【有馬記念】参考レース振り返り 天皇賞(秋)勝ちイクイノックスと好データの菊花賞組
三木俊幸
ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)
参考レースをまとめて振り返る
いよいよ今週末に迫った2022年のグランプリ・有馬記念。今年も豪華メンバーが集結した。前哨戦をそれぞれ振り返り、過去10年の傾向とともに分析していく。
天皇賞(秋)【データ:B レースレベル:S】
過去10年の成績【2-2-1-12】勝率11.8%、連対率23.5%、複勝率29.4%
2020年クロノジェネシス、2021年エフフォーリアと近2年連続で有馬記念優勝馬を送り出す。10年での数字だけをみるとまずまずという程度ではあるが、最も勢いがあるローテーションだ。
パンサラッサが1000mを57.4で通過する大逃げ。それでも動じることなく10番手からレースを進めたイクイノックスが上がり最速の32.7の末脚で直線豪快に差し切った。勝ちタイム1:57.5がマークされた。
イクイノックスがベストとするのは広いコースだと思うが、皐月賞2着時のように中団追走から早めに進出するレースも可能なタイプ。能力面を考えると、五分のスタートを切れば当然勝ち負けになるだけの存在だ。
13着ポタジェは、11番手追走からジリジリ伸びているものの0.9秒差。2500mへの距離延長も決して歓迎とは言えない。
菊花賞【データ:A レースレベル:B】
過去10年の成績【3-1-2-7】勝率23.1%、連対率30.8%、複勝率46.2%
今年は春のクラシック上位馬が出走せず、決してメンバーレベルが高かったとは言えないが、過去10年では最多の3勝をマークしており、最も相性が良い前哨戦である。
セイウンハーデスが1000m通過58.7と淀みのない流れに持ち込む。それを見る形の離れた2番手でレースを進めたアスクビクターモアが2周目4角で早め先頭へ。
あっさりと押し切るかと思われたところ、ゴール前ボルドグフーシュが強襲。大接戦となったがアスクビクターモアがハナ差制した。勝ちタイム3:02.4は過去10年で2番目に速く、阪神コースにおいてはレコードタイムでの決着だった。
有馬記念に出走するのは2着ボルドグフーシュと3着ジャスティンパレス。ボルドグフーシュは中団やや後方でレースを進め、4角大外を回すロスがありながらも追い込んできた内容は負けて強しと言える。スタミナ十分だが、脚質的にはどうしても注文がつくタイプだ。
ジャスティンパレスも中団追走から、勝負どころではロスなく立ち回って2着から半馬身差の3着。中山コースへの適性と脚質の自在性もあることから、上位好走があるのはこちらの方かもしれない。
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凱旋門賞【データ:B レースレベル:A】
過去10年の成績【1-1-2-3】勝率14.3%、連対率28.6%、複勝率57.1%
凱旋門賞からの帰国初戦で勝利を収めたのは2013年のオルフェーヴルのみ。なかなか勝ちきれないものの、複勝率57.1%が示すように3着内という意味では狙えるローテーションだ。
レース直前の豪雨で気の毒なほどの道悪となったが、レースは好位から運んだ英国のアルピニスタが直線半ばで馬なりのまま先頭へ。後続に半馬身差をつけて勝利。勝ちタイムは2:35.71を要した。
果敢に逃げたタイトルホルダーは残り300mで失速し、11着。ディープボンドは好位を追走するも、直線では苦しくなり18着に終わっている。
両馬ともに帰国早々に有馬記念を目標に立て直されており、ディープボンドに関しては昨年2着とすでにこのローテーションで結果を残している。本来の力が出せる状態にあれば好勝負をしてくれるはずだ。
ジャパンC【データ:C レースレベル:B】
過去10年の成績【2-2-5-47】勝率3.6%、連対率7.1%、複勝率16.1%
2勝をあげているものの、最後に有馬記念で3着内に好走したのは2018年シュヴァルグランの3着。率でも物足りない数字が残っている。
ユニコーンライオンが1000mを1:01.1というペースで逃げる中、ヴェラアズールは中団馬群を追走。直線に向いて各馬が一団となったがじっと我慢させ、残り100mで馬群を割ってくるというムーア騎手の手綱捌きが冴え渡り2:23.7で勝利した。
ヴェラアズールは5走前に中山芝2500mで3着という実績はあるが、どちらかと言えば広いコースがベター。勝ち負けには再度の完璧な騎乗が求められるだろう。
17着ボッケリーニはヴェラアズールから2.0秒差ついたが、直線で浜中騎手が立ち上がるほどの不利もあった。中山コース自体はAJCC3着、日経賞2着の実績があり、条件は前走よりも好転する。
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エリザベス女王杯【データ:C レースレベル:B】
過去10年の成績【0-2-0-18】勝率0.0%、連対率10.0%、複勝率10.0%
20頭が出走して2017年クイーンズリング、2020年サラキアの2着が最高とデータは振るわないが、今年は4頭が出走する。
朝から9R前後まで雨が降り、馬場状態は重。レースはローザノワールが1000mを1:00.3で逃げる展開。中団から運び、勝負どころでは終始大外を回すロスがありながらも、直線では豪快に突き抜けたジェラルディーナがGⅠ初制覇を飾った。
勝ちタイムは2:13.0、2着同着だったウインマリリンがその後香港ヴァーズを制していることからも、上位馬のレベルはそれなりに高かったと言える。
勝利したジェラルディーナは、タフな道悪も全く苦にせず。後続に1.3/4馬身差という着差以上の強さで、距離延長も問題なく、強力牡馬相手でも通用していい。
その一方で0.7秒差の4着アカイイトをはじめ、10着イズジョーノキセキ、16着ウインマイティーの3頭に関しては、今回の相手では厳しいレースを強いられそうだ。
ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)
ライタープロフィール
三木俊幸
編集者として競馬に携わった後、フリーランスとなる。現在はカメラマンとしてJRAや地方競馬など国内外の競馬場を飛び回りつつ、ライターとしても執筆している。
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