【2歳馬ジャッジ】リバティアイランドが阪神ジュベナイルFを制覇 記録した指数は現2歳世代芝部門最高値

山崎エリカ

12月2週目の2歳馬ジャッジ,ⒸSPAIA

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12月2週目の2歳戦

このコラムでは古馬のレースと比較しながら2歳戦の指数を算出し、出走馬を評価していく。今回は阪神ジュベナイルFを現2歳世代芝部門最高値で勝利したリバティアイランド、つわぶき賞で非凡な瞬発力を見せたルミノメテオールなどが出た、12月10、11日の2歳戦について指数と評価を掲載する。

12月10日(土) 中山4R 優勝馬 レーベンスティール 指数-9 評価AA
新馬戦では3着馬に5馬身差をつけ、ソールオリエンスとのマッチレースを演じたレーベンスティール。同レースではラスト2F11秒0-11秒0と驚異的なタイムを記録してのクビ差2着だった。今回はデビュー2戦目、新馬戦のレース内容は特に大きなダメージを残すようなものではなく、ここは順当に勝利が期待された。

レースは2番枠から好発を切ると、かなり行きたがりフラついていたが、1角で前2頭の内ラチ沿いに入れて折り合いに専念。4角でひとつ外に出されると、前を目標にスパート開始。理想的なレース運びで快勝した。

記録した指数は1クラス上で勝ち負けとなる優秀なもの。東京の瞬発力比べで好走した直後に中山で勝ちにいく競馬で勝利。異なる競馬にあっさり対応し結果を残したことは評価できる。今回の走りはまだ幼さを残す走りで、能力を出し切ったものではないだろう。重賞勝ちを期待できる馬だ。

12月10日(土) 中山6R 優勝馬 ショウナンライシン 指数-6(ダート) 評価B
12番枠から五分のスタートを切ったショウナンライシン。外の馬の方が二の脚は速かったが、枠の差を生かして1角でハナを奪う形となった。そこからはペースを落としマイペースの逃げ、そのままの隊列で4角まで進んだ。4角ではコーナーを上手く回れず外に膨れるところを見せたが、直線では外から負かしに動いた馬を失速させ、結果3着馬には8馬身1/4差をつけてゴールした。

ラスト2Fは12秒9-12秒5。タフな馬場となる中山ダート、特に1800mの新馬戦と言えば各馬がバタバタになり、上がり3Fタイム40秒オーバーで決着することも多々ある舞台。そんな舞台で本馬は自らレースを作って最後まで加速した。これはかなり高く評価できる。次走以降の伸び代が楽しみな馬だ。

12月11日(日) 中山6R 優勝馬 ハウゼ 指数-6 評価A
ダートの新馬戦では勝ち馬から4.1秒離されての10着だったハウゼ。次走芝の未勝利戦では大きく前進を見せて4着。しかし、勝ち馬からは0.9秒離されており指数は平凡。今回はデビュー3戦目の芝2戦目。前進が期待されるところではあったが半信半疑だった。

レースは14番枠から好スタートを決め気合を入れると、今までにない行きっぷりの良さを見せ、道中は2番手で流れに乗った。3~4角で早々に先頭に立つ強気な競馬を見せ、そのまま直線では後続を引き離し、3馬身差の快勝。鞍上の本馬に対するレース後のコメントが強気だったのも頷ける。

デビュー戦は不適なダートを使われ大敗したが、芝で上昇軌道に乗ってきた。これは今後も大きく上昇しそうな気配だ。かつてのダート王ホッコータルマエのように、新馬戦で大敗した馬の方が軌道に乗れば上昇度は大きいもの。ハウゼが長い競走生活の中でどのように上昇していくのか楽しみだ。

12月10日(土) 阪神3R 優勝馬 グレン 指数-9(ダート) 評価B
芝の新馬戦は9着に大敗し、次走初ダート戦で2着。さらなる上昇が期待されたロングウッド、芝の新馬戦、未勝利戦では結果が出なかったが、前走初ダート戦で3着と、上昇が期待されたタイガースパーク。前記2頭が2番人気と3番人気だった。そんな中で1番人気に支持されたのが、前走芝の新馬戦で9着と大敗し、今回が初ダートとなるグレンだった。よほど高い潜在能力を持っていると評価されていたのだろう。

レースは逃げるロングウッド、2番手がグレン、3列目の外3番手がタイガースパークという隊列。そこから3角では上位人気3頭が前に行く形。そのままの隊列で3~4角では後続が少しずつ離されていき、直線では3頭による激しい叩き合いとなった。結果は人気通りグレンが勝利。4着馬には8馬3/4差。ロングウッド、タイガースパークも前走比で上昇を見せたが、グレンの素質が一枚上だった。今後のダートでの上昇が期待できる馬だ。

12月10日(土) 阪神7R 優勝馬 テラステラ 指数-5 評価B
札幌の新馬戦では1番人気で3着、次走未勝利戦も1番人気で7着。休養後、復帰緒戦の前走未勝利戦は2番人気で3着。ここまでの3戦は人気を裏切り続けたテラステラ。今回も1番人気。確かに前走はBコース替わりの阪神芝で内と前が残る展開を外枠から差し切れなかったが、それまでの実績から人気を裏切っても不思議ではなかった。

レースは10番枠からスタートでややアオったが、すぐに立て直して2列目雁行状態の外。内に入れられず、3角では3頭分外。4角出口でも外とややコースロスのある競馬で苦戦しても不思議なかったが、直線半ばの手応えは抜群。最後までしっかりと伸びて2馬身半差で快勝した。今回のレース内容は今までよりもグンと良化。これなら昇級以降も楽しめそうだ。

12月11日(日) 阪神11R 優勝馬 リバティアイランド 指数-17 評価AA
この週の阪神芝は内と前が極端に有利な傾向が強かった。レースでは8枠3頭ドゥーラ、ウンブライル、ラヴェルが出遅れ。ここまでテンの遅い競馬をしていたことは確かだが、向正面外側の馬場は想像以上に悪かったのかもしれない。

レースは前走ハイレベルだったアルテミスSで、前が壁になり能力を発揮しきれず2着だったリバティアイランドが、今回は上手く壁を利用し能力全開で優勝した。レースがスローペースの上がり勝負の時は、4角の壁は進路を塞ぐ邪魔なものとなるが、ハイペースの消耗戦時は仕掛けをワンテンポ遅らせられる有効性がある。

それでも最後まで伸び続けて優勝した内容は十分に強く、指数は現2歳世代芝部門最高値を記録。翌週に行われた朝日杯FSを上回る指数での優勝だった。

一方、アルテミスS勝ち馬のラヴェルは、外枠や出遅れを挽回するのに脚を使ったことも応え11着惨敗。前走のハイレベル決着で力を出し切った疲れも残っていたのだろう。疲れを取って来年の巻き返しに期待したい。

モリアーナは好位の中目から下がって12着惨敗。同週の追い切りで動けていなかった点はやや気になっていた。また前半から位置を取り過ぎたことで激流にも巻き込まれる形になった。勝ちたい気持ちは理解できるが、最後の直線で外の馬にぶつけながら進路を取る鞍上の粗さも目についた。想定外に負けたが、能力負けではない。いずれ巻き返してくるだろう。

12番人気で2着のシンリョクカは、新馬戦のラスト2Fで11秒0-11秒1と非凡な数字を記録していた。フロックではなく実力の2着だろう。ただ今後の体調面の管理には気をつけて欲しい。ちょっと微妙なところを感じたら休ませるほうが良いと感じた。競走馬はちょっとした体調面の差で大きくパフォーマンスが上下する。今回のリバティアイランドは断然の強さだったが、今後どうなっていくだろうか。

12月10日(土) 中京5R 優勝馬 ジェモロジー 指数-8 評価A
7月札幌のドゥアイズが勝利した新馬戦で3着だったジェモロジー。同レースは2着ウヴァロヴァイトが後に赤松賞3着、4着ドゥーラは札幌2歳S勝ち、6着トップナイフは萩S勝ち。3着のジェモロジーにも当然大きな期待があったが、新馬戦3着後は未勝利戦2、4着とここまで期待はずれの結果となっていた。

ところがデビュー4戦目の今回、距離を延ばしたことが吉と出てジェモロジーは化けた。本馬は4番枠から出遅れたが、1角の入りで好位直後の最内を取って追走。4角では包まれていたが、直線で進路が開くと序盤はジリジリ。そこから気合を付けられてラスト1Fで先頭に立つと、最後まで減速せずに5馬身差の圧勝だった。

本馬は一瞬のキレはないが、エンジンが掛かってからが強く、豊富なスタミナを持っているタイプ。ここから勝ったり負けたりしながら、かなり上を目指す馬となりそうだ。

12月10日(土) 中京9R 優勝馬 ルミノメテオール 指数-9 評価AA
10月東京の新馬戦ではラスト2F11秒1-10秒9と驚異的な数字を記録し勝利したルミノメテオール。ラスト2Fの数字は計測ミスではないかと思ったぐらい優秀なものだった。こんな数字が当たり前のように出る時代になったのかとも思った。ところが今回のルミノメテオールはなぜか7番人気の低評価。確かにこのレースにはアルテミスSの3着馬アリスヴェリテが出走しており、指数上の比較では旗色が悪かった。

しかし、アリスヴェリテはアルテミスS激走の疲れや距離短縮の影響か、ここ2戦のように逃げられず、かなり折り合いを欠いて凡退。そうなれば他の馬には劣らないルミノメテオール。中団の内から最後の直線で中目に出されると、狭い間に体を捻じ込むようにして割って入り、体勢が安定してからグイっと伸びて勝利した。

今回の指数は1勝クラスとしては並レベル。ただ同馬は今回も出遅れて、最後の直線でもスムーズさを欠いたことから、まだ能力を全て発揮してはいないだろう。人気にならないタイプのようだが、瞬発力は非凡なものがある。今後も楽しみな馬だ。


2022年12月2週目の2歳馬PP指数,ⒸSPAIA


※パワーポイント指数(PP指数)とは?
●新馬・未勝利の平均勝ちタイムを基準「0」とし、それより価値が高ければマイナスで表示
例)リバティアイランドの指数「-17」は、新馬・未勝利の平均勝ちタイムよりも1.7秒速い

ライタープロフィール
山崎エリカ
類い稀な勝負強さで「負けない女」の異名をとる競馬研究家。独自に開発したPP指数を武器にレース分析し、高配当ゲットを狙う! netkeiba.com等で執筆。好きな馬は、強さと脆さが同居している、メジロパーマーのような逃げ馬。

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