【朝日杯FS】GⅠ馬4頭誕生の昨年は例外と考えて カギは生まれの早さと馬体重

佐藤永記

2022年朝日杯FSデータ,ⒸSPAIA

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本来ならば生まれの早さが活きるGⅠ

2歳GⅠの朝日杯フューチュリティステークスに出走する馬たちは、人間でいえば中学生あたりと考えられる成長期。そのため「生まれ月が遅い馬」「馬体重の軽すぎる馬」「馬体重が大きく減った馬」は成長度合いの差でなかなか活躍できないという過去傾向がある。

阪神開催となった2014年以降の8年間を見ると、生まれ月が早ければ早いほど、勝率、連対率、複勝率も高く、馬体重も重ければ重いほど成績が良くなる傾向がある。2歳のマイルGⅠは成長度と、短距離型のレースで求められやすい馬格があることが大事な「はず」だったのだが……昨年の朝日杯FSでは、その傾向があっさりと打ち砕かれてしまった。

上位馬からGⅠ勝ち馬4頭輩出の昨年はまさしく「例外」

朝日杯FS 誕生月別成績,ⒸSPAIA
朝日杯FS 当日馬体重別成績,ⒸSPAIA


勝利したドウデュースの誕生日は5月7日で出走馬中最遅、しかも馬体重は前走からマイナス10kgと、過去好走例にはないパターンでの優勝であった。この5月生まれは、勝利どころか馬券圏内入りすら阪神開催となった2014年以降で初のことであった。

しかしご存知のとおり、昨年の朝日杯FSがとんでもなくハイレベルであることは上位馬を見れば一目瞭然だ。勝ち馬ドウデュースは後にダービー馬になり凱旋門賞にも挑戦。2着のセリフォスも後にマイルCSを勝利。さらに3着ダノンスコーピオンはNHKマイルCを勝ち、5着ジオグリフは皐月賞馬に。朝日杯FSで掲示板入りした5頭のうち4頭もGⅠ馬になっているのだ。

さらに付け加えれば6着トウシンマカオは京阪杯、8着プルパレイはファルコンSをそれぞれ勝利した重賞馬で、7着ドーブネも先日の3勝クラス・逆瀬川Sを勝ちオープン馬である。例年であればホープフルSに回る馬もおり、有力な馬は分散しているはず。また、朝日杯FSは早熟度合いの差で好走したものの、その後活躍できないという馬も少なくない。昨年は例外中の例外だったと考えたほうがよいだろう。

過去10年の朝日杯FS、生まれ月別成績,ⒸSPAIA

早生まれバグラダスと大型馬ダノンタッチダウン

というわけで、例年どおりと考えれば狙いたいのが「生まれの早い馬」と「大型馬」。

まずは「生まれの早い馬」から。登録馬のなかで最速の生まれなのは1月20日生まれのバグラダス。7月にダートの新馬を逃げ切り勝ち、新潟2歳Sでは10番人気ながら逃げて4着、前走1勝クラスで先行策に切り替えてしっかり勝ち上がってきた。戦歴は3戦しているが、タイプの違うコースやレースをそれぞれ走っており、キャリアの割には未知の魅力がある。生まれの早さからくる成長度の高さがあれば、一発あっても不思議ではない。

「大型馬」からはダノンタッチダウンだ。デビュー時すでに馬体重は532kgで差し切り勝ちののち、デイリー杯2歳Sでは538kgと増量し、逃げるオールパルフェを8番手から捉える寸前まで追い込む豪脚を見せた。生まれも3月29日と遅くはないので、馬格で一気にねじ伏せるシーンも期待できるだろう。

<ライタープロフィール>
佐藤永記
20代を公営ギャンブラーとして過ごし、30歳から公営競技の解説配信活動を開始。競馬を始め多くの公営競技ファンに各競技の面白さや予想の楽しみを伝えている。現在はYoutubeで配信活動を続けながらライターとして公営競技の垣根を超えて各所で執筆中。

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