【有馬記念】夢のオールスター集結 有馬は「宝塚記念」と「天皇賞(秋)」の勝ち馬が強い!

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古馬中長距離GⅠの勝ち馬が勢揃い

来週日曜、中山競馬場でGⅠ・有馬記念が行われる。凱旋門賞帰り、現役最強の座を守り抜きたいタイトルホルダー、復活を期す昨年覇者エフフォーリア、名牝ジェンティルドンナの孝行娘ジェラルディーナ、エイシンフラッシュの至宝ヴェラアズールなどの古馬勢に、天皇賞(秋)を制した俊英イクイノックス、菊花賞2着ボルドグフーシュ、3着ジャスティンパレスの3歳勢が挑む豪華な一戦。近づく年末の大一番に胸が躍るばかりだ。

今年のグランプリはJRA古馬中長距離GⅠの勝ち馬が勢揃い。舞台となる中山芝2500mはコーナーを6回通過するトリッキーなコース形態とあって、どの馬の信頼度が高いのか頭を悩ませるところ。そこで今回は、「同年にどのGⅠを勝っていた馬が有馬記念で活躍しているのか」をテーマに、過去データを確認していく。

連対率100%データに合致するタイトルホルダー

同年の春GⅠ勝ち馬・有馬記念レース別成績,ⒸSPAIA


<有馬記念 直近1年のGⅠ勝ち実績別成績1>
大阪杯【4-1-0-12】勝率23.5%/連対率29.4%/複勝率29.4%
天皇賞(春)【5-5-1-11】勝率22.7%/連対率45.5%/複勝率50.0%
宝塚記念【8-3-3-9】勝率34.8%/連対率47.8%/複勝率60.9%
※1986年以降(大阪杯は前身レースを含む)

まずは春GⅠ・3レースについて確認する。

はじめにポタジェが制した大阪杯について。このレースはGⅠ昇格が2017年と歴史が浅いため、GⅡ時代のサンケイ大阪杯・産経大阪杯についても同等に扱う。同年大阪杯勝ち馬の複勝率は3割を下回り、単勝回収率59%・複勝回収率38%と水準以下。馬券に絡んだ5頭中4頭が1番人気、残る1頭も2番人気と中心を担う存在だった。近走成績とメンバーレベルからポタジェが条件を満たすのは難しそうで、見送りが妥当か。

天皇賞(春)勝ち馬はちょうど半数が好走。3着以内に入った11頭は全て有馬記念で4番人気以内に支持されており、この条件では【5-5-1-3】複勝率78.6%と信頼度が高い。タイトルホルダーは問題なくクリアできそうで、やはり重要視すべきだろう。ちなみに同2着馬の成績は【1-2-3-8】複勝率42.9%。勝利は秋古馬三冠を達成した2004年ゼンノロブロイのみだが、2017、2018年と連続で3着に入ったシュヴァルグランなど近年結果を出している。ディープボンドは昨年も天皇賞(春)2着から有馬記念で2着。リピーターの一撃にも警戒したい。

宝塚記念勝ち馬は複勝率6割が光り、有馬で1番人気に推されれば【4-2-1-0】のパーフェクト。人気次第でタイトルホルダーは鉄板級といえそう。また、天皇賞(春)と宝塚記念をどちらも制していた馬は4頭出走し、1988年タマモクロス(2着)、1989年イナリワン(1着)、2000年テイエムオペラオー(1着)、2006年ディープインパクト(1着)と全て連対しているのも心強い。

イクイノックスは偉大な先輩に続けるか

同年の秋GⅠ勝ち馬・有馬記念レース別成績,ⒸSPAIA


<有馬記念 直近1年のGⅠ勝ち実績別成績2>
天皇賞(秋)【6-5-3-12】勝率23.1%/連対率42.3%/複勝率53.8%
エリザベス女王杯【0-1-1-7】勝率0.0%/連対率11.1%/複勝率22.2%
ジャパンC【3-2-1-7】勝率23.1%/連対率38.5%/複勝率46.2%
前年の有馬記念【2-0-3-12】勝率11.8%/連対率11.8%/複勝率29.4%
※1986年以降(エリザベス女王杯は1996年以降)

次に秋GⅠ・3レースについてもみていこう。

天皇賞(秋)の勝ち馬は過半数が好走。天皇賞(秋)で上がり最速を記録していると【3-1-2-2】(データのある1990年以降)、着外の1992年レッツゴーターキン、2012年エイシンフラッシュはともに4着。この2頭は前走でジャパンCを使って掲示板外に敗れており、直行を選んだイクイノックスの好走も堅そうだ。3歳で天皇賞(秋)を勝った2002年シンボリクリスエス、2021年エフフォーリアはいずれも同年の有馬記念を制覇している。

エリザベス女王杯(現行の3歳以上戦になった1996年以降)の勝ち馬は9頭が出走して未勝利。好走したのは2001年トゥザヴィクトリー(3着)と2007年ダイワスカーレット(2着)となる。ジェラルディーナはエリザベス女王杯を鮮やかな外差しで制したが、同日の馬場状態を利したのも確か。人気を集めるようなら軽視するのも一つの手だろう。

ジャパンC勝ち馬は複勝率46.2%という字面ほど信頼度が高いわけではなく、近年は2008年スクリーンヒーロー(3番人気5着)、2011年ブエナビスタ(2番人気7着)、2014年エピファネイア(2番人気5着)、2019年スワーヴリチャード(5番人気12着)など人気を裏切るケースも少なくない。シンプルな脚力だけでなく、詰まった間隔で2度好走するタフネスも要求されるのだろう。

連対した5頭は1999年スペシャルウィーク、2000年テイエムオペラオー、2004年ゼンノロブロイ、2006年ディープインパクト、2016年キタサンブラックといずれ劣らぬ名馬ばかり。エイシンフラッシュがついにターフに送り出した後継者ヴェラアズールが、タイトルホルダーとイクイノックスという超強力なライバルに割って入ることができるか注目したい。

最後に参考として前年度の有馬記念覇者についても触れる。16頭が出走し、連覇を達成したのは1999年グラスワンダーと2003年シンボリクリスエスの2頭。直近3例では2013年ゴールドシップ、2016年ゴールドアクター、2021年クロノジェネシスがいずれも3着となっている。馬券になったのは以上の5頭だけ。この5頭は同年に何らかの重賞を制しており、うち4頭にはGⅠ勝ちがあった。

そもそも、連覇に挑んだ16頭には同年に馬券に絡んでいない馬は皆無で、大阪杯9着、宝塚記念6着のエフフォーリアには高い壁が待ち受ける。ただし、オグリキャップやトウカイテイオーなど、この有馬記念でドラマチックな復活劇が不可能ではないことを示した名馬たちも存在する。ファンの多い馬だけに何とか本来の姿を取り戻してほしいところだ。

有馬記念、直近1年のGⅠ勝ち実績別成績,ⒸSPAIA



《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。

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