナ。アカイイトは昨年も同様のパターンで挑んで着外に沈んだので、新鮮味のあるジェラルディーナの方を上にとりたい。

◎イクイノックス
◯タイトルホルダー
▲ジェラルディーナ
△アカイイト
×ディープボンド

《ライタープロフィール》
門田 光生(かどた みつお)
競馬専門紙「競馬ニホン」で調教班として20年以上在籍。本社予想などを担当し、編集部チーフも兼任。現在、サンケイスポーツにて園田・姫路競馬を中心に予想・記事を執筆中。
学生時代、全く競馬をやらなかった友人が「有馬記念は、とりあえず参加せなあかんやろ」と言っていたことを思い出しました。ガチな予想はもちろん、データ、出目、さらには世相など、いろいろな角度から予想が出てくるのもまた、有馬記念の特徴でもあります。皆様に当たり馬券の幸運が訪れますように。今年1年、ありがとうございました。



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